ゲーハン=ブレスロー検定は、複数の生存曲線の間に有意差があるか否かを判定するために実行することもできます。その生存曲線は同一母集団に由来するという帰無仮説をカイ二乗統計量を使用して棄却するノンパラメトリック検定です。生存曲線間の差が、観測によって生じる偶然の差と同じか同程度である確率をあらわす P 値が出力されます。
Standard Error Bars:これを選択すると、生存確率に関する標準誤差のエラーバーが追加されます。エラーバーは、故障 (failure) の発生時点に配置されます。これらの要素は、いずれも生存曲線と同じカラーでグラフに配置されます。グラフを作成した後は、Graph Properties を使って、これらのカラー、および、その他のグラフ属性を変更できます。
9.5.3.2 Options for Survival Gehan-Breslow: Results
Report
Cumulative Probability Table:このオプションを解除すると、累積確率テーブルがレポートから除外されます。これにより、データセットが大量にあるときでもレポートの長さを短く抑えることができます。
P values for multiple comparisons:多重対比較検定の P 値と、それを検定する臨界値を表示するには、これを選択します。Holm-Sidak 検定の臨界値は、一対検定ごとに変わります。Bonferroni 検定を選択している場合、この臨界値は全ての一対検定で同じになります。
※ Note:ゲーハン=ブレスロー検定の臨界 P 値は、Options ダイアログボックスで変更することができます。詳しくは、レポートグラフをご覧ください。この臨界 P 値の設定は、グローバル設定ですので、SigmaPlot の全ての検定に適用されます。
Only when Survival P Value is Significant:これを選択すると、オリジナルの比較検定が有意なときだけ多重比較の結果がレポートに配置されます。この有意水準は、 Significance Value for Multiple Comparisons ドロップダウンリストから 0.05 または 0.01 を選択できます。(※ v14 では Σ > Options > Report タブの Test Results で指定します)
※ Tip:レポートに比較結果が表示されるのは、多重比較が実行された場合のみです。これを常に表示させたい場合は、Only when Survival P Value is Significant オプションを解除してください。
検定を実行する前にお持ちのデータを選択しておきたい場合は、対象となるデータをマウスポインタでドラッグしておきます。選択する列は必ず正しい順番に隣接している必要があります (生データの場合なら Time, Status、インデックス付きデータの場合なら Group, Time, Status の順です)。
Raw データを選択した場合は Next をクリックします。この検定を選択する前に列を選択していれば、Selected Columns リストに選択した列が表示されます。
Selected Columns リストに別のワークシート列を割り当てたい場合:
ワークシートで直接その列を選択するか、Data for ドロップダウンリストからその列を選択します。Selected Columns リストの一行目 (Time 1) に割り当てられるのは最初に選択した列で、次に選択した列がリストの次の行 (Status 1) に割り当てられます。各行には、選択した列のタイトルが表示されます。分析したい全ての群について Time, Status 列の選択を続けます。 Select Data パネルで複数の Time/Status 列の対を選択するよう指示される例。
Selected Columns リストに別のワークシート列を割り当てたい場合には、ワークシートで直接その列を選択するか、Data for ドロップダウンリストからその列を選択します。選択した内容を変更するには、リストの割り当てを選択したあと、ワークシートから列を選択しなおします。Selected Columns リストの内容をダブルクリックすることによって、列の割り当てを消去することもできます。 Survival Gehan-Breslow — Select Status Labelsパネルで Status 変数を選択するよう指示する例
Next をクリックして、ステータス変数を選択します。Status labels に表示されるのは、Selected columns で選択した列のステータス変数です。これらを選択して、右向き矢印をクリックすることで、Event ウィンドウにイベント変数を配置し、Censored ウィンドウに打ち切り変数を配置します。 Survival Gehan-Breslow — Select Status Labelsパネルに Status 変数を選択した結果
データフォーマットに Indexed を選択している場合、検定ウィザードの Select Data パネルには、Group, Time, Status の3列をワークシートから選択するよう指示されます。 Survival Gehan-Breslow の Indexed Data Format のSelect Data パネルで Group, Time, Status を選択するよう指示する例
Next をクリックして、分析に含めたい群を選択します。Group 列の全ての群を分析したい場合は、Select all groups を選択します。そうでない場合は、Data for Group ドロップダウンリストから対象となる群を選択します。全ての群の中から一部を選択できるので、レポートに表示させたいものだけを選択することができます。 Survival Gehan-Breslow Indexed Data Format の Group 選択パネルで分析する群を選択するよう指示する例
Next をクリックして、上述と同じくステータス変数を選択したら、分析をおこない、レポートとグラフを作成します。
多重比較を P 値が有意なときだけ実行するよう選択しており、Gehan-Breslow プロシージャーで出力される P 値が設定した P 値と等しいかそれより小さい場合、あるいは、Options for Gehan-Breslow ダイアログで多重比較を常に実行するよう選択している場合は、多重比較の結果がレポートに表示されます。
Holm-Sidak 検定は、All pairwise 比較と Versus Control (対照群との比較) の両方で使用します。Bonferroni 検定よりもパワフルであるため、それらでは検出できない差を検出することができます。一対比較 (pairwise comparison) 検定における第一のプロシージャーとして推奨されています。この検定を実行すると、計算された全ての比較の P 値が小さい順に並び替えられます。そして、それぞれの P 値は、臨界水準 (critical level) と比較されます。この臨界水準は、検定の有意水準 (検定オプションで設定) 、P 値の順位、および、比較の総数に応じて変化します。ある P 値が臨界水準を下回っていれば、該当する2群間に有意差があることをあらわします。 VA Lung Cancer Study データを使った Holm-Sidak 多重比較の結果
9.5.4.1.2 Bonferroni 検定
Bonferroni 検定は、対応のあるカイ二乗検定を使って一対比較を実行します。計算は、Holm-Sidak 検定と似ていますが逐次的でない点が異なります (使用する臨界水準は、全ての比較で固定されます)。この臨界水準は、その群の P 値と比較数との比です。Holm-Sidak 検定と比べて、差があると結論付けるのに必要なカイ二乗の値が実際に必要な値よりも非常に大きくなることから、それだけ保守性の強い検定となります。臨界水準 (critical level) は 0.05/6 = 0.00833 で固定です。この臨界水準は、Holm-Sidak 検定のようには増加しませんので、有意差のある比較は少なくなる傾向になります。Holm-Sidak の場合は有意 (significant) な比較が4つだったのに対して、この例では、有意な比較は3つになります。 VA Lung Cancer Study データを使った Bonferroni 多重比較の結果
9.5.5 ゲーハン=ブレスロー生存結果を解釈する
ゲーハン=ブレスロー生存分析レポートには、使用した元データに関する情報と、各群の累積生存確率と各生存曲線の要約統計量、および、ゲーハン=ブレスロー検定の有意性を内容とする各種テーブルが表示されます。多重比較検定の有意差に関する結果や、Post Hoc Tests オプションで選択した内容も表示されます。