もし欠損値がある場合、SigmaPlot は一般線形モデルを使用して欠損データを自動的に処理します。このアプローチでは、周辺平方和 (marginal sums of squares:一般にタイプ III の平方和、または、調整平方和 (adjusted sums of squares) とも呼ばれます) を使用した仮説検定が構成されます。ただし、列の長さは同じである必要があります。
4. 一元配置反復測定分散分析オプションを設定する
一元配置反復測定分散分析 (One Way Repeated Measures ANOVA) オプションを使用するのは:
Residuals in Column:レポートに残差を表示し、ワークシートの指定列に検定の残差を保存します。列番号を入力するか、ドロップダウンリストから列を選択します。 Options for One Way RM ANOVA ダイアログボックスに Summary Table および Residuals オプションを表示した例。
Analysis タブの SigmaStat グループにある Tests ドロップダウンリストから次を選択します:Repeated Measures → One Way Repeated Measures ANOVA検定ウィザードの One Way RM ANOVA — Data Format パネルが表示され、データフォーマットを指定するよう指示されます。 検定ウィザードの One Way RM ANOVA — Data Format パネル。データフォーマットを選択するよう指示されます。
Data Format ドロップダウンリストから適切なデータフォーマットを選択します。詳しくは、反復測定検定のデータフォーマット をご覧ください。
Next をクリックして、検定に使用するデータ列を選択します。検定を選択する前に列を選択していれば、その列が Selected Columns に表示されます。
検定ウィザードの One Way RM ANOVA — Select Data パネル。データ列を選択するよう指示されます。
Selected Columns リストに別のワークシート列を割り当てたい場合には、ワークシートで直接その列を選択するか、Data for Data ドロップダウンリストからその列を選択します。Selected Columns リストの一行目に割り当てられるのは最初に選択した列で、以後同様に列を選択するごとにリストの2行目以降に割り当てられてゆきます。各行には、選択した列の番号またはタイトルが表示されます。ワークシートの3列を最低限選択するよう指示されます。
Finish をクリックすると、選択した列に対して One Way RM ANOVA が実行されます。正規性と等分散性の検定を実行するよう指定しており、いずれの検定にも合格しなかった (failed) 場合、SigmaPlot は、警告を表示し、ノンパラメトリックのフリードマンの順位に基づく反復測定分散分析 (Friedman Repeated Measures ANOVA on Ranks) を使用して分析を継続するよう提案します。詳しくは、フリードマンの順位に基づく反復測定分散分析をご覧ください。P 値が有意なときだけ多重比較を実行するよう選択しており、P 値が有意でない場合、この検定の完了後に One Way RM ANOVA レポートが表示されます。詳しくは、一元配置反復測定分散分析の結果を解釈するをご覧ください。多重比較の P 値が有意な場合、または、多住比較を常に実行するよう選択している場合は、Multiple Comparisons Options ダイアログボックスが表示され、多重比較の手法を選択するよう指示されます。詳しくは、多重比較オプション (One Way RM ANOVA) をご覧ください。
6. 多重比較オプション (One Way RM ANOVA)
一元配置反復測定分散分析 (One Way Repeated Measures ANOVA) では、幾つかの処理群の間に差がないという仮説を検定しますが、どの群に差があるのか、すなわち、群間の差の大きさは分かりません。実験群間の比較を行うことによってこれらの差を特定するのが多重比較プロシージャです。
P 値が有意なときだけ多重比較を実行するよう選択しており、ANOVA によって算出された P 値が基準となる P 値と等しいか小さかった場合、または、Options for One Way RM ANOVA ダイアログボックスで常に多重比較を実行するよう選択している場合は、Multiple Comparison Options ダイアログボックスが表示され多重比較の検定法を指定するよう指示されます。ダイアログボックスの左上には、ANOVA によって算出された P 値が表示されます。詳しくは、一元配置反復測定分散分析の結果を解釈するをご覧ください。
一元配置反復測定分散分析 (One Way Repeated Measures ANOVA) で選択できる多重比較検定は、以下の7種類があります:
一元配置反復測定分散分析 (One Way Repeated Measures ANOVA) で選択できる多重比較には2つのタイプがあります。選択できる比較タイプは、選択した多重比較検定法によって変わります。
All pairwise 比較は、処理対の全ての可能な組み合わせを比較します。
Versus Control (対照群との多重比較) は、全ての実験処理を単一の対照群と比較します。
7. 一元配置反復測定分散分析の結果を解釈する
一元配置反復測定分散分析 (One Way Repeated Measures ANOVA) のレポートには、処理の変動要因 (source of the variation) をあらわす分散分析表が生成されます。この表に表示される内容は、自由度 (DF: degrees of freedom)、平方和 (SS: sum of squares)、データテーブルの各要素の平均平方 (MS: mean squares)、および、F 統計量とそれに対応する P 値です。表示されるその他の結果は Options for One Way RM ANOVA ダイアログボックスにあります。
多重比較の表を生成することも可能です。多重比較の結果についても Options for One Way RM ANOVA ダイアログボックスで指定します。多重比較の実行に使用する検定法は、Multiple Comparison Options で指定したものです。
One Way RM ANOVA の結果の導出に関する詳しい説明については、統計学の参考書をご覧ください。
P Value:P 値は、群間に真の差があると誤って結論付けてしまう確率です (例えば、F 値に基づいて帰無仮説を誤って棄却する、すなわち、第1種の誤り (Type I error) を犯してしまう確率です) 。P 値が小さいほど、異なる母集団から標本が抽出されている確率は大きくなります。 伝統的には、P < 0.05 であれば、有意差があると結論付けることができます。
7.8 Expected Mean Squares
Expected Mean Squares (期待される平均平方):もし欠損データがある場合、一般線形モデルを使用してそのモデルで期待される平均平方が算出され、その線形方程式が表示されます。これらの方程式は、一般線形モデルが使用されたときだけ表示されます。
7.9 Multiple Comparisons
多重比較:多重比較を実行するよう選択していれば、群どうしを対比較した表が表示されます。詳しくは、多重比較オプション (One Way RM ANOVA) をご覧ください。多重比較プロシージャは、Options for One Way RM ANOVA ダイアログボックスで有効にします。多重比較プロシージャーで使用する検定法は、Multiple Comparison Options ダイアログボックスで指定します。
ANOVA の結果からは、2つ以上の群に差があるかどうかまでしか分からないため、具体的にどの処理に差があるかを決定するには、多重比較の結果を使用します。多重比較の結果の特定のタイプは、使用する比較検定法、および、比較の仕方、すなわち、全ての組み合わせ (pairwise) か、対照群との比較 (versus a control) かによって異なります。
Holm-Sidak Test の結果:Holm-Sidak 検定は、All pairwise 比較と Versus Control (対照群との比較) の両方で使用します。Tukey や Bonferroni 検定よりもパワフルであるため、それらでは検出できない差を検出することができます。一対比較 (pairwise comparison) 検定における第一のプロシージャーとして推奨されています。この検定を実行すると、計算された全ての比較の P 値が小さい順に並び替えられます。そして、それぞれの P 値は、臨界水準 (critical level) と比較されます。この臨界水準は、検定の有意水準 (検定オプションで設定) 、P 値の順位、および、比較の総数に応じて変化します。ある P 値が臨界水準を下回っていれば、該当する2群間に有意差があることをあらわします。
Bonferroni t-test の結果:Bonferroni t-test には、各群の対の平均値の差が一覧で表示され、各対の t 値が計算され、その比較について P < 0.05 であるか否かが表示されます。Bonferroni t-test は、全ての群の比較にも、対照群との比較にも利用できます。t 値が大きいものであれば、比較した2群の差は統計的に有意であると結論付けることができます。比較した P 値が 0.05 より小さい場合は、誤って有意差があると結論付けてしまう可能性は 5% よりも小さくなります。この値が 0.05 より大きければ、確信を持って差があると結論付けることはできません。この平均値の差が2群の間の差の大きさの尺度となります。
Tukey, Student-Newman-Keuls, Fisher LSD, Duncan’s, および Dunnett’s Test の結果:Tukey, Student-Newman-Keuls (SNK), Fisher LSD, および Duncan’s tests は、いずれも群の全ての対の組み合わせを比較するものです。これに対して、Tukey Fisher LSD, and Duncan’s は、対照群とそれ以外の群との比較に使用するものですので、このタイプの比較では推奨されません。対照群とその他の全ての群とを比較できるのは Dunnett’s test のみです。いずれの検定も、q 検定統計量を計算し、その対比較で P < 0.05 または < 0.01 であるか否かを表示します。q 値が大きいものであれば、比較した2群の間の差は統計的に有意であると結論付けることができます。比較した P 値が 0.05 より小さい場合は、誤って有意差があると結論付けてしまう可能性は 5% よりも小さくなります。この値が 0.05 より大きければ、確信を持って有意差があると結論付けることはできません。Difference of the Means (平均値の差) が2群の間の差の大きさの尺度となります。
p は、q の算出に使用するパラメータです。p が大きければ、有意差を示すのにそれだけ大きな q が要求されます。p は、比較する群平均の順位に関する差の指標です。SNK 検定では群平均に大きいものから小さい順にそれぞれ順位を付けるので、比較における平均値の数の隔たりが p になります。例えば、比較する平均値が4つある場合、最大と最小を比較すると p=4 となり、二番目に小さなものと最小のものを比較すると p=2 になります。
ある群が他の群と比べて有意差がないことが分かった場合、差のない2群の順位 p の間にある順位 p を持つ全ての群についても、有意差がないとみなされますので、これらの比較については DNT (Do Not Test) という結果が表示されます。
8.1 One Way Repeated Measures ANOVA レポートのグラフを作成する方法
One Way Repeated Measures ANOVA test レポートを選択します。
Report タブの Results Graphs グループにある Create Result Graph をクリックします。 Create Result Graph ダイアログボックスが表示され、その中に One Way Repeated Measure ANOVA の結果で利用できるグラフのタイプが表示されます。
レポートのCreate Result Graph ダイアログボックス
Graph Type リストの中から作成したいグラフタイプを選択して OK をクリックするか、リスト内のグラフをダブルクリックします。選択したグラフがグラフウィンドウに表示されます。