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20.6 二元配置反復測定分散分析 (ANOVA)

二元配置 (Two Way) すなわち2因子の反復測定分散分析を使うのは:

  • 同一群の個体が1系列の実験処理や条件によって影響を受けるか否かを調べたいとき。
  • 交互作用する場合があったり、別系列の処理や条件になる場合がある追加因子の効果を考慮したいとき。
  • 処理効果が分散の等しい正規分布に従っているとき。
    Note:SigmaPlot は、1因子の繰り返し、または、両因子の繰り返しについて二元配置反復測定分散分析を実行します。SigmaPlot は、1因子の反復か両因子の反復かをデータから自動的に判断し、適切なプロシージャを使用します。

実験群の1因子のみの効果を考慮したい場合は、一元配置反復測定分散分析を使用します。詳しくは、一元配置反復測定分散分析 (ANOVA) をご覧ください。

非正規母集団から抽出された標本について同等の2因子の反復測定比較を行う機能は SigmaPlot には用意されていません。お持ちのデータが正規分布に従っていない場合は、トランスフォーム機能を使用して、そのデータを分散分析の前提条件を満たすように変換することができます。標本サイズが大きく、実行するのがノンパラメトリック検定である場合、Rank トランスフォームを使用して観測値を順位に変換したあと、その順位に基づいて二元配置分散分析を実行します。

  1. 二元配置反復測定分散分析について
  2. 二元配置反復測定分散分析を実行する
  3. 二元配置反復測定分散分析のデータを配置する
    1. 欠損データと空白セル
    2. 連結データと非連結データ
    3. ある被験体の因子データが欠損している場合
    4. ワークシートデータを入力する
  4. 二元配置反復測定分散分析オプションを設定する
    1. Options for Two Way Repeated Measures ANOVA: Assumption Checking
    2. Options for Two Way Repeated Measures ANOVA: Results
    3. Options for Two Way Repeated Measures ANOVA: Post Hoc Tests
  5. 二元配置反復測定分散分析を実行する
  6. 多重比較オプション (Two Way Repeated Measures ANOVA)
  7. 二元配置反復測定分散分析の結果を解釈する
    1. 欠損データや空白セルがある場合
    2. 従属変数
    3. 正規性の検定
    4. 等分散性の検定
    5. 分散分析表
    6. 検出力
    7. 平均平方の期待値
    8. サマリーテーブル
    9. 多重比較
  8. 二元配置反復測定分散分析のレポートグラフ
    1. Two Way Repeated Measures ANOVA レポートのグラフを作成する方法

1. 二元配置反復測定分散分析について

二元配置 (two way) すなわち2因子の反復測定分散分析では、各実験処理に影響を及ぼす可能性のある実験因子が2つあります。これらの因子のいずれかまたは両方が同一群の個体に対する反復処理になります。2因子の計画では、各処理の異なる水準間の差と処理間の交互作用を検定します。詳しくは、二元配置反復測定分散分析のデータを配置するをご覧ください。

2因子の分散分析は、次の3つの仮説を検定します:(1) 第1因子の水準や処理の間に差はない。(2) 第2因子の水準や処理の間に差はない。(3) 因子間に交互作用はない。例えば、ある因子において処理間に何らかの差があるとすれば、その差は第2因子がどうであっても変わらない。

二元配置反復測定分散分析は、全ての処理効果が等分散の正規分布に従うことを前提条件とするパラメトリック検定です。これらの前提条件が棄却された場合、SigmaPlot にはノンパラメトリック検定を自動的に行う機能は用意されていません。

2. 二元配置反復測定分散分析を実行する

二元配置反復測定分散分析 (Two Way Repeated Measures ANOVA) を実行するには:

  1. ワークシートに適切なデータを入力または配置します。詳しくは、二元配置反復測定分散分析のデータを配置する をご覧ください。
  2. 必要があれば、Two Way Repeated Measures ANOVA オプションを設定します。
  3. Analysis タブの SigmaStat グループにある Tests ドロップダウンリストから以下を選択します:
    Repeated MeasuresTwo Way Repeated Measures ANOVA
  4. 検定を実行します。
  5. レポートグラフを作成します。詳しくは、二元配置反復測定分散分析のレポートグラフ をご覧ください。

3. 二元配置反復測定分散分析のデータを配置する

二元配置反復測定分散分析 (Two Way Repeated Measures ANOVA) では、同一群の各個体に対して使用する2つの因子のうち、両方または片方を反復させることができます。例えば、2種類のエビの活動について塩分濃度 (Salinity) を変化させたときの効果を分析する場合は、反復処理 (塩分濃度) が1つの2因子実験になります。実験の水準は、塩分濃度 (Salinity) 処理とエビの種類 (Species) になります。

反復因子 (salinity) が1つの二元配置反復測定分散分析のデータの例
Species Subject Salinity
10 15
Artemia sp. 1 A
B
C
10
8.5
9.0
12.5
13.0
10.5
Artemia sp. 2 D
E
F
5.5
7.5
7.0
5.5
8.0
6.5

1種類のエビの活動について塩分濃度 (Salinity) と温度 (Temperature) のそれぞれを変化させたときの効果を検定したい場合は、反復処理が2つ、すなわち、塩分濃度と温度の両方を繰り返す2因子実験になります。いずれのケースにおいても、処理/因子水準の組み合わせが、それぞれ比較するセルになります。 SigmaPlot では反復する処理因子が1つの場合でも2つの場合でも自動的に処理が行われます。

反復因子が2つ (Temperature と Salinity) ある二元配置反復測定分散分析のデータの例
Temperature Subject Salinity
10 15
25º A
B
C
8.5
8.5
9.5
11.0
10.5
12.0
30º D
E
F
9.0
9.0
10.0
12.5
11.5
13.0

3.1 欠損データと空白セル

Two Way ANOVA のデータは、完全に釣り合いがとれているものが理想です。例えば、ある実験における各群またはセルの観測数がそれぞれ同じで、欠損データが無いものです。ただし、欠損値や釣り合いがとれていないデータがあっても、それらは自動的に SigmaPlot によって適切な処理が行われます。

  • 欠損データポイント:欠損値 (missing value) が存在する場合、SigmaPlot は一般線形モデル (general linear model) によるアプローチを使用して自動的に処理します。このアプローチでは、限界平方和 (marginal sums of squares:一般にタイプ III の平方和、または、調整平方和 (adjusted sums of squares) とも呼ばれます) を使用した仮説検定が構成されます。
反復因子 (salinity) が1つで欠損データポイントが存在する二元配置反復測定分散分析のデータの例
Species Subject Salinity
10 15
Artemia sp. 1 A
B
C
10
8.5
9.0
12.5
13.0
10.5
Artemia sp. 2 D
E
F
5.5
7.5
7.0
5.5
–6.5

SigmaPlot は一般線形モデルを使って欠損データポイントを取り扱います。

  • 空白のセル:例えば、空白のセルが1つ存在する場合、いずれの被験体も反復因子の少なくとも1つは残っていますが、2因子の水準を組合せた観測データの1つが欠けていますので、SigmaPlot は処理を停止し、因子間に交互作用がないという前提条件付きでこのデータを分析するか、または、一元配置分散分析 (One Way ANOVA) を使用してデータを分析するよう提案します。交互作用がないという前提条件では、各処理の効果が個別に分析されます。
※ DANGER:2つの因子間に交互作用がないことを二元配置分散分析の前提条件にするのは危険性が伴います。状況によっては、とりわけ交互作用効果を調べることに関心がある場合、この前提条件によって分析そのものが無意味になることがあります。
反復因子が2つあり(temperature と salinity) 、セルの1つが欠けている二元配置反復測定分散分析のデータの例。
Temperature Subject Salinity
10 15
25º A
B
C
8.5
8.5
9.5
11.0
10.5
12.0
30º D
E
F
9.0
9.0
10.0


データに欠損セルがあり、全ての被験体に反復因子のデータがある場合、交互作用が無いことを前提として分析するか、または、一元配置分散分析によって分析できます。

一元配置分散分析として問題を取り扱う場合、表の各セルは単一の実験因子の異なる水準として取り扱われます。このアプローチは、データや実験計画のもつ性質に関して特別な前提条件を要しないことから最も保守的な分析法となります。

3.2 連結データと非連結データ

交互作用がないという前提条件で交互作用のない2因子のモデルの計算を実行するには、空白でないセルが幾何学的に連結 (geometrically connected) している必要があります。空白セルによってデータが非連結になっている場合は、二元配置反復測定分散分析を実行することはできません。

幾何学的に非連結なデータがある二元配置反復測定分散分析のデータの例。
Temperature Subject Salinity
10 15
25º A
B
C


11.0
10.5
12.0
30º D
E
F
9.0
9.0
10.0


このデータは、二元配置反復測定分散分析を使って分析することはできません。

データが幾何学的に連結していれば、データを含む全てのセルを結ぶ縦横の方向に連なるラインをいずれの空白セルも通らずに描画できます。SigmaPlot は自動的にこの連結をチェックします。もし、二元配置反復測定分散分析で非連結データが見つかった場合は、SigmaPlot により、この問題を一元配置反復測定分散分析として取り扱うよう提案されます。

連結に関する考え方に関する詳しい説明につきましては、統計学の参考書をご覧ください。

3.3 ある被験体の因子データが欠損している場合

空白セルの例はもう一つあります。反復する因子が2つあり、被験者のいずれかの水準のデータに欠損がある場合です。SigmaPlot は自動的にこの問題を一元配置反復測定分散分析に変換して取り扱います。

反復因子が2つあり、被験体のいずれかの水準の1つにデータがない二元配置反復測定分散分析のデータの例。
Temperature Subject Salinity
10 15
25º A
B
C


11.0
– –
12.0
30º D
E
F
9.0
9.0
10.0
12.5
– –
13.0

このようなデータは、二元配置反復測定分散分析の問題として分析することはできません。

3.4 ワークシートデータを入力する

二元配置反復測定分散分析を実行できるのは、被験者 (体) と2因子の両方にインデックスが付いたデータに対してのみです。このデータは、4つの列、すなわち、第1因子を1列目に、第2因子を2列目に、被験者のインデックスを3列目に、そして、実際のデータを4列目に配置した4列で構成されます。

Note:SigmaPlot は、1因子の反復または2因子の反復について二元配置反復測定分散分析を実行します。SigmaPlot は反復する因子が1つであるか2つであるかをデータから自動的に判断して適切なプロシージャーを使用します。

4. 二元配置反復測定分散分析オプションを設定する

Two Way Repeated Measures ANOVA オプションを使用するのは:

  • 検定パラメータを調整して、お持ちのデータの正規性と等分散性の基準を緩和したり厳格にするとき。
  • データの統計サマリーテーブルを表示したり残差をワークシートに格納するとき。
  • 検定の検出力 (power)、すなわち、感度 (sensitivity) を計算するとき。
  • 多重比較検定を有効にするとき。

Two Way Repeated Measures ANOVA オプションを変更するには:

  1. 検定オプションを変更したあと検定を実行するにあたり、検定の実行前にデータを選択しておきたい場合は、使用するデータをポインターでドラッグします。
  2. Analysis タブの SigmaStat グループにある Tests ドロップダウンリストから以下を選択します:
    Repeated MeasuresTwo Way Repeated Measures ANOVA
  3. Options をクリックします。Options for Two Way RM ANOVA ダイアログに3つのタブが表示されます:
    1. Assumption Checking:データの正規性と等分散性の基準を緩和または厳格にするには、このパラメータを調整します。詳しくは、Options for Two Way Repeated Measures ANOVA: Assumption Checking をご覧ください。
    2. Results:レポートにデータの統計サマリーを表示したり、ワークシート列に残差を保存するかを指定します。詳しくは、Options for Two Way Repeated Measures ANOVA: Results をご覧ください。
    3. Post Hoc Tests:検出力 (Power)、すなわち、検定の感度を計算するかを指定します。詳しくは、Options for Two Way Repeated Measures ANOVA: Post Hoc Tests をご覧ください。
  4. 検定を継続するには、Run Test をクリックします。
  5. 現在の設定内容を適用して、オプションダイアログを閉じるには、OK をクリックします。

4.1 Options for Two Way Repeated Measures ANOVA: Assumption Checking

Assumption Checking タブを選択すると、Normality (正規性) と Equal Variance (等分散性) に関するオプションが表示されます。正規性 (Normality) の前提条件の検定では、母集団が正規分布に従っているかをチェックします。等分散 (Equal Variance) の前提条件の検定では、各群の平均値の周りのばらつきをチェックします。

  • Normality の検定:SigmaPlot では、母集団の分布の正規性検定に Shapiro-Wilk または Kolmogorov-Smirnov のいずれかを使用します。
  • Equal Variance の検定:SigmaPlot では、群平均のばらつきをチェックすることで等分散性を検定します。
  • 正規性および等分散の P 値:P 値により、データが正規分布していないと誤って結論付ける確率が決定されます (P 値は、データが正規分布しているという帰無仮説を誤って棄却してしまうリスクです)。検定によって求められた P 値が、ここで設定した P 値よりも大きければ、検定は採択されます。正規性と等分散のいずれか又は両方の要件をより厳密なものにするには、この P 値を大きくします。パラメトリックな統計手法では、仮説の棄却が比較的ロバスト (頑健) に検出されることから、SigmaPlot ではこの値を 0.050 としています。P 値をこれよりも大きくすると (例えば、0.100)、そのデータに正規性がないとの判定が出やすくなります。正規性と等分散のいずれか又は両方の要件を緩和するには、P 値を小さくします。正規性があるという仮説を棄却するための P 値に小さい値しか要求しないということは、前提とする正規分布からデータが外れていても、それが非正規であると判定される前に、それだけ広く受け入れたいとする意思があることを意味します。例えば、P 値を 0.050 とした場合、あるデータを非正規であると判定するには、0.100 の場合と比べてそれだけ大きく正規性を逸脱していなければなりません。
    Note:この仮説検定は母集団が非正規や等分散でなくてもロバストにデータを検出しますが、データの分布が極端な状態にあり、これらの手法では検定できない場合があります。たとえば、ルビーンの中央値検定 (Levene Median test) では、分散の大きさが数次の場合は差の検出ができません。このような条件の場合は、前提条件の自動検定に頼らずにデータを視覚的に調べることで容易に見分けることができます。

4.2 Options for Two Way Repeated Measures ANOVA: Results

Results タブをクリックすると、サマリーテーブルと残差に関するオプションが表示されます。

  • Summary TableSummary Table を選択すると、列または群の観測数 (N)、列または群の欠損値の数 (Missing)、列または群の平均値 (Mean)、列または群の標準偏差 (Std Dev)、および、列または群の平均値の標準誤差 (SEM) が表示されます。
  • Residuals:Residuals in Column ドロップダウンリストでは、レポートに残差を表示し、ワークシートの指定列に検定の残差を保存します。残差を保存する列を変更するには、列番号を入力するか、ドロップダウンリストから列を選択します。

4.3 Options for Two Way Repeated Measures ANOVA: Post Hoc Tests

Post Hoc Tests タブをクリックすると、検出力と多重検定のオプションが表示されます。

  • Power:ある検定の検出力 (Power) すなわち感度は、もし群間に差がある場合、その差を検定によって検出できる確率です。
  • Alpha (α):アルファ (α) は、差があると誤って判断しても良しとする確率です。提示される値は、α = 0.05 です。この設定は、 許容する誤りが 20分の1の確率であること、すなわち、P < 0.05 であれば有意差があると判断することをあらわします。α 値を小さくすると、有意差があると結論付ける要件がそれだけ厳格なものになりますが、差があるにもかかわらずないと結論付けてしまう可能性はそれだけ大きくなります。α 値を大きくすると、差があると結論付ける要件はそれだけ容易になりますが、誤判定をレポートしてしまうリスクが増加することになります。
  • Multiple Comparison (多重比較):二元配置反復測定分散分析 (Two Way Repeated Measures ANOVA) では、幾つかの処理群の間に差がないという仮説を検定しますが、どの群に差があるのか、すなわち、群間の差の大きさは分かりません。多重比較は、二元配置反復測定分散分析で差が検出されたときに、これらの差を特定するのに使います。ANOVA で差を検出するか否かの判定に使用する P 値は、Options ダイアログボックスの Report タブで設定します。二元配置反復測定分散分析 (Two Way Repeated Measures ANOVA) で求められた P 値が、このボックスで指定した P 値よりも小さければ、群間に差が検出されたことになるので、多重比較が実行されます。多重比較を実行する:多重比較は、常に実行するか、二元配置反復測定分散分析で差が検出されたときだけ実行するかを選択することができます。
    • ANOVA によって差が検出されたか否かにかかわらず多重比較を実行するには、Always Perform を選択します。
    • ANOVA によって差が検出されたときだけ多重比較を実行するには、Only When ANOVA P Value is Significant を選択します。
    • Significance Value for Multiple Comparisons:.05 または .01 を選択します。この値は、多重比較で処理間に有意差があると誤って結論付ける見込みを決定します。値が .05 であれば、多重比較で誤って差を検出する可能性が 5% 以下であれば多重比較で差が検出されることになります。値が .10 であれば、多重比較で誤って差を検出する可能性が 10% 以下であれば多重比較で差が検出されることになります。
    Note:多重比較が開始されると、Multiple Comparison Options ダイアログボックスが表示され、多重比較の手法を選ぶよう指示されます。

5. 二元配置反復測定分散分析を実行する

検定を実行するには、検定するデータを選択する必要があります。検定を実行する前にお持ちのデータを選択しておきたい場合は、対象となるデータをマウスポインタでドラッグします。

  1. Analysis タブの SigmaStat グループにある Tests ドロップダウンリストから次を選択します:Repeated MeasuresTwo Way Repeated Measures ANOVA検定ウィザードの Data Format パネルにデータフォーマットを指定するよう指示されます。
  2. Data Format ドロップダウンリストから適切なデータフォーマットを選択します。詳しくは、反復測定検定のデータフォーマットをご覧ください。
  3. Next をクリックして検定するデータ列を選択します。検定を選択する前に列を選択している場合は、 Selected Columns リストに選択された列が表示されます。
  4. Selected Columns リストに別のワークシート列を割り当てたい場合には、ワークシートで直接その列を選択するか、Data for Data ドロップダウンリストからその列を選択します。Selected Columns リストの一行目に割り当てられるのは最初に選択した列で、以後同様に列を選択するごとにリストの2行目以降に割り当てられてゆきます。各行には、選択した列の番号またはタイトルが表示されます。生データ (raw) とインデックス付きデータ (indexed) の場合は、ワークシートの2列を選択するよう指示されます。
  5. 選択した内容を変更するには、リストの割り当てを選択したあと、ワークシートから列を選択しなおします。Selected Columns リストの内容をダブルクリックすることによって、列の割り当てを消去することもできます。
  6. Finish をクリックすると、選択した列に対して Two Way RM ANOVA が実行されます。
  7. 正規性と等分散性を検定するよう指定している場合、SigmaPlot は正規性の検定 (Shapiro-Wilk または Kolmogorov-Smirnov) と等分散性の検定 (Levene Median) を実行します。お持ちのデータがいずれの検定にも不合格 (failed) だった場合、SigmaPlot によりそのことが通知されます。その場合、そのまま検定を続けるか、または、データを変換したあと、その変換したデータに対して Two Way Repeated Measures ANOVA を実行するかを選択できます。
  8. お持ちのデータに空白セルがあった場合、適切なプロシージャーを実行するよう指示されます。
    1. データは連結しているもののセルが欠けている場合、因子間に交互作用がないことを前提条件に分析を進めるか、または、各セルに対して1因子の分析を実行することになります。
    2. お持ちのデータが幾何学的に連結していない場合、または、ある被験者の水準の1つが欠損データである場合は、二元配置反復測定分散分析を実行することはできません。検定を続けるには一元配置分散分析を使うか、検定をキャンセルするしかありません。
    3. 欠損データが幾つかあるものの各セルには少なくとも1つの観測データがある場合、SigmaPlot は自動的に検定を進めます。詳しくは、二元配置反復測定分散分析のデータを配置するをご覧ください。
  9. P 値が有意なときだけ多重比較を実行するよう選択しており、その P 値が有意でなかった場合、検定の終了後に One Way ANOVA レポートが表示されます。多重比較の P 値が有意であった場合、または、常に多重比較を実行するよう選択している場合は、Multiple Comparisons Options ダイアログボックスが表示され、多重比較の手法を選択するよう指示されます。

6.多重比較オプション (Two Way Repeated Measures ANOVA)

二元配置反復測定分散分析では、複数の処理群の間に差はないという仮説を検定しますが、どの群に差があるのか、すなわち、群間の差の大きさは分かりません。多重比較検定は、実験群どうしの比較を行うことによってこれらの差を特定します。

P 値が有意なときだけ多重比較を実行するよう選択しており、ANOVA で P 値が算出され、その値がトリガーとなる P 値と等しいか小さかった場合、または、Options for Two Way RM ANOVA ダイアログボックスで常に多重比較を実行するよう選択している場合、Multiple Comparison Options ダイアログボックスが表示され、多重比較の検定法を指定するよう指示されます。ダイアログボックスの左上には ANOVA によって算出された P 値が表示されます。

Two Way Repeated Measures ANOVA で選択できる多重比較の検定法には以下の6種類があります:

Two Way Repeated Measures ANOVA で選択できる多重比較には2つのタイプがあります。選択できる比較タイプは、選択した多重比較検定法によって変わります。

  • All pairwise 比較は、組合せ可能な処理対をすべて比較します。
  • Versus Control (対照群との多重比較) は、全ての実験群を単一の対照群と比較します。

2つの因子を個別に比較する場合、一方の因子内の各水準が、他方の因子とは無関係にそれぞれ比較されます。これらの結果は、交互作用が統計的に有意でないときに使用します。

交互作用が統計的に有意であれば、各実験因子の水準間の多重比較を解釈しても意味がありません。そのような場合、SigmaPlot によって全てのセル間の比較を実行するよう提案されます。

全ての比較結果は、例えば、それぞれの群の間に検出できる差があるか否かによって、同系の異なる群の対ごとに一覧表示されます。不確実性からの影響を受けない統計的検定はありませんので、場合によっては多重比較プロシージャによる群分けが判然としないこともあります。

7. 二元配置反復測定分散分析の結果を解釈する

反復因子が1つの Two Way Repeated Measures ANOVA では、処理間の変動の原因をあらわす分散分析表が作成されます。この表には、被験者、各因子、両因子、および、被験者と反復因子に関して平方和、自由度、平均平方が表示されます。また、対応する F 統計量とその P 値もあわせて表示されます。

反復因子が2つの Two Way Repeated Measures ANOVA では、どちらの因子も反復するので、被験者と両因子の平方和、自由度、平均平方が含まれます。また、対応する F 統計量とその P 値もあわせて表示されます。

1因子の二元配置反復測定分散分析でも2因子の二元配置反復測定分散分析でも、各因子の水準のそれぞれの最小二乗平均と、両因子をあわせた水準のそれぞれの最小二乗平均が表示されます。

Two Way Repeated Measure ANOVA のいずれの形式でも、Options for Two Way RM ANOVA ダイアログボックスで追加の結果を有効または無効にすることができます。多重比較は Options for Two Way RM ANOVA ダイアログボックスで有効にします。

結果の説明

数値による結果に加えて、拡張された結果の説明が表示されることがあります。この説明テキストは、Options ダイアログボックスで有効または無効にすることができます。表示される小数点以下の桁数についても Options ダイアログボックスで指定できます。

7.1 欠損データや空白セルがある場合

お持ちのデータに欠損値があり空白セルはない場合、一般線形モデルを使って算出された結果であることがレポートに表示されます。分散分析表には F の計算に使用した自由度の近似値が含まれ、推定される各平均平方の方程式の一覧、および、推定される最小二乗平均をあらわすサマリーテーブルが表示されます。

データに空白セルが含まれている場合は、問題を交互作用のないことを前提条件として分析したか、または、問題を一元配置分散分析として処理したことになります。

  • 交互作用がないことを選んだ場合、因子の交互作用に関する統計量は計算されません。
  • 一元配置分散分析を実行した場合、表示される内容は一元配置分散分析の結果と同じになります。
    詳しくは、一元配置反復測定分散分析の結果を解釈するをご覧ください。

7.2 従属変数

二元配置反復測定分散分析を分析したワークシートのインデックス付きデータの列タイトルが従属変数になります。この列内の値が因子水準の違いによって影響を受けるか否かを判定することが、二元配置反復測定分散分析の目的です。

7.3 正規性の検定

正規性の検定 (Normality test) の結果には、変化の差が正規母集団から抽出されたものあるという前提条件の検定にお持ちのデータが合格したか (passed) 不合格したか (failed) 、および、この検定で算出された P 値が表示されます。全てのパラメトリック検定では、元になる母集団が正規分布に従っていることが要求されます。

この結果は、Options for Two Way RM ANOVA ダイアログボックスで正規性の検定を有効にしている場合に表示されます。

7.4 等分散性の検定

等分散性の検定 (Equal Variance test) の結果には、変化の差が同じ分散を持つ母集団から抽出されているという前提条件の検定にお持ちのデータが合格したか (passed) 不合格したか (failed) 、および、この検定で算出された P 値が表示されます。元になる母集団の分散が等しいことは、全てのパラメトリック検定の前提条件となります。

この結果は、Options for Two Way RM ANOVA ダイアログボックスで等分散性の検定を有効にしている場合に表示されます。

7.5 分散分析表

分散分析表には、二元配置反復測定分散分析の結果が一覧で表示されます。結果は、因子それぞれについて計算したあと、因子間について計算されたものです。

  • DF (Degrees of Freedom: 自由度):自由度 (Degrees of freedom) は、分散分析の感度 (検出力) に影響を及ぼす被験者数と処理数の尺度です。
    • 各因子の自由度は、各因子 (テーブルの各列) 内の処理数の尺度です。
    • factor x factor の交互作用の自由度は、セルの総数の尺度です。
    • 被験者の自由度は、被験者 (テーブルの各行) 数の尺度です。
    • subject x factor の自由度は、ある因子の被験者数と処理数の尺度です。
    • 残差の自由度は、因子と交互作用を考慮した後の被験者数と処理数の間の差の尺度です。
  • SS (Sum of Squares):平方和 (sum of squares) は、ANOVA データテーブルにおける各要素に関する変動の尺度です。
    • 因子の平方和は、各因子内の処理の変動の尺度です (テーブルの行列間を個別に考慮)。
    • factor x factor の交互作用の平方和は、両因子の処理の変動の尺度です。これは、セル間の平均差の変動に、個別に考慮した行列間の変動を加えたものです。
    • 被験者の平方和は、全ての被験者の変動の尺度です。
    • subject x factor の平方和は、各因子内の被験者の変動の尺度です。
    • 残差の平方和は、全ての測定値に存在する変動の尺度です。
  • MS (Mean Squares):平均平方 (mean squares) には、各種の母分散の推定量が算出されます。これらの分散推定量の比較が分散分析の基礎となります。各因子の平均平方:

    は、因子の水準間のばらつきから算出される母集団に存在する分散の推定量です。

    交互作用の平均平方:

    は、因子間の交互作用に関連するばらつきから算出される母集団に存在する分散の推定量です。

    誤差の平均平方 (残差、または群内):

    は、観測データのランダム成分から算出される母集団に存在する分散の推定量です。

  • F 統計量:F 検定の統計量は、各因子内、および、因子間の比較について算出されます。欠損データがない場合、因子内の F 統計量は:

    そして、因子間の F 比は:

    Note:欠損データや空白セルがある場合、SigmaPlot は自動的に平均平方の期待値の差を考慮して F の計算を調整します。

F 比が 1 前後である場合、そのデータは、効果が無いという帰無仮説と一致します (例えば、処理間に差はない) 。

F が大きい値の場合、平均間の変動は、母集団のランダムな変動から期待されるものよりも大きいので、標本は異なる母集団から抽出されたものである (例えば、処理間の差は統計的に有意である) と結論付けることができます。

  • P 値:P 値は、処理間に真の差があると誤って結論付けてしまう確率です (例えば、F 値に基づいて帰無仮説を誤って棄却する、すなわち、第1種の誤り (Type I error) を犯してしまう確率です) 。P 値が小さいほど、異なる母集団から標本が抽出されている確率は大きくなります。伝統的には、P < 0.05 であれば、有意差があると結論付けることができます。
  • Approximate DF (Degrees of Freedom):一般線形モデルを使用した場合、分散分析表には、欠損値を考慮した自由度の近似値が含まれます。各変数の自由度に関する詳しい説明は上記 DF (Degrees of Freedom) をご覧ください。

7.6 検出力

Options for Two Way RM ANOVA ダイアログボックスで検出力のオプションを無効にしていなければ、実行した検定の検出力が表示されます。

Two Way Repeated Measures ANOVA の検出力 (Power)、すなわち感度は、処理間に真の差がある場合、その検定で処理間の差を検出できる確率です。検出力が 1 に近づくほど、その検定の感度は高くなります。

反復測定 ANOVA の検出力は、サンプルサイズ、比較する処理の数、誤って差があるとレポートする可能性、すなわち、α (alpha)、観測される群の平均値の差、および、観測される標本の標準偏差によって影響を受けます。

  • Alpha (α):アルファ (α) は、誤って差があると結論付けることを許容する確率です。この誤りを、第一種の誤り (Type I error) と呼ぶこともあります (第一種の誤りは、効果がないという帰無仮説が真であるにもかかわらずそれを棄却するときです)。この値は、Options for Two Way RM ANOVA ダイアログボックスで設定します。提示される α = 0.05 という値は、許容する誤りを 20分の1にすることを示します。α の値を小さくするほど、有意差があるとの結論に至る要件はそれだけ厳格になりますが、その反面、差があるにもかかわらず差がないと結論付けてしまう可能性は高くなります (第二種の誤り:Type II error)。α の値を大きくすれば、差があるという結論付けは容易になりますが、その反面、偽陽性 (false positive) をレポートするリスクが高まります。

7.7 平均平方の期待値

もし、欠損値が存在し、一般線形モデルが使用された場合、このモデルによって計算された平均平方の期待値の線型方程式が表示されます。これらの方程式は、一般線形モデルが使用されたときしか表示されません。

7.8 サマリーテーブル

各因子ごと (サマリーテーブルの行と列)、および、各因子の組合せごと (サマリーテーブルのセル) に最小二乗平均と平均値の標準誤差が表示されます。欠損値がある場合は、一般線形モデルを用いて最小二乗平均が推定されます。

  • Mean:条件や群の平均値です。
  • Standard Error of the Mean:平均値の不確かさ (uncertainty) の尺度です。Least Squares Mean と関連する Standard Error は、全データに基づいて算出されます。これらのデータは、個々のセルのデータから算出した値とは異なる場合があります。特に、つり合いの取れた計画である場合、全ての最小二乗誤差は、全てのセルで等しくなります。(セルによってサンプルサイズが異なる場合、最小二乗標準誤差はサンプルサイズに応じて異なり、サンプルサイズが小さいほど標準誤差が大きくなります。) これらの標準誤差は、各セルを個別に計算した標準誤差より差は大きくなります。Options for Two Way RM ANOVA ダイアログボックスでサマリーテーブルを表示するよう選択していれば、この表が作成されます。

7.9 多重比較

SigmaPlot で処理間の差が見つかった場合、多重比較表を計算することができます。多重比較は、Options for Two Way Repeated Measures ANOVA ダイアログボックスで有効にします。

ANOVA の結果からは、2つ以上の処理に差があるかどうかまでしか分からないため、具体的にどの処理に差があるかを特定するには、多重比較の結果を使います。完全二元配置分散分析の2因子の多重比較では、次も比較します:

  • 各因子内の処理を他の因子とは無関係に比較 (例えば、テーブル内の列または行のみを比較する周辺比較 (marginal comparison) です)。
  • 因子の全ての組合せを比較 (テーブル内の全てのセルをそれぞれ比較します)

多重比較の結果の特定のタイプは、使用する比較検定法、および、比較の仕方、すなわち、全ての組み合わせ (pairwise) か、対照群との比較 (versus a control) かによって異なります。

  • 全ての対の組み合わせ (All pairwise comparison) の結果には、組み合わせ可能な全ての群の対の一覧が表示されます。全ての対の組み合わせには、Tukey, Student-Newman-Keuls, Fisher LSD, Duncan’s, and Dunnett’s, および Bonferroni t-test があります。
  • 単一の対照群との比較では、選択した対照群 (control group) との比較しか表示されません。対照群は実際に行う多重比較プロシージャで指定します。対照群との比較検定には、Bonferroni t-test と Dunnett’s test があります。
  • Bonferroni t 検定の結果:Bonferroni t-test には、各処理の対の平均値の差が一覧で表示され、各対の t 値が計算され、その比較について P < 0.05 であるか否かが表示されます。Bonferroni t-test は、全ての処理の比較にも、対照群との比較にも利用できます。t 値が大きいものであれば、比較した2つの処理の差は統計的に有意であると結論付けることができます。比較した P 値が 0.05 より小さい場合は、誤って有意差があると結論付けてしまう可能性は 5% よりも小さくなります。この値が 0.05 より大きければ、確信を持って差があると結論付けることはできません。この平均値の差 (Difference of Means) が比較する処理やセル間の差の大きさの尺度となります。周辺比較の自由度 DF は、比較する因子内の処理 (水準) 数の尺度になります。全てのセルを比較するときの自由度は、因子と交互作用を計上したあとのサンプルサイズの尺度になります (これは、誤差または残差の自由度と同じです)。
  • Tukey, Student-Newman-Keuls, Fisher LSD, Duncan’s, および Dunnett’s Test の結果:Tukey, Student-Newman-Keuls (SNK), Fisher LSD, および Duncan’s tests は、いずれも群の全ての対の組み合わせを比較するものです。これに対して、Tukey, Fisher LSD, および Duncan’s は、対照群とそれ以外の群との比較に使用するものですので、このタイプの比較では推奨されません。対照群とその他の全ての群とを比較できるのは Dunnett’s test のみです。いずれの検定も、q 検定統計量、比較 p の間の平均値の数を計算し、その対比較で P < 0.05 または < 0.01 であるか否かを表示します。q 値が大きいものであれば、比較した2群の間の差は統計的に有意であると結論付けることができます。比較の P 値が 0.05 より小さい場合は、誤って有意差があると結論付けてしまう可能性は 5% よりも小さくなります。この値が 0.05 より大きければ、確信を持って差があると結論付けることはできません。p は、q の算出に使用するパラメータです。p が大きければ、有意差を示すのにそれだけ大きな q が要求されます。p は、比較する群平均の順位に関する差の指標です。群平均には大きいものから小さい順にそれぞれ順位を付け、比較における平均値の数の隔たりが p になります。例えば、比較する平均値が4つある場合、最大と最小を比較すると p=4 となり、二番目に小さなものと最小のものを比較すると p=2 になります。ある処理が他の処理と比べて有意差がないことが分かった場合、差のない2つの処理の順位 p の間にある順位 p を持つ全ての処理についても、有意差がないとみなされますので、これらの比較については DNT (Do Not Test) という結果が表示されます。
    Note:SigmaPlot は、異なるセル対の間に自由度の差があるため all pairwise 比較には DNT ロジックを適用しません。
  • Difference of the Means (平均値の差) が比較する処理またはセルの間の差の大きさの尺度となります。
    周辺比較の自由度 DF は、比較する因子内の処理 (水準) 数の尺度になります。全てのセルを比較するときの自由度は、因子と交互作用を計上したあとのサンプルサイズの尺度になります (これは、誤差または残差の自由度と同じです) 。

8. 二元配置反復測定分散分析のレポートグラフ

Two Way Repeated Measures ANOVA の結果を使用して以下に示すグラフを5つまで作成できます:

8.1 Two Way Repeated Measures ANOVA レポートのグラフを作成する方法

  1. Two Way Repeated Measures ANOVA test レポートを選択します。
  2. Report タブで、Results Graphs グループにある Create Result Graph をクリックします。Create Result Graph ダイアログボックスが表示され、その中に Two Way Repeated Measure ANOVA の結果で利用できるグラフのタイプが表示されます。
  3. Graph Type リストの中から作成したいグラフタイプを選択して、OK をクリックするか、リスト内の目的のグラフをダブルクリックします。選択したグラフがグラフウィンドウに表示されます。