CrystalMaker 11.7 で追加された MOF 自動化機能(MOF Automation) についてご紹介いたします。
MOF(Metal-Organic Framework:金属有機構造体) は、金属イオン(ノード)と有機配位子(リンカー)が連結してできた、内部に規則的な空孔(細孔)を持つ多孔性の結晶性材料です。ガス貯蔵・分離、触媒、センサーなどへの応用で注目されており、空孔のサイズや形状の可視化が構造理解の鍵になります。
CrystalMaker の MOF 自動化機能は、こうした MOF・ZIF(Zeolitic Imidazolate Framework)などの開放骨格構造の可視化を自動化する機能です。
Transform > Automate サブメニューから利用します。このサブメニューは、従来からの Silicate Framework(ケイ酸塩骨格)や Molecular Centroids(分子重心)コマンドの新たな置き場所となり、あわせて今回2つの新コマンドが追加されました。

| コマンド | 内容 |
|---|---|
| Filled Rings(充填リング) | 有機環(リング)の重心(centroid)を検出し、カスタムの多面体表示へ自動的に切り替えます。 |
| Filled Rings & Cavities(充填リング&空孔) | 上記に加え、半透明の空間充填球(Space-Filling Sphere)をモデルに追加し、空孔の位置と大きさを示します。 |
これらのコマンドは、従来は手作業で何ステップも要した煩雑な操作を自動で行います。具体的には:
Filled Rings & Cavities コマンドは、Michael O’Keeffe 氏らが旧バージョンの CrystalMaker を用いて広めた、古典的な「半透明の黄色い球」モデルを生成します。これにより、開放骨格材料における空孔のサイズを直接観察できます。
実際の MOF 構造データ(CIF ファイル)を入手し、CrystalMaker で可視化したうえで、新機能の自動化コマンドを適用する流れです。
公開の MOF データベース MOFX-DB(Northwestern University) から CIF ファイルをダウンロードします。
可視化に向く代表的な多孔性 MOF(例): HKUST-1(Cu-BTC)、ZIF-8、MOF-5(IRMOF-1)など。大きな空孔(ケージ)を持つため、空孔可視化の効果が分かりやすい構造です。

Transform > Automate サブメニューから、目的に応じて次を実行します。

⚠️ 空孔(cavity)が見つからない場合、Filled Rings & Cavities はエラー警告を表示します(11.7.1 での改善)。空孔が検出されない構造では、十分大きなケージを持つ MOF を選び直してください。
範囲(レンジ)を広げて複数の単位格子を表示し、Model インスペクターで空孔(Cav0/Cav1)の表示・非表示を切り替えると、細孔構造を多角的に把握できます。
① Set Range(範囲)で表示範囲を広げ、複数の単位格子にわたって空孔球を表示

② Model インスペクターで大きな空孔(Cav0)を非表示にした状態

③ Cav0 を再び表示した状態

④ Cav0・Cav1 の両方の空孔を表示し、細孔構造の全体像を把握
