CrystalMaker ユーザーでもある3人の科学者が金属有機構造体 (MOF) の研究で2025年ノーベル化学賞を受賞しました。これを受けて MOF 構造の自動化機能の追加と、パフォーマンスを大幅に向上した CrystalMaker 11.7 をリリースしました。

CrystalMaker 11.7 では、Ring Automation という新しい概念が導入されました。新しい Transform > Automate > Filled Rings コマンドは、色分けされた環を表示する最適な「分子セ ル」ビューを生成します。それぞれの環の中心にダミー原子(環の化学式でラベル付け)が配置され、平面多面体を定義するために使用されます。これらの多面体は自動的に色分けされます。モデルタイプを Polyhedral に変更すると、塗りつぶしされた環が表示され、その他の原子は ball-and-stick スタイルで表示されます。

新しい Transform > Automate サブメニューには、元々あった Silicate Framework (ケイ酸塩フレームワーク) と Molecular Centroids コマンドを移動し、新たに MOF (金属有機構造体)、ZIF、および、類似構造の処理を支援するために設計した以下の2つのコマンドを追加しました。
新たに追加された Filled Rings コマンドは、既存の環 (Ring) 測定と同様の手順に従い、構造内のすべての(有機)環の重心 (セントロイド) を特定しますが、その後、セントロイドを新しいサイトとして追加し、自動的にカスタム多面体ビューに切り替えます。

この自動処理により、一連の手動による面倒な作業が不要になります。Filled Rings & Cavities コマンドも同様の手順に従いますが、モデルに半透明の space-filling spheres が追加され、その位置とサイズが示されます。これにより、以前のバージョンの CrystalMaker を使用して Michael O’Keeffe 氏らが普及させた、古典的な「半透明の黄色い球」モデルを作成できます。
新しい Measure > Rings コマンドは、1リングあたり最大6個の原子を含む有機元素(C、N、S、O、P、および/または B)のすべての環を検索し、各環について以下の特性を出力します:
多面体モデルを表示しながら、原子球を正しい「空間充填」サイズで表示できるようになりました。これにより、MOF やその他のオープンフレームワーク材料の空洞サイズの表示が大幅に容易になります。多面体スタイルのポップオーバーを再設計し、この新しい “Space-Filling Atom” スタイルが表示されるようになりました。
アルゴリズムの改善により構造の緩和が大幅に高速化されました。「アニーリング」の初期温度を低く設定できるようになり、不要な原子変位が最小限に抑えられます。我々のテストでは、ルチル (Rutile) スーパーセル(747原子/セル)のショットキー欠陥 (Schottky defect) の緩和が、従来(バージョン11.6.4)よりも27倍高速化されました。
構造緩和中に表示される Energy ウィンドウを、今回のリリースで大幅に改良しました。ドロップダウンメニューボタンを備えたツールバーが追加され、表示のカスタマイズが容易にできるようになりました。グラフ領域はマルチタッチに対応し、現在の緩和エネルギーをズーム表示できます。データポイントは、単に順番にプロットされるのではなく、時間の関数としてプロットされるようになりました。グラフの x 軸の単位は、現在のタスクの継続時間に応じて、秒から分、時間へと切り替わります。
結合指定が1つだけの構造(例:「Si-O」)の結合生成が2~3倍高速化されました。さらに、サイト座標番号のよりスマートな生成とキャッシュにより、自動結合生成が約40%高速化されました。
CrystalMaker は数十年にわたりベーシックな「XYZ」ファイルをサポートしてきましたが、新たに XYZ Extended (拡張) ファイルもサポートするようになりました。これらのファイルには「Lattice=”」タグを含むヘッダー行があり、これによって初めて結晶構造を生成できるようになります。CrystalMakerは、このようなファイルのインポートに加えて、XYZ ファイルを「拡張」(結晶変換マトリックスを含む)または「基本」(分子)形式でエクスポートできるようになりました。
このバージョンは macOS 11以降(バージョン26「Tahoe」を含む)に対応するよう更新されました。これには、コードベースの大幅なモダン化、非推奨のシステムコールの削除、および、制御フローの改善が含まれています。なお、MacOS X はサポート対象外となり、macOS 11「Big Sur」以降が現在サポートされるバージョンとなります。
このバージョンには、パフォーマンスの改善とその他のバグ修正が含まれています。