同じデータ、同じ 3D サーフェス。それなのに、一方は凹凸がくっきりと立体的に見え、もう一方はのっぺりと平坦に見える――その違いを生むのが「ライティング(光源)」です。Surfer 30 では 3D View の光源が最大 4 方向まで設定できるようになり、これまで影で潰れていた面や白飛びしていた面まで、思いどおりに照らし分けられるようになりました。この記事では、複数光源を活かして 3D モデルの「見せ方」を一段引き上げるコツを紹介します。
苦労して作り上げた 3D モデルも、光の当て方ひとつで印象は大きく変わります。地形の起伏、地層の重なり、濃度分布の山と谷――これらは陰影(シェーディング)によって初めて立体として認識されます。光が単調だと、せっかくの起伏がフラットに見え、重要な特徴が背景に埋もれてしまいます。
逆に、適切なライティングは見る人の視線を自然と要点へ導き、専門知識がない関係者にも「どこが高くて、どこが低いのか」「どこに異常があるのか」を直感的に伝えます。モデルの正確さと同じくらい、その見せ方が意思決定を左右するのです。


照明効果を設定するには、3D View で Contents ウィンドウの Environment を選択し、Properties で Lighting タブを選択します。

Surfer のライティングは、3 つの成分の組み合わせで決まります。それぞれの役割を理解すると、狙った見え方に素早く近づけます。
| 成分 | 役割 | 上げると | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| Ambient Color(環境光) | 方向を持たない一様な光。シーン全体の明るさの下地(デフォルト:90% ブラック) | 影を作らず全体が明るくなる | 影が濃すぎて暗部が読めないときに底上げ |
| Diffuse(拡散光) | 特定方向から均一に散乱する指向性の光。面が光に正対するほど明るい(デフォルト:白) | 凹凸・傾斜のコントラストが強調される | 地形の起伏・斜面の向きを見せたいとき |
| Specular Highlights(鏡面反射ハイライト) | 特定方向で反射するハイライト(テカリ)。Strength(0〜100%)・Shininess(光沢度)で調整 | 光沢感・強い陰影が出る | 質感を出したいとき。※上げすぎ注意 |
実務では、Diffuse で地形の凹凸を立たせ、Ambient で暗部を程よく持ち上げ、Specular は控えめに――が基本の型です。


複数光源を設定する前に、光源位置の追従モードを選ぶ必要があります。

| モード | 特徴 | 向くケース |
|---|---|---|
| カメラに追従(Follow the Camera) | 回転に合わせて光源が追従。手前面が常に明るい(デフォルト) | サーフェス 1〜2 枚・オーバーラップが少ないシンプルなモデル |
| 固定(Fixed) | 光源方向を固定。Directional・Point を最大 4 つ追加可能 | 複数サーフェスの重ね合わせ・ボーリング孔・地下地層を含む複合モデル |
シンプルな 3D サーフェスなら「カメラに追従」のデフォルトで十分なことが多いですが、レイヤーが増えるほど・地下構造が加わるほど、固定の複数光源が効力を発揮します。モデルを回転させながら確認するだけでなく、報告書や発表スライドに使う「決まった視点からの静止画」には特に、固定モードで光の向きを詰めることをお勧めします。
なお、固定モードで追加できる光源には 2 種類あります。
| 光源タイプ | しくみ | 使いどころ |
|---|---|---|
| 指向性ライト(Directional) | 太陽のような遠距離光源。平行光線がすべての面に均一に当たる | 地形起伏の強調・一貫した影の方向が必要な場合 |
| ポイントライト(Point) | シーン内の特定座標から全方向へ放射する点光源 | 局所的な特徴(特定の地層・孔など)をスポット的に照らしたい場合 |

1 方向だけの光源には限界があります。光源に正対する斜面は明るく映える一方、反対側の斜面は影で黒く潰れ、光源に対して垂直な面は白飛びしがちです。地形が一方向を向いているならそれでも十分ですが、実際のサーフェスやサブサーフェスは、斜面がさまざまな方向を向いています。
身近な例:RGB の加法混色
舞台照明の赤・緑・青(RGB)3 色のスポットライトを同じ点に向けて重ねると、合わさって白く見えます。これが光の加法混色の直感です。複数の光源を重ねることで照らされる面が増え、「影で潰れる」「白飛びする」を互いに補い合う――Surfer の複数光源も同じ原理で働きます。
Surfer 30 では、3D View の光源を最大 4 方向まで設定できます。 複数の方向から光を当てることで、
といったことが可能になります。光源設定はマルチレイヤーマップ全体(サーフェス+オーバーレイ+3D 点・ベクターデータ)に適用されるため、重ねた要素すべてに一貫した陰影が付きます。
光をどの方向から当てるかで、陰影の付き方は一変します。慣例的には北西(左斜め上)からの照明が、地形図の陰影として最も自然で読みやすいとされます。人の目が「光は上から来る」と無意識に想定するためです。Surfer では光源の向きを方位角(Azimuth・0〜360°) と 高度角(Altitude・0〜360°) で指定でき、陰影が最も分かりやすくなる角度を選べます。
※Surfer の 3D View のデフォルトの光源 (Location=Fixed) は、Azimuth=315(北西), Altitude=45 です。まさに「北西・斜め上」の慣例がデフォルトに採用されています。

光源の向きは、方位角(Azimuth=水平方向) と 高度角(Altitude=高さの角度) の 2 つで決まります。
| プロパティ | 単位 | 説明 |
|---|---|---|
| 方位角(Azimuth) | 度(°) | コンパス方位で水平方向を指定。0°=北、90°=東、180°=南、270°=西 |
| 高度角(Altitude) | 度(°) | 天頂からの角度。0°=水平(地平線)、90°=真上、180°=裏側、270°=真下 |
複数光源が使えるので、「主光源を北西・斜めから/補助光源を反対側から弱めに」と役割分担させると、陰影のメリハリと暗部の可読性を両立できます。

2 つの丘と 1 つの窪地を持つサーフェスを題材にします。斜面がさまざまな向きを向いているため、複数光源の効果がはっきり出ます。


地表だけでなく、サブサーフェス(ドリルホール)でも複数光源は効果的です。向きの異なる複数の孔や、波打つ地層境界面を、それぞれ適切に照らし分けられます。


3D モデルは、作って終わりではありません。同じデータでも、ライティング次第で「伝わり方」は大きく変わります。
次に 3D モデルを見せるときは、ライティングをほんの少し調整してみてください。それだけで、関係者の「分かった」が変わります。
さらに一歩進めるなら、動きで見せる フライスルー と組み合わせるのもおすすめです。
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