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株式会社ヒューリンクス
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I. CrystalDiffract とは?

粉末回折シミュレーションとはどのようなものでしょうか?以下の図の上が現実世界です。下が仮想(シミュレーション)世界です。

回折計を通して得られた現実世界の結晶の回折パターンと、シミュレーションモデルを使った回折パターンを一致させます。構造の決定です。これにより、現実の結晶の正確なサイズや角度が結晶モデルによってあらわされたことになり、この構造モデルを土台にして、さまざまな仮説や理論を組みたてることができるようになるわけです。

CrystalDiffract の機能

CrystalDiffract は、粉末回折の世界を親しみやすく楽しくするにするために設計されたスタンドアロン・プログラムです。Windows 版と Mac 版があります。

  • パラメータをグラフィカルに操作し、結晶構造と回折パターンの関係を直感的に理解できます。
  • 実際に観測したデータを読み込んで、シミュレーションしたデータと比較できます。

CrystalDiffract で使用するデータは、結晶構造データと、観測された回折データの2種類です。

  • 結晶構造データは一般的な CIF 形式のファイルを読み込めます。もちろん、CrystalMaker で作成されたデータも取り込めます。これにより、シミュレーションによる回折パターンを作成します。
  • 観測された回折パターンは、テキスト形式の XY 2列からなるデータであれば読み込むことができます。

取り込んだデータはアイコンで区別できます。表示のオン・オフはチェックボックスで行います。

結晶構造データが手元に無い場合は、CrystalDiffract 付属のライブラリから構造データを取得することもできます。たとえば、Au というキーワードで元素を検索すると、目的のデータ (Gold) を取得できます。

  • 検索には、各種オプションを利用できます。
  • また、結晶エディタも用意されているので結晶構造を一から作成することも可能です。

現実世界のパラメータ

さて、CrystalDiffract で制御できるパラメータにはどのようなものがあるでしょうか? まず、現実世界のパラメータとして、

  • サンプル(粉末)に関するものと、
  • 回折装置に関するもの

があります。

バックグラウンドは回折装置に由来するものですが、装置によっては自動的に差し引かれるものもあります。そうでない場合は、

  • 実験で得られた回折プロファイルのバックグラウンドを自動または手動によって差し引きできます。

装置の精度、粒子サイズとサンプルの歪みは、ピークの広がり方を左右します。

  • これらは、各スライダーで調整できます。

粉末試料の選択配向によっては、ピークの強さや広がりが大きく変化します。

選択配向 (preferred orientation) :粉末試料の微結晶はランダムに配置されることが望ましいですが、試料ホルダーへの粉末の充填の仕方によっては非ランダムな結晶配向になることがあります。”プレート状”と”ニードル状”の配向をシミュレーションできます。 現在、CrystalDiffract ではリートベルト最適化で選択配向を考慮できません。リートベルト最適化では、ランダムな分布が想定されます。今後のアップデートで追加される予定です。

これも専用のスライダーでシミュレーションできます。

仮想世界のパラメータ

結晶構造モデルそのものを左右するパラメータは、どのようなものがあるでしょうか?これらは、結晶構造に直接関係するパラメータになります。

まず、格子定数です。

  • a, b, c は各辺の長さ、
  • α, β、γ は角度になります。

CrystalDiffract でこれらのパラメータを変更すると、ピークの位置がどのように変化するかを確認できます。

次に、サイト占有率です。「席」占有率とも言います。つまり、単位格子の特定の位置に占める複数の元素の存在比率になります。

  • 図は金と銀の合金です。同じサイトに異なる元素が存在します。
  • サイト占有率を変化させると、回折パターンのピークの「強度」が変化します。

そのほかに、分率座標、等方性異方性変位を変化させることができます。

多相のシミュレーション

つぎに、多相のシミュレーションについてです。

  • 複数の結晶構造データまたは観測データを1つの混合物として、取り扱うことができます。
  • 図は、金と銀の混合物を作成した例です。

その他の機能として、相識別機能 (Phase ID) があります。プログラムにビルトインされたデータベースを利用して、未知のパターンを識別できます。

  • 空間群
  • 密度
  • 出典情報
  • スコア

作業ファイルのとりまとめ

粉末回折の研究では、複数のファイルを取り扱うことが多いです。CrystalDiffract では、作業に使用した各種ファイルを単一のファイルにまとめて保存することが可能です。また、リッチテキスト形式のノートとして研究の内容や、取り込んだデータの由来などを記載しておけば、後の研究に役立てることができます。

  • “観測されたデータ”と”シミュレーションされたデータのすべて”、および、”バーチャルな回折実験のあらゆる側面”を、1つのファイルに保存可能
  • リッチテキスト形式のノートには詳細なサマリを記録
  • 日本語対応
  • フォントスタイル変更可能
  • 画像貼り付け可能

演習1

それでは、実際に CrystalDiffract を操作してみましょう。パラメータの変化に応じて回折パターンがどのように変化するかを観察します。

    ビデオ1:混合物の回折シミュレーション

    ライブラリから Au と Ag を個別に読み込み、混合物を作成します。各要素のパラメータを変化させて混合物のプロファイルがどのように変化するか確認します。

    ビデオ2:合金の回折シミュレーション

    ライブラリから AuAg 合金を読み込み、サイト占有率を変化させます。