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高速ディジタル通信における伝送特性の評価・検証に活用

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シミュレーションでは、IGOR Pro に組み込まれているフーリエ変換、ヒストグラムや複素数演算等の充実した関数を利用して、伝送特性の詳細な評価・検証が可能です

 

研究はどのように進められ、データが記録されていますか?

ディジタル信号処理を応用した電気配線における高速ディジタル通信技術について研究開発を行っている。CPU などの半導体素子の処理能力の向上に伴って、半導体チップ間を結ぶプリント基板配線などの電気配線上の通信周波数は数 GHz 以上に高周波数化している。しかし、高周波数化に伴って信号波形に生じる歪みの影響が問題になっている。具体的には、電気配線のローパス特性によって高い周波数の信号成分が減衰する事で受信側での信号波形に歪みが生じる。この問題が、電気配線における通信速度の高速化を妨げる要因になっている。

この問題に対して、受信側での信号波形の歪みをディジタル信号処理で除去する波形整形技術について研究している。配線の影響による信号波形の歪みを除去するような信号処理を、送信時に予め施すことで、より高速で正確な通信の実現を目指している。

波形
周波数特性
インパルス応答

IGOR Pro の用途は何ですか?

IGOR Pro を用いて、実測したプリント基板配線などの周波数特性データの解析とグラフ描画、さらに実測した特性に基づく伝送シミュレーションの実行および結果の表示・解析を行っている。特に、シミュレーションでは、IGOR Pro に組み込まれているフーリエ変換、ヒストグラムや複素数演算等の充実した関数を利用して、伝送特性の詳細な評価・検証が可能である。

測定基板

IGOR Pro を使い始めたきっかけは?

学生時代の研修先の産業技術総合研究所で、研究を指導下さった研究者の方が使用していたのがきっかけ。IGOR Pro を初めて起動したとき、複雑で難しそうなソフトである印象を受けたが、使い始めるとデータ読み込み〜プログラミング〜解析までを一括して行える環境と、充実したグラフ機能がとても便利で、学生時代から今まで研究に欠かせないツールとして利用している。

測定の様子

IGOR Pro の使用感、良い点と悪い点は?

  • 関数やグラフ機能が充実している点。グラフなどのイメージ出力では、BMP、EPS や PDF など、様々なフォーマットでの出力が可能な点は、論文や授業の資料作成等に非常に便利。
  • 他のソフトにない IGOR の便利な点は、「ファイル保存」でデータだけでなく、グラフの配置や履歴が残る点である。「ファイル保存」にて、これまでの作業の流れが保存でき、保存時のそのままの状態から次回作業復帰ができる。
  • IGOR プログラムは、基礎的なC 言語などのプログラム知識があれば、組み込まれている関数を応用して高度な解析プログラムが比較的容易に開発可能。また、C 言語などでのプログラムと比べて、行列や複素数の扱いが楽である。
  • 使い方や関数の説明などのドキュメントが多く、初めて IGOR を導入する技術者が独自で勉強して使用する場合は、やりたい事ができるくらいに慣れるまで少し時間がかかる。
  • 英語版は Windows と Mac が同一ライセンスで使用できるが、日本語版では Windows 版と Mac 版が別ライセンスになってしまう。
    (編集注:当インタビュー後、2017年6月に日本語版ライセンスのルールは変更となり、現在では英語版・日本語版ともに、Windows と Mac を同一ライセンスで使用できます。)

IGOR Pro を使って開発されたプログラムを用いた研究成果があればご紹介ください

<>プリント基板上の電気配線 (Micro-strip line) について、高周波数測定器 (ネットワークアナライザ) で測定した周波数特性を用いた伝送シミュレーションを IGOR プログラムにて実施している。さらに、種々のディジタル信号処理技術を適用した波形整形について IGOR プログラム上にてシミュレーションし、結果の表示および評価を行っている。特に、IGOR Pro のグラフ機能を応用し、実際の測定器 (オシロスコープ) と同様な波形表示を実現し、評価を行っている。

IGOR Pro を使って開発されたプログラム例 (オシロスコープ表示)
IGOR Pro を使って開発されたプログラム(通信評価)

どのような研究者の方に進められる製品ですか?

様々な測定データの解析や、シミュレーションから結果の表示・解析を1つのソフトウェアで処理したい研究者の方にオススメである。IGOR に導入されている関数はとても充実しているため、幅広い分野の高度なシミュレーションにも対応できる。さらに、IGOR Pro は様々なフォーマットのデータ読み込みに対応しており、Excel 等の表計算ソフトからのデータコピーも容易なため、色々な実験や測定環境に対応できると思う。数値データを扱う幅広い分野の研究者にとって有用なツールであると思う。

 
 
 

本事例作成に関し、飯島助教 のご協力に感謝いたします。

(インタビュー:2015 年8 月)
※所属・役職は取材当時のものです。

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