Gaussian 03 から Gaussian 09 への変更点
このセクションでは、Gaussian 03 と Guassian 09 の大きな変更を短くまとめています。これらの詳細(参考文献など)についてはマニュアルを参照してください。歴代バージョンの Gaussian についてのまとめの記事は Gaussian のウェブサイトにあります (www.gaussian.com/g_tech/gdiffs.pdf)。
新しい手法と特徴
エネルギーと微分
- 最近の半経験的モデル、AM1、PM3、PM3MM,、PDDG、PM6 への新たな実装では、解析的一次および二次微分、パラメータのユーザ定義、PCM 溶媒和モデルとの併用が可能
- TD-DFT の勾配計算と数値的振動計算
- EOM-CCSD による電子励起エネルギー
- HSE、wB97、m05/m06、長距離補正汎関数(LC- families)、double-hybrid B2PLYP 等の多くの新らたな DFT 汎関数
- 対応する汎関数に経験的分散モデル
- ROMP3、ROMP4、ROCCSD、および ROCCSD(T) エネルギー
- W1RO、W1BD、G4 法の高精度エネルギー計算手法
- DFTB 半経験的モデルと解析的行列要素を使用した DFTBA
ONIOM法
- ONIOM と PCM の組み合わせが可能。ONIOM+PCM にはいくつかのモデルが存在
- IRC 計算が ONIOM 法で実行可能。数千原子を含むシステムでも効果的
溶媒和
- PCM に新アルゴリズム導入で、全ての SCF プロパティに効果的な溶媒和を考慮でき、原子核座標変化に対してエネルギーが適切な連続関数で得られる。PCM 条件付の構造最適化は、気相での最適化に匹敵する収束性を実現
- 蛍光や他の光放出過程をモデルするため、電子状態を指定した自己無撞着溶媒和が実行可能
- 数百の溶媒に対して良い溶媒和自由エネルギー与えるようにパラメータ化した SMD 溶媒和モデルを利用可能
構造最適化と IRC 計算
- 構造最適化アルゴリズムのデフォルトが GEDIIS に。特に、巨大な柔らかい分子に有効
- 極小構造や遷移構造探索に、また、分子力学あるいは electronic embedding に、二次関数収束 ONIOM(MO:MM) 最適化
- 構造最適化時に原子を固定する、あるいは固定しないための指定を入力データセクションから読み込みが可能。原子指定は、原子、元素、残基あるいは ONIOM レイヤーで可能
分子特性
- 解析的周波数依存 ROA 強度
- 解析的 DFT 超分極率
- 2つの状態に対する調和基準モードを使った Franck-Condon 理論による電子励起、光放射、光イオン化のバンド形
- Herzberg-Teller または Franck-Condon-Herzberg-Teller 理論による電子励起バンド形
- 表示、非調和補正、FC/HT/FCHT 解析での使用のために基準モードを選択可能。選択は、原子、元素、ONIOM レイヤーあるいは残基により指定可能
解析と出力
- タンパク質の二次構造の情報を、入力データ中分子定義セクションや .fchk ファイルに含めることが可能
- 原子、角運動量による軌道への寄与を与えて Orbital by orbital ポピュレーション解析が実行可能
- 可視化あるいは ROHF 計算の初期推定のため、カノニカル UHF/UDFT 軌道は、biorthogonalize できる
- CIS と TD 励起に自然遷移軌道解析を追加
- 占有軌道を最小基底へ射影後に Mulliken ポピュレーション解析が可能
他の新機能
- それぞれのフラグメントに電荷とスピン状態を指定し、フラグメントの計算を組み合わせて SCF の初期推定が可能
- デフォルトの2点差分の替わりに4点差分を使うことにより、精度がよく安定な数値振動解析が可能
能率向上
- 大規模分子の HF と DFT 振動計算がより高速化(特に並列実行時)
- FMM 法で用いている linear scaling 静電項と交換項がクラスタ並列計算に対応
- 特に、electronic embedding 法の採用で大規模系の ONIOM(MO:MM) 振動計算がより高速化。100-200 QM 原子と 6000 MM を含む振動計算が実用的に
- 大規模振動計算の途中で基準モードを保存し、モードの印刷や表示、IRC=RCFC ジョブの開始が可能に
- CC、BD、EOM-CCSD の amplitudes をチェックポイントファイルに保存し、後に異なる基底関数を用いた計算で読み込み可能に。BD 軌道関数も保存し、後に読み込みが可能に
- 半経験的方法、HF 法、DFT 法の振動計算が、計算の途中でリスタート可能に
- CCとEOM-CC 計算が、計算の途中でリスタート可能に
- ONIOM 計算に含まれる個々の初期推定は、分割したチェックポイントファイルから取り出すことが可能に。ONIOM=OnlyInputFiles オプションで、ONIOM 計算の個々の部分の入力ファイルをプリントし、分離した波動関数を容易に生成
- SVP、TZVP、QZV 基底関数へ対応する密度フィッティング基底関数を導入。/Fit キーワードは、指定の AO 基底に調和するフィッティング基底を使うか、もし指定のフィッティング基底がない場合は、/Auto を要求する。つまり、BVP86/SVP/Fit は SVP 基底に対応したフィッティング基底を使い、BVP86/6-31G*/Fit は、BVP86/6-31G*/Auto と同じ意味になる
- 純密度汎関数を要求した時に、常にフィッティングの既定値を利用するため、DensityFit キーワードを Default.Route ファイルに設定可能に
- 密度基底関数は、非規格化原始関数、密度による規格化原始関数、AO 類似の規格化原始関数等の係数を使って読み込み可能に。これらの慣習を使用する他のプログラムがあるので、G09 には、出版された基底関数を読み込むためこれらのオプションを装備
Gaussian 09 と Gaussian 03 の機能の違い
- SCF 一点計算の既定値を full 精度に(SCF=Tight)
- Freq=ROA の既定値を CPHF=RdFreq に。これは、周波数依存 ROA 強度は解析的計算であるが、静的な限界では数値計算で精度が劣るため
- MP、BD、CC の post-SCF 法の既定値を Tran=IABC に。これは、多くのマシンで full transformation を行うより効果的
- IRC 計算の既定値が新しい L123 へ。特に指定しない場合、古い IRC リンク(L115)は IRCMax ジョブのみで使用。L123 の既定アルゴリズムは IRC=HPC で、例外は ONIOM(MO:MM) 計算で、IRC=EulerPC が既定値。L123 でも(L115 で使用していた)IRC=GS2 アルゴリズムが指定可能だが、これは既定アルゴリズムより遙かに高価
- 既定値では、IRC 計算では経路上の各点でエネルギーと反応座標のみ出力。内部座標とまとめの表出力には、IRC=Report を使う
- 通常、QM 振動計算と ONIOM(MO:MM) 振動計算では、G03 同様、CPHF=Simultaneous が既定値。しかし、半経験的法の振動計算では CPHF=Separate がより効果的なため、これが既定値
- Counterpoise と Guess=Fragment 計算、あるいはフラグメントによるポピュレーション解析のための原子のフラグメント割り当ては、各原子の原子核パラメータの部分で指定。古い方式では行末で指定していたが、ONIOM 入力などとの混乱を避けるための変更。
例えば、新しい方式は: C(Fragment=3) 0.0 1.0 2.0 古い方式では: C 0.0 1.0 2.0 3
- 同位体は、通常、各原子の原子核パラメータの部分で指定する。もし、分割して読み込む場合は、IRC、Freq など、プログラムの異なるパートで部分的に読み込むよりは、分子定義セクションの後に指定し、一度に読み込まれる
ユーティリティプログラムの強化
- formchk は、ユーザ定義の MM タイプや他の文字列等の情報を .fchk ファイルに追加が可能に。オプション –3 とともに formchk を起動する
- freqchk は、.chk や .fchk ファイルから基準モードを取り出し、.chk ファイルに保存可能(.fchk ファイルは不可)
Rev E.01 の新しい機能
このリビジョンでは主にユーザーから報告されたバグや「Exploring Chemistry with Electronic Structure Methods 第3版」における例題から見出された不具合を修正しました。
- Fchk ファイル (Formatted checkpoint ファイル) に計算に使用した G09 のバージョン情報とジョブステータスのフラグを追加しました。これにより GUI でジョブが失敗したか正常終了したかの判断ができます。また振動数計算の場合には、虚の振動数の数も出力されるようになりました。
- EOMCC=ListWindow において固定する軌道を2度ではなく1度だけ読みにいくように変更しました。
- Rigid スキャン (relaxed スキャンではない) において大きなエネルギーをもつ場合に相対エネルギー表を生成します。
- 励起状態の手法である TDHF のデフォルトを、CIS のデフォルト設定と同様に、MO を用いるように変更しました。
- Hirshfield の電荷において用いられる参照電荷の値の修正により、計算結果が若干変わります。
- ECP を用いた Linda 並列計算のオーバーヘッドを取り除きました。
- ビルドの手段にネイティブな Sandybridge (AVX) x86_64 プロセッサー (AVX-enabled ATLAS ライブラリを含む) のためのコンパイルを含みます。Sandybridge および Haswell のためのバイナリ版もあります。
- 分割統治型 (divide-and-conquer) による対角化および特異値分解 (SVD) ルーチンが大きな部分系に対しても動作するようになりました。
参照
- Gaussian 09 Revision E .01 Release Notes
Gauusian社:2015年12月14日 (英語PDF)
Rev D.01 の新しい機能
主な新機能
- 新しい DFT 汎関数 (APFD, HISSbPBE, Truhlar グループで開発された M11 など) が追加されました
- Raman および ROA 強度を、力の定数や基準振動モード計算とは別に求めることが可能となりました。
- aug-cc-pV*Z 基底関数を補強するオプションが追加されました。
- 対称性考慮により、CIS および TD 計算性能が向上しました。
新機能の詳細
- Raman および ROA 強度を、力の定数や基準振動モード計算とは別に求めることが可能となりました。これにより、文献 [J. R. Cheeseman and M. J. Frisch, “Basis set dependence of vibrational Raman and Raman optical activity intensities,” JCTC 7 (2011) 3323-3334.] にて推奨されているような大規模基底関数を用いる場合においても、Raman/ROA 強度を容易に求めることが可能となりました。Polar=Raman (もしくは Polar=ROA) キーワード指定により、checkpoint ファイル (Freq 計算によって得られたもの) からの力の定数の抽出、新たな分極率微分 (ROA の場合には、他の2つのテンソル微分も必要) の計算、および、力の定数との組み合わせを行い、強度やスペクトルを予測します。2段階の ROA 計算例は、test0931 にて確認可能です。
- Freq=Anharmonic の出力に、IR 強度が含まれるようになりました。また、出力がさらに見やすくなりました。
- TDDFT 計算における TDA キーワード利用により、Tamm-Dancoff approximation の利用が可能となりました。
- CIS/TD/TDA 計算における CIS や TD 励起エネルギー範囲について、下記の新オプションが追加されました。
GOccSt=NN 番目およびそれ以上の占有軌道のみを利用し、initial guess を生成します。GOccEnd=NN >0 の場合、N 番目までの占有軌道を利用し、initial guess を生成します。 N <0 の場合、上から |N| 個までの占有軌道を利用せずに、initial guess を生成します。GDEMin=N予測励起エネルギーが N/1000 eV 以上となる guess を生成します。DEMin=N励起エネルギーが ≥ N/1000 eV の状態のみを収束させます:
N = -2 の場合、入力ファイルから閾値を読み込みます。
N < -2 の場合、|N|/1000 Hartrees を閾値に設定します。IFact=N初期の反復計算中に更新される状態数を増加するファクターを指定します。WhenReduce=MM 回の反復計算後、希望する状態数まで減少させます。
IFact のデフォルトは Max(4,g) であり、g は Abelian 点群の次数です。WhenReduce のデフォルトは、TD 計算の場合は 1、TDA および CIS 計算の場合は 2 です。求めたいエネルギー範囲内に多くの状態が存在する場合には、より大きな値を指定しなければなりません。
- いくつかの新規 DFT 汎関数、および、2個の新規経験的分散力モデルが追加されました。
- EmpiricalDispersion=PFD、GD3 、および、GD3BJ キーワード指定により、Petersson-Frisch 分散力、Grimme の D3 分散力、および、D3BJ 分散力モデルを利用することが可能です。
- APFD キーワード指定により、分散力を含む Austin-Frisch-Petersson 汎関数を利用することが可能です。また、APF キーワード指定により、分散力を含まない Austin-Frisch-Petersson 汎関数を利用することが可能です。
- B97D3 および B2PLYPD3 キーワード指定により、Grimme の D3BJ 分散力が追加された B97 および B2PLYP 汎関数を利用することが可能です。
- HISSbPBE キーワード指定により、HISS 汎関数を利用することが可能です。
- SOGGA11、M11、SOGGA11X、M11L、MN12L、N12、N12SX、および、MN12SX キーワード指定により、Truhlar グループで開発されているこれらの汎関数を利用することが可能です。
- diffuse 関数を含む cc-pV*Z 基底関数を補強するオプションが追加されました。
- s および p 型関数のみ (H と He の場合は、s 型関数のみ) を含む spAug-cc-pV*Z が追加されました。
- 各角運動量に、1つではなく 2つの殻で補強した dAug-cc-pV*Z が追加されました。
- Truhlar の “calendar” 基底関数シリーズが追加されました。この基底関数シリーズの名称は、分極関数を追加した cc-pV*Z 基底関数が、Aug-cc-pV*Z として知られていることに由来しています。Truhlar は、“Aug” が英語の 8月(August)の略記であることから、cc-pV*Z 基底関数への新しい拡張式に月の名称を利用しました。例えば、Jul-cc-pV*Z 基底関数は、cc-pV*Z に L-1 までの diffuse 関数を追加したものです。ここでの L は、分極関数で利用する最も高次の角運動量を意味しています。同様に、Jun-cc-pV*Z は L-2 までの、May-cc-pV*Z は L-3 までの、Apr-cc-pV*Z は L-4 までの diffuse 関数を追加したものです。
デフォルトでは、s および p 型の diffuse 関数が常に含まれることに注意してください。これは、矛盾を回避するためです。しかし、Truhlar および共同研究者による初期の定義とは異なっています。TJul や TJun などのキーワードを利用すると、制限が無条件に適用されるオリジナルバージョンとなります:つまり、TJun-cc-pVDZ は、Cl 原子に s 型の diffuse 関数のみを追加しますが、Fe や Br 原子には、s 型および p 型の diffuse 関数を追加します。
- MM および ONIOM(MO:MM) 計算用入力ファイルにおいて、予備分析機能が追加されました。MM 電荷による電荷分布のモーメントが出力されます。入力ファイルに PDB 情報が含まれる場合には、残基上の正味 MM 電荷が出力され、各 ONIOM レイヤーにおける正味 MM 電荷として指定されます。
- 新しい SCF オプションと機能
- SCF=Big キーワード指定により、O(N3) ステップが無効となります。この機能により、非常に大きな計算 (>5000 基底関数) における計算速度が向上されます。
- SCF=Restart キーワード指定により、SCF 計算の再計算時に不必要なステップを飛ばします。しかし、異なる基底関数や異なる構造を用いた計算から guess を読み込む際に必要なステップも飛ばしてしまいます。異なる構造または異なる基底関数による計算結果を再利用し、新たな SCF 計算を実行する場合には、Guess=Restart を使用してください。
- CF=YQC キーワード指定により、SCF 収束が難しい場合 (非常に大きな分子など) に有効な新しいアルゴリズムを利用することが可能です。最急降下法に続いて、SCF=QC でも採用されているスケール化最急降下法が実行されますが、その後、2次収束の代わりに標準 SCF に切り替えられます。標準 SCF が収束しなかった場合にのみ、2次収束が利用されます。
- SCF=MaxNR=N キーワード指定により、SCF=QC の二次収束に切り替える閾値、および、SCF=YQC の標準 SCF に切り替える閾値を、10-N に設定します。デフォルトは、10-2です。
- conventional SCF が、任意の角運動量で実行可能となりました。これは主に、外部プログラムに対する新しいインターフェイスにとって有用です。Gaussian 09 における計算では、これまで同様、デフォルトの direct SCF 法が推奨されます。
- Int=SuperFineGrid キーワード指定により、より大きな pruned グリッドの利用が可能となりました。これは、UltraFine の約3倍の大きさであり、より精密な計算が求められる際に有用です。グリッド定義は、周期表の第1列および第2列の場合には (150,974)、それ以上の場合には (225,974) となります。
- 原子電荷:
- CM5 原子電荷が、Hirshfeld 電荷とともに計算されるようになりました。Pop=Hirshfeld もしくは Pop=CM5 のどちらのキーワードでも計算されます。
- 計算済み原子電荷をチェックポイントファイルに保存することが可能となり、Geom=Check キーワード指定をした MM 計算時に利用可能となりました。Pop=SaveMulliken、Pop=SaveESP、Pop=SaveNPA、Pop=SaveCM5 などのオプションにより、各電荷情報を保存することが可能です。多層 ONIOM 計算の場合、デフォルト保存では、明示的に計算した電荷、すなわち QM 層にある原子の電荷情報のみが保存されます。入力ファイルに記述した原子電荷は使用されず、これらのオプションにより保存された新規割り当て電荷情報に置き換えられます。
Uncharged オプションキーワードの追加により、入力ファイルに記述した原子電荷は保持し、QM 層にある電荷情報が与えられていない原子のみ電荷を求めます。Pop=(Uncharged, SaveMulliken) や Pop=(Uncharged, SaveCM5) などの組み合わせキーワードにより、オリジナルの原子電荷情報に加え、電荷情報が与えられていない原子に対して新たに求めた電荷も保存することが可能となります。
- QEq 電荷が、QEq の新バージョン [A. K. Rappé, L. M. Bormann-Rochotte, D. C. Wiser, J. R. Hart, M. A. Pietsch, C. J. Casewit and W. M. Skiff, “APT: A next generation QM-based reactive force field model,” Mol. Phys. 105 (2007) 301] を用いて算出されるようになりました。OldQEq キーワード指定により、Revision C でのデフォルトである古いバージョンを用いた QEq 電荷計算が可能です。QEq=Uncharged キーワード指定により、MM 電荷が 0 の原子にのみ電荷が設定され、他の原子は指定された電荷を保持することが可能です。
- NBO ver.6 のインターフェイスが実装されました。Pop=NPA6、Pop=NBO6、Pop=NBO6Read、および Pop=NBO6Delete キーワード指定により、外部インターフェイス経由での NBO6 プログラム利用が可能となります。NBO プログラムを実行するスクリプト、および、NBO プログラムは、Frank Weinhold (nbo6.chem.wisc.edu) から入手する必要があります。
- Freq=NoPrintNM キーワード指定により、振動計算時に基準振動モードを出力させないことが可能となりました。各モードにおける振動数と強度は、出力されます。
- Gaussian 09 から外部プログラムを実行する際に利用する External コマンドが、かなり一般化されました。一電子積分、もしくは、一電子および二電子積分と他の行列要素を外部プログラムに提供することや、外部プログラムから MO や電子密度のような計算結果を回収することが可能となりました。全詳細と計算例が、g09/doc サブディレクトリ (Windows の場合は doc フォルダー) にあります。External キーワードに対する新規オプション (スクリプト名に従う必要があります) を、以下に示します。
InUnf座標情報と一電子行列要素 (重なり、core Hamiltonian 等) を含む Fortran 書式なしファイルを外部プログラムに提供します。ファイル内容の詳細は g09/doc/unfdat.txt を、ファイルの読込みと内容の出力に関するサンプルプログラムは g09/doc/rdmat.F をご参照ください。1Elintegrals はこのオプションと同義です。2ElIntegtrals二電子積分情報も、Fortran 書式なしファイルに出力されます。このオプションには、SCF=Conventional も含まれます。InputFchkformatted checkpoint ファイルが生成され、外部プログラムに提供されます。OutputUnfFortran 書式なしファイルを外部プログラムに提供し、外部プログラム/スクリプトから得られるデフォルトテキスト出力ファイルの代わりに、同じ構造における更新または置き換えられたファイルを、G09 において計算結果として読み込みます。IOFchkformatted checkpoint ファイルを生成し、外部プログラムに提供します。その後、結果を取り込むために、新しい .fchk ファイルを読み込みます。ReadInputSectionこのオプション利用により、Gaussian09 が外部スクリプトように自動生成する外部テキスト入力ファイルの内容を修正することが可能となります。上述オプションのひとつ (例えば IOFchk) を利用し、Gaussian09 と外部スクリプト間においてデータ移行を行う場合、デフォルトの外部テキスト入力ファイルは必要ありません。このオプションを用いることにより、Gaussian09 入力ファイルからセクション (通常の空白行でくぐられた箇所) が読み込まれます。このセクション中のテキストが、通常の外部入力ファイル内容の代わりに、外部テキストファイルに書き込まれます。この機能により、外部スクリプトに追加命令を提供するための柔軟性が実現されます。
これらのオプションは、test0769 にて確認可能です。
- いくかのサードパーティープログラム用データファイルの生成が可能となりました。
- SCRF=COSMORS キーワード指定により、COSMO/RS や他のプログラムで利用可能なデータファイルを生成することが可能です。
- Pop=MK IOp(6/50=1) キーワード指定により、Antechamber (RESP 電荷生成用の AMBER プログラム) 用のデータファイルを生成することが可能です。
- NMR=CSGT IOp(10/93=1) キーワード指定により、ACID プログラム用のデータファイルを生成することが可能です。
- Default.Route における新たな定義内容
-U-formchk や freqchk などのユーティリティにおけるデフォルトメモリを指定します。-F-formchk ファイルに対するデフォルトファイルタイプ引数を指定します。-M-デフォルトメモリ量を指定します。(%Mem と同じ)-L-Linda 計算に対するデフォルトオプションを指定します。(GAUSS_LFLAGS 環境変数に反映されます)-R--#- と同義です。
これらの項目全ては、環境変数や UNIX コマンドライン引数での設定が可能です。環境変数 GAUSS_XDEF による設定は、Default.Route ファイル内の –X– による指定と同じです。同様に、コマンドラインの引数で g09 –x = “value” とした場合も同じです。例えば、以下の記述は全て同じ設定内容となります。
-M- 4GB in Default.Route
export GAUSS_MDEF=4GB
g09 -m=”4GB” …
優先順位は、コマンドラインの引数、環境変数、Default.Route での設定、プログラム内部のデフォルト設定となります。
- Geom=NGeom=N キーワード指定により、GaussView で表示する際に利用するデータとして、N番目の最適化構造を checkpointfile から取り出します。N =1 は、入力分子構造です。先の構造最適化計算において redundant 内部座標を使用した場合、Geom=Step=M は自動的に Geom=NGeom=M+1 に変換されます。
- Geom=Connectivity 入力に結合次数 0.1 を指定することにより、分子力学における原子タイプや結合に影響することなく、内部座標を生成するための結合指定が可能となりました。
- 新たな Link0 キーワード
%UseSSHLinda worker 起動時に、rsh ではなく ssh を利用します。%DebugLindaLinda worker の起動時、および、終了時に関する詳細情報を出力します。
- def2 および QZV 基底関数にて利用されるポテンシャルに必要となる GenECP 入力に、ECP ポテンシャル名 def2 および QZV の利用が可能となりました。
- 各種内部座標生成を、抑制することが可能となりました。
Geom=SkipAllいかなる内部座標生成も、自動的に抑制します; 全内部座標は 、Geom=ModRedundant の入力部分で明示的に指定する必要があります。Geom=SkipAng結合の内部座標のみ生成し、結合角および二面角の内部座標は生成しません。Geom=SkipDihedral二面角の内部座標生成を抑制します。Geom=SkipHBond水素結合座標の生成をスキップします。
- IRC=GradientOnly のデフォルトが、DVV ではなく EulerPC となりました。初期ポイント、全ての N 番目の予測ステップ、および、全ての M 番目の修正ステップにおいて二次微分を計算するための IRC=(CalcFC,RecalcFC=(Predictor=N,Corrector=M)) キーワードを利用することにより、IRC 計算中において、解析的二次微分が断続的に実行されます。
- 計算性能向上
- CIS および TD 計算において、より効果的に対称性が利用されるようになりました。
- メモリ内に保存された二電子積分を用いた計算において、対称性に適合した基底関数による積分が利用されるようになりました。つまり、対称性がある場合における計算速度が向上し、開殻系の場合には in-core 計算で必要となるメモリ量が減少されました。
- 大きな系での MM の力の計算において、Force=NoStep キーワードを利用することにより、推定構造最適化ステップでの計算に含まれる O(N3) の計算を回避することが可能となりました。
- 入力ファイルおよび入力処理におけるマイナーチェンジ
- DFTB 入力ファイルの取扱いを、Elstner により提供されたファイルとの互換性があるように修正しました。ファイル末尾の HTML データは、無視されます。また、乗数 –例えば 10*1.0 — の利用が可能となりました。しかしながら、G09 で利用するためには、Elstner のファイルへのいくつかの追加修正が必要です。
- スクラッチファイルの拡張子を、.scr から .skr に変更しました。この変更は、Windows のウィルス検出ソフトによる問題を回避するためです。
- UNIX および Mac OS X バージョンにおいて、入力ファイルの拡張子を指定しない場合には、最初に拡張子 .gjf ファイルを探すように変更されました。.gjf ファイルが見つからない場合、拡張子 .com ファイルを探します。
- Opt=ModRedundant 入力において、定義済み座標の初期値指定がサポートされなくなりました。代わりに、入力構造を、希望初期値に対応した構造に修正する必要があり、座標定義から初期値指定を除く必要があります。
- Freq=AnHarmonic への追加オプションの書式が変更されました。オンライン版 Frequency キーワードドキュメント中の “Additional Input for Freq=ReadAnHarmon” の項目をご参照ください。
参照
- Gauusian 09 Revision D.01 Release Notes
Gauusian社:2013年5月10日 (英語PDF)
新機能と使用法: Rev C.01 / Gaussian 09 Revisions B.01 から C.01 のバグフィクスとマイナーチェンジ
新機能と使用法: Rev C.01
- 構造最適化のアルゴリズムとオプションの変更
- 構造最適化の過程で誤った曲率の領域からステップダウンするときに含めるためのモード選択が改善されました。これはルートオプションによってもコントロールできます。
Opt=NoDownHill 下降を試みない:単に RFO 類似のステップをとる。
Opt=NGoDown=m 下降ステップをとる際に最大 m 個の固有ベクトルを混合。デフォルトは 3。
- 直線に近い折れ曲がり(これは高い頻度で内部座標に含まれます)は、以前より高い信頼性を持って処理されます。これによって、ほぼ直線の角度が厳密に直線になってしまうという、多くの最適化の問題を回避することができます。
- QST2 と QST3 の最適化で TS の内部座標を生成する際に反応物と生成物の結合性指標がマージされます。
- これまで構造最適化(後のリスタートも含む)に許された最大ステップ数を減らすことができます。これは、大規模なシステムに対し、メモリとディスク使用量を減らす目的に有効な場合があります。
- 最適化中に分子の標準配向が 180度反転するかどうかをプログラムはチェックし、反転を避けます。最適化や IRC などを GaussView でアニメーション化する時のジャンプを回避することができ、SCF 収束も向上しました。
- 内部座標を生成するためのメモリ割り当ては、%Mem で与えられるメモリ量に比例します。十分に大きなメモリを提供したとしても以前は失敗したような、非常に大きな原子数または内部座標を持つジョブでも実行可能にします。
- デフォルトでは、潜在的な水素結合のための内部座標を自動的に生成しません。そうであっても、もしなかったらばらばらになってしまうフラグメントを連結するための結合座標は追加されます。つまり、フラグメントを接続するような水素結合の座標は含まれます。
- BD一点計算では、相関は持ってないが BD Fock 行列を使用して更新される内殻軌道を使ったフローズンコアがデフォルトになりました。以前のデフォルトは、HF 値からもしくは BD=Read で読み込んだ軌道から内殻軌道を変更しないままでした。新しいデフォルトでは、初期軌道の選択に依存しないエネルギーを生成します。BDによるグラジエント計算では、フローズンコアではなく全軌道が必要で、これがデフォルトです。OldFCBD キーワードは、古いスタイルのフローズンコアを要求します。
- あるマシンでは、大容量のメモリがある場合にフルダイレクト積分変換とフルダイレクト MP2 が選択されますが、セミダイレクトアルゴリズムはより高速です。Default.Route ファイルに Tran=SemiDirect を記述すると、MP2 だけでなくより高いレベルの post-SCF 計算の変換がセミダイレクトアルゴリズムに強制されます。MP2 のような手法のキーワードを Default.Route ファイルに記述するとすべての計算にそのモデルを強制してしまうことになりかねないので、指定は無視されることに注意してください。
- post-SCF 法に関して、Output=Wfn と Output=WfX は、Density=Current と Pop=NOAB がデフォルト設定になります。両方とも post-SCF 密度を .wfn/.wfx ファイルに保存するために必要だからです。これらのファイルに保存される力の方向の問題、ROHF 波動関数や線形従属な基底系からそれらを生成する問題も修正されています。
- COSMORS 用に生成されたファイルをローカルシミュレーションプログラムへの入力として使用する利用者のために、G09 にこの機能を復活させました。
- 二次超分極率を要求するために、より説明的なオプションとして、Polar=Gamma を追加しました。これは Polar=(DCSHG,Cubic) と同義です。
- RevTPSS 交換相関汎関数が追加されました。
- SDD は、アクチニドのより新しい基底系をデフォルト設定にしました。以前のデフォルトにするには OldSDD を使います。
- テラバイトとテラワードの単位でメモリとディスクの割り当てを指定するために、TB と TW が使用できます。
- SAC-CI の Direct オプションが利用可能になりました。これは、大きな分子に適した直接積分アルゴリズムを要求します。
- Link0 コマンドに %OldChk が追加されました。%OldChk で指定されたチェックポイントファイルの内容は、ジョブステップの開始時に現在のジョブステップのチェックポイントファイルにコピーされます。これは、チェックポイントファイルの内容を壊さずに以前の計算からデータを取り出すようにするためです。
- 第一遷移金属の cc-pVDZ に Diffuse (aug-) 関数が追加されました。
- Windows 64-bit 版が利用可能になりました。
Gaussian 09 Revisions B.01 から C.01 のバグフィクスとマイナーチェンジ
- 巨大な ONIM(MO:M) や純粋な MM 振動計算に必要なメモリ量が軽減されました。
- Amber 力場の improper torsion の定義は、分子中の原子の順番に依存します。典型的な蛋白質に関する Amber プログラムにおける計算は、PDB ファイル中の残基や残基中の原子が標準的な順番のためつじつまが合っていますが、GaussView で作成した一般的な分子に対しては結果が、任意なやり方で並んだ原子の順番に依存します。G09 は、Amber の improper torsion で取りうる6つの原子の順番の平均を取るように変更されて、結果は標準的な Amber 力場とは若干異なるが、エネルギーは分子中の原子の組み合わせに依存しません。
- RESP 電荷フィッティングのために必要なデータを含むように、Pop=MK の間に IOp33 を使って増やしたプリント出力はリストアされてきました。しかし、G09 は、Pop=MK ジョブに IOp(6/50=1) を指定することで、AnteChamber のためのデータファイルを直接、生成することができるようになりました。そして、これが RESP のための入力を生成する推奨された方法です。
- PCM 溶媒和のもとでの CIS 振動計算のバグがフィックスされました。
- Default.Route ファイル中の MaxDisk 指定は、複合ジョブの全てのステップに適用されます;以前は、最初のステップのみデフォルト設定されていました。
- AM1 のための AlpB パラメータの読み込みを阻害するバグがフィックスされました。
- SCVS 計算の収束性がより注意深くチェックされるようになりました。
- Stable=Opt ジョブの Pop=SaveBio が、安定性チェック計算を間違えさせるか失敗させる原因となていました。現在、これは適切に動作し、波動関数が安定化された後にのみ二重直交化軌道が保存されます。
- 外部点電荷は、シンメトリがオンの状態で機能します。
- フローズンコアを用いた TD-DFT グラディエントのバグがフィックスされました。
- NMR 遮蔽定数のためのプリント指定が、999 原子より多い場合にも機能するようフィックスされました。
- d 関数を伴った内挿された(解析的ではない)パラメータを使った DFTB のバグがフィックスされました。
- 低速ファイルシステムに対する書き出し命令が完了しないという、あまりない問題がフィックスされました。
- Freq=VibRot の過程でコリオリ項のプリント出力がリストアされます。
- 大きな単位胞を持つ PBC 計算でメモリ割り当ての問題のいくつかがフィックスされました。
- Symm=Loose により分子構造を修正する方法でいくつかのケースで発生した不整合がフィックスされました。
- NoSymm 指定時の ROMP4 三重項エネルギーのバグがフィックスされました。
- CBS 外挿法で表示される不安な印象を抱かせる不要な警告メッセージがオフになりました。
- マイクロイテレーションが行われ失敗して終わった ONIOM(MO:MM) ジョブがリスタートできます。
- ONIOM 法で ECP を読み込む際、複数の軌道中心に同じ ECP が置かれた時のバグがフィックスされました。
- IRC と Freq を指定すると、TS ではなく IRC の最後の構造について振動計算が行われてしまうため、この組み合わせは受け付けません。
- Douglas-Kroll-Hess 法と物性キーワードの非サポートの組み合わせは、間違った答えを出すよりは、エラーメッセージを出すことにしました。
- 電荷を持つ分子に ECP を使う際、デフォルトの (Harris) イニシャルゲスの生成のバグがフィックスされました。ECP を使って生成したイニシャルゲスの質も向上しました。
- 現在の CPU モデルに関してより高い性能のために、FMM 法の使用/不使用の選択や他の積分オプションのいくつかのデフォルト値が更新されました。
- Formchk ユーティリティでは、もし、値が 1013-1 を超える場合、「******」ではなく「-1」を書式化チェックポイントファイルに書き出します。これにより、unfchk や他のユーティリティで fchk ファイルを処理することができます。
- ONIOM 法を使って数値的振動計算を行った後、 Geom=Check に影響するバグをフィックスしました。
- SCRF 法と BD や W1BD を組み合わせると正しく動かないので、ルートカードの生成時に受け付けなくしました。
- ほとんどのプラットホームで、新しい ATLAS BLAS ライブラリを利用しています。これにより、非常に大きなメモリを使う際にあったいくつかの問題が解決されています。しかし、何らかの遅延が起こる場合、ルートカードに IOp1=NoAssem を指定することで ATLAS 行列積ルーチンの使用に切り替えることができます。
- SAC-CI ジョブで計算された励起状態間の遷移モーメントの報告における問題がフィックスされました。
- DFT 法の経験的分散とゴースト原子の組み合わせは動作します。経験的分散と PBC 組み合わせは用意されてないのでエラーメッセージが出ます。
- ROHF/RODFT の「Opt Freq」は、第二ステップで制限開殻波動関数に関して Freq=Numer を実施することで、正しく動くようになりました。
- Frank-Condon 計算は、禁制遷移にも正しく機能します。
- TD と double-hybrid DFT 法の組み合わせは、かつて動いたことがない(以前は、double-hybrid の SCF の部分だけを使って TD が計算されていました)ので、ルートカードの生成時に受け付けなくしました。
- IRC=(RCFRC,GradientOnly) 計算では、チェックポイントファイルの Hessian マトリクスを正しく使います。
- 巨大な系に対しメモリ割り当てのバグがあり、「NIJ > Max2 in MMCore」というメッセージを出して異常終了する原因になっていましたが、フィックスされました。
- Window 版で External キーワードが正しく機能します。使用例は、g09testscomtest726.gjf を参照してください。
- Windows 版 Gaussian09 のフロントエンド G09W が書き出すマルチステップジョブで、「–Link1–」が切り捨てられていた問題がフィックスされました。
参照:
- Gaussian 09 Revision C.01 Release Notes
Gaussian 社:7 Octover 2011 (英語 PDF)
Gaussian 09 Revisions A.02 から B.01 への変更点はこちらをご覧ください
Gaussian 09 Revisions A.02 から B.01 への変更点
- PCM による MP2 振動計算のバグは、修正されました。
- SAC-CI コードがアップデートされました。これには、大規模な系では非常に速い、新しい integral-direct アルゴリズムが含まれます。SACCI キーワードの Direct オプション、
SACCI=(Direct, ...) で指定します。
- Revision A.02 では
ExtraOverlay ルートキーワードが機能しませんでしたが、これは修正されました。
Opt Freq TD 計算は、現在、両方のジョブステップを正しく実行します。
- NewZMat で
–opdf を指定することで、もし存在するなら二次構造情報を出力します。
- NewZMat は、現在2つの入力ファイルからデータをマージすることができます。2つのテキストファイルを、または、入力ファイルとチェックポイントファイルを、マージすることができます。
- 高い電荷を持ったり、非常に高いスピン状態のシステムを Molecular Mechanics で扱う際のダミー基底関数の問題が解決されました。
Polar=(Cubic,DCSHG) は、現在、波長依存の超分極率(ベータ)を数値的に微分し、第2超分極率(ガンマ)を得るのに用いることができます。これらの分極性は、標準座標系で印刷されます。すなわち、ベータの成分は双極子モーメントに対して沿った方向と垂直な方向になります。
- AIMPAC の新しいバージョンで使う WfnX ファイルの出力には、
Output=WfnX を使います。
- 非常に大きなMM系(2万原子以上)の性能改善を計り、特に、クーロン項とファンデルワールス項に範囲制限をあてはめた場合に性能が向上しました。QM 計算には有用ですが、MM 計算には不必要で高価なさまざまなアクションをオフにするような新しいルートオプション、
Geom=Huge、があります。
MaxDisk は、Default.Route ファイルで指定できるようになりました。
- 自由形式入力ルーチンは、より新しい DFTB パラメータファイルからのデータを読めるようにするために一般化されました。これらのファイルを G09 で使うには、まだ、いくらかの修正が必要です。
- TDDFT を使った ECD では、四重極成分を含む全テンソルが印刷されます。
- Hu、Lu、Wang の charge fitting model (JCTC 3(2007) 1004-13) が、
Pop=HLY で利用できます。著者らは、モデルのために必要な原子密度を、最初の18個の元素についてパラメータ化しただけでした。もう一つのバージョン (Pop=HLYGAt) では、HLY fitting scheme に従いますが、用いる原子密度は周期表全体に利用できる Gaussian の標準的な原子密度です。どちらの方法でも原子の電荷の違いは、通常 1% と 5% の間にあります。
- ビリアル条件を厳密に満たす Todd Keith の SCVS 方法が加えられました。
- ユーザ選択の積分範囲を指定するための IOps の使用は、より一般化するための更新がなされました。
- 誤った曲率を持つ領域で最小化するような際の構造最適化のためのデフォルトアルゴリズムが改善されました。
- AM1 と PM6 のための初期推定が改善されました。
- ONIOM と MM パラメータの入力は、二次構造に関してより多くの分析が行われます(特に指定しないと、二次構造情報が利用できる原子数 10,000 以上の系について)。残基上の正味の MM 電荷と残基間の平均距離が報告されます。
- 多数の SMP プロセッサーを用いての SCF 振動計算をはじめとした、様々なパフォーマンスの改善。
参照:
- Gaussian 09 Revision B.01 Release Notes
Gaussian 社:19 August 2010 (英語 PDF)