このチュートリアルに着手する前に、前に取り扱った「2水準完全実施要因計画」チュートリアルの実践をお勧めします。これにより、本チュートリアルでは飛ばしている多くの詳細な情報を理解できるため、設計と分析のためにDesign-Expertが持つ分割法の独自の機能の要点をより迅速に把握できます。
多くの場合、実験者はランダムな順序で実行することを意図して2水準完全実施要因配置計画を設定しますが、温度などの特定の要因は簡単に変更できないことがわかります。 この場合、分析は分割法で行う必要があります。
分割法の設計は、“whole-plot” と呼ばれる広い領域に1つの処理を適用し、“subplot” と呼ばれるwhole-plot内の小さな領域に他の処理を適用することで始まります。 例えば、whole-plotは肥料1(fertilizer 1)及び肥料2(fertilizer 2)について処理を行い、subplotは種子の種類1~8の処理を行う場合です(下図を参照)。

事例:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
本チュートリアルの例は、遺伝性疾患やその他の目的を診断するためにDNAを増幅する生化学的技術であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づいています。 機器の制限により、処理を完全に無作為化することは難しいため、生化学者は分割法設計を利用することにしました。 この場合、whole plotは実際には時間と温度のさまざまな条件にさらされるプレートです。subplotは各プレート内のくぼみに分類され、実験者は残りの要素をランダムに適用することができます。

1) すべての因子の名前を入力せずに計画を進めたい場合には、“Help” -> “Tutorial Data” -> “PCR.dxpx” を開いてください。その後 “File” -> “New Design” を選択し、“Yes” をクリックして「以前の計画情報を使用する(Use previous design info)」をクリックしてください。この際、分割法における2水準完全実施要因計画の以下の設計仕様に注意してください。

2) “Next” をクリックしてエイリアスを表示(結果はありません)し、もう一度 “Next” をクリックして因子の入力を確認します。ここで、HTC係数には小文字(a、b、c)のラベルが付いていることに注意してください。 一方、変更しやすい(ETC)係数は大文字で、E、F、G、H、およびJでラベリングされています(文字Iは、モデル切片のラベルとして予約されているためスキップされます)。

3) “Next” をクリックし、Response の入力画面を表示してSignal/Noise ratio をデフォルトのままもう一度 “Next” をクリックすることでSplit-Plot Design Power を表示することができます。HTC係数(a、b、c)の検出力が低下していることに注意してください。これは、HTC係数が8つのグループ(whole plot)に配置されているために発生し、無作為化が制限されます。

4) “Finish” をクリックして、計画構築ウィザードを終了し実験計画(recipe sheet)を作成してください。その際、警告画面が表示されたら“OK” を押して、因子レベルをリセットします。表示されたプロットを下にスクロールすると、合計 256 run の8つのwhole-plot のグループがどのように分割されているかがわかります。次に、“File” -> “New Design” を選択して、“PCR.dxpx” を再度開いて結果を取得します。
計画を再構築してデータを収集したので、このチュートリアルを続けて Design-Expert の持つ、分割法における2水準完全実施要因計画のための専用ツール、及びプロクラムの統計分析、診断を最終的に評価するための画面を表示します。
本分析は、subplot とwhole-plot の効果は別々に分析され、それぞれが独自の半正規プロットを取得するという1点を除いて、これまでのDesign-Expertの計画と同様に扱うことができます。Amplification の分析を開始するには、画面左の “Analysis” ブランチの下にある“R1-Amplification” ノードをクリックしてください。
1)Transform オプションはそのままに、“Sub-plot Effects” タブをクリックしてください(分析プロセス後半のDiagnosticsで示唆されない限り、Transform オプションを変更する必要はありません)。
2)以下のように、重要な効果(グラフ右側の目立つポイント)をクリックして選択してください。

デフォルトで右側に並んで表示されるPareto chart が、half-normal の効果を選択した際にどのように変化するか注目してください。
3)次に “Whole-plot Effects” タブをクリックしてください。階層に関する警告が表示された場合は “Yes” をクリックしてください。以下のように、階層中で選択されていない重要なwhole-plot の効果を選択してください。

4)“ANOVA(REML)” タブをクリックしてください。制限付き最尤法(REML)は、重要な効果を適切に識別し、分割法のp値を計算するために必要です。この場合、すべてのwhole-plotとsub-plotの項は、p <0.05レベルで有意となっています。
5)“Diagnostics” タブをクリックして、これまでと同様に分析を開始します(詳細については、本チュートリアルよりも遥かに詳細に記載してある「2水準完全実施要因計画」チュートリアルを参照してください)。1つ外れ値の可能性があるプロット(赤線の外にある)が存在しますが、256回の実行がある計画内では、それはあり得る可能性があるため、そのままにしておきます。
6)Model graphs やNumerical optimization 、及びその他の分析後のオプションは、Design-Expert の2水準完全実施要因計画と同様に機能します。最後に“Amplification” の応答を最大化するような条件のグラフを確認しましょう。
これで、分割法実験用にDesign-Expertソフトウェアが提供する2水準要因配置ツールの操作説明は終了です。 結果を保存してから、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の最大値を最適化するために、プログラムが推奨するNumerical Optimizationを確認してください。 DOEが適切なツールを用いてできることは、非常に多岐にわたります!