カロテノイドの機能を解明し、高効率なエネルギー移動と変換効率の要因をふまえることで、高効率な人工光合成デバイスの創生に大きく貢献 できると期待しています。
研究されている内容について教えてください
当研究室においては光合成において太陽光を捕集するアンテナ系の構造と機能の解明を行っています。
天然に存在する光合成生物は捕集した光エネルギーを余すことなく使用して、高効率なエネルギー変換を行っています。そのボトルネックとなる光合成色素、カロテノイドの機能を解明することによって高効率なエネルギー移動並びに変換効率の要因を知ることができると考え研究を進めております。
当研究室においてはこの点に関して様々な分光学的手法を用いて取り組んでおり、その結果は高効率な人工光合成デバイスを創生するのに大きく貢献すると期待しています。
光合成細菌の培養の様子
研究の中で Igor Pro ではどのようなデータを扱っておられますか?
測定されたスペクトルまたはクロマトグラムデータ、または解析した結果得られたパラメータなどの数値データを扱っています。
四光波混合測定装置
研究はどのように進められていて、またそのデータはどのように記録されていますか?
研究室内で調製された試料(光合成色素そのもの、光合成細菌から得られた色素タンパク質複合体など多種多様)、または共同研究先からの試料に光照射して測定し、得られた信号をデジタル測定器で検出、数値データをパソコンに取り込んで記録します。
顕微ラマン分光測定装置
時間分解測定装置
Igor Pro の用途は何ですか?
スペクトルデータの図表化、解析です。
緑藻に生合成されるカロテノイドの光強度に依存した組成変化の分析
パプリカ由来のカロテノイド、カプサンチンのStarkスペクトルの分析
Igor Pro を使い始めたきっかけは?
MacPCでも使用できる高機能グラフソフトが必要になったためです。
Igor Pro の使用感、良い点と悪い点は?
使用感は慣れれば悪くないと思いますが、初めはプログラム作成などに慣れている人でないと使用方法に戸惑うと思います。
良い点:
- 様々な機能(MultiPeakFitting, スムージング、クイックフィット)が簡単に使用できる。
- 画像や3次元データの解析、作成もできる。
- グラフ設定の保存ができる。
- グラフ上の点の値がマーカーをつかえばすぐにわかる。
悪い点:
- テーブルにて複数ポイントをドラッグで選択しているとフリーズすることがある。
- データをたくさん読み込ませたエクスペリメントの立ち上がりが遅い。
- データの演算が慣れるまで思うようにいかない。
- 同時に二つのエクスペリメントを開けない。
(※編集注:こちらについては仕様で、Igor Proは一つのインスタンスで複数のエクスペリメントを開くことはできませんが、複数のエクスペリメントは(v6でも)その数のインスタンスを起動する事で開く事ができます。なおIgor Pro 7 以降ではファイルメニューに「別のインスタンスを起動」が追加されています。)
Igor Proで作成されたプログラムを用いた研究成果があればご紹介ください
Stark吸収分光の測定データにおいてMultiPeakFittingとそのピークの微分を用いたデータを求めたいパラメータの解析に使用し、分子の光励起にともなう静的双極子モーメントの変化を決めることができました。
どのような研究者の方にすすめられる製品ですか?
研究の結果としてスペクトルや、グラフなど描画データを得られる研究を行っている研究者全般だと思います。
橋本 秀樹 教授
野球観戦をされる研究室のみなさま
本事例作成に関し、橋本教授ならびに同研究室の皆様のご協力に感謝いたします。
(インタビュー:2018 年8 月)
※所属・役職は取材当時のものです。
関連リンク