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Gaussian 09 で追加された機能

GaussView 4 と Gaussian 09 の組み合わせついて (11/04/15 )

 

Gaussian 03 から Gaussian 09 への変更点

このセクションでは、Gaussian 03 と Guassian 09 の大きな変更を短くまとめています。これらの詳細(参考文献など)についてはマニュアルを参照してください。歴代バージョンの Gaussian についてのまとめの記事は Gaussian のウェブサイトにあります (www.gaussian.com/g_tech/gdiffs.pdf)。

新しい手法と特徴

エネルギーと微分

  • 最近の半経験的モデル、AM1、PM3、PM3MM,、PDDG、PM6 への新たな実装では、解析的一次および二次微分、パラメータのユーザ定義、PCM 溶媒和モデルとの併用が可能
  • TD-DFT の勾配計算と数値的振動計算
  • EOM-CCSD による電子励起エネルギー
  • HSE、wB97、m05/m06、長距離補正汎関数(LC- families)、double-hybrid B2PLYP 等の多くの新らたな DFT 汎関数
  • 対応する汎関数に経験的分散モデル
  • ROMP3、ROMP4、ROCCSD、および ROCCSD(T) エネルギー
  • W1RO、W1BD、G4 法の高精度エネルギー計算手法
  • DFTB 半経験的モデルと解析的行列要素を使用した DFTBA

ONIOM法

  • ONIOMPCM の組み合わせが可能。ONIOM+PCM にはいくつかのモデルが存在
  • IRC 計算が ONIOM 法で実行可能。数千原子を含むシステムでも効果的

溶媒和

  • PCM に新アルゴリズム導入で、全ての SCF プロパティに効果的な溶媒和を考慮でき、原子核座標変化に対してエネルギーが適切な連続関数で得られる。PCM 条件付の構造最適化は、気相での最適化に匹敵する収束性を実現
  • 蛍光や他の光放出過程をモデルするため、電子状態を指定した自己無撞着溶媒和が実行可能
  • 数百の溶媒に対して良い溶媒和自由エネルギー与えるようにパラメータ化した SMD 溶媒和モデルを利用可能

構造最適化と IRC 計算

  • 構造最適化アルゴリズムのデフォルトが GEDIIS に。特に、巨大な柔らかい分子に有効
  • 極小構造や遷移構造探索に、また、分子力学あるいは electronic embedding に、二次関数収束 ONIOM(MO:MM) 最適化
  • 構造最適化時に原子を固定する、あるいは固定しないための指定を入力データセクションから読み込みが可能。原子指定は、原子、元素、残基あるいは ONIOM レイヤーで可能

分子特性

  • 解析的周波数依存 ROA 強度
  • 解析的 DFT 超分極率
  • 2つの状態に対する調和基準モードを使った Franck-Condon 理論による電子励起、光放射、光イオン化のバンド形
  • Herzberg-Teller または Franck-Condon-Herzberg-Teller 理論による電子励起バンド形
  • 表示、非調和補正、FC/HT/FCHT 解析での使用のために基準モードを選択可能。選択は、原子、元素、ONIOM レイヤーあるいは残基により指定可能

解析と出力

  • タンパク質の二次構造の情報を、入力データ中分子定義セクションや .fchk ファイルに含めることが可能
  • 原子、角運動量による軌道への寄与を与えて Orbital by orbital ポピュレーション解析が実行可能
  • 可視化あるいは ROHF 計算の初期推定のため、カノニカル UHF/UDFT 軌道は、biorthogonalize できる
  • CIS と TD 励起に自然遷移軌道解析を追加
  • 占有軌道を最小基底へ射影後に Mulliken ポピュレーション解析が可能

他の新機能

  • それぞれのフラグメントに電荷とスピン状態を指定し、フラグメントの計算を組み合わせて SCF の初期推定が可能
  • デフォルトの2点差分の替わりに4点差分を使うことにより、精度がよく安定な数値振動解析が可能

能率向上

  • 大規模分子の HF と DFT 振動計算がより高速化(特に並列実行時)
  • FMM 法で用いている linear scaling 静電項と交換項がクラスタ並列計算に対応
  • 特に、electronic embedding 法の採用で大規模系の ONIOM(MO:MM) 振動計算がより高速化。100-200 QM 原子と 6000 MM を含む振動計算が実用的に
  • 大規模振動計算の途中で基準モードを保存し、モードの印刷や表示、IRC=RCFC ジョブの開始が可能に
  • CC、BD、EOM-CCSD の amplitudes をチェックポイントファイルに保存し、後に異なる基底関数を用いた計算で読み込み可能に。BD 軌道関数も保存し、後に読み込みが可能に
  • 半経験的方法、HF 法、DFT 法の振動計算が、計算の途中でリスタート可能に
  • CCとEOM-CC 計算が、計算の途中でリスタート可能に
  • ONIOM 計算に含まれる個々の初期推定は、分割したチェックポイントファイルから取り出すことが可能に。ONIOM=OnlyInputFiles オプションで、ONIOM 計算の個々の部分の入力ファイルをプリントし、分離した波動関数を容易に生成
  • SVP、TZVP、QZV 基底関数へ対応する密度フィッティング基底関数を導入。/Fit キーワードは、指定の AO 基底に調和するフィッティング基底を使うか、もし指定のフィッティング基底がない場合は、/Auto を要求する。つまり、BVP86/SVP/Fit は SVP 基底に対応したフィッティング基底を使い、BVP86/6-31G*/Fit は、BVP86/6-31G*/Auto と同じ意味になる
  • 純密度汎関数を要求した時に、常にフィッティングの既定値を利用するため、DensityFit キーワードを Default.Route ファイルに設定可能に
  • 密度基底関数は、非規格化原始関数、密度による規格化原始関数、AO 類似の規格化原始関数等の係数を使って読み込み可能に。これらの慣習を使用する他のプログラムがあるので、G09 には、出版された基底関数を読み込むためこれらのオプションを装備

Gaussian 09 と Gaussian 03 の機能の違い

  • SCF 一点計算の既定値を full 精度に(SCF=Tight
  • Freq=ROA の既定値を CPHF=RdFreq に。これは、周波数依存 ROA 強度は解析的計算であるが、静的な限界では数値計算で精度が劣るため
  • MP、BD、CC の post-SCF 法の既定値を Tran=IABC に。これは、多くのマシンで full transformation を行うより効果的
  • IRC 計算の既定値が新しい L123 へ。特に指定しない場合、古い IRC リンク(L115)は IRCMax ジョブのみで使用。L123 の既定アルゴリズムは IRC=HPC で、例外は ONIOM(MO:MM) 計算で、IRC=EulerPC が既定値。L123 でも(L115 で使用していた)IRC=GS2 アルゴリズムが指定可能だが、これは既定アルゴリズムより遙かに高価
  • 既定値では、IRC 計算では経路上の各点でエネルギーと反応座標のみ出力。内部座標とまとめの表出力には、IRC=Report を使う
  • 通常、QM 振動計算と ONIOM(MO:MM) 振動計算では、G03 同様、CPHF=Simultaneous が既定値。しかし、半経験的法の振動計算では CPHF=Separate がより効果的なため、これが既定値
  • CounterpoiseGuess=Fragment 計算、あるいはフラグメントによるポピュレーション解析のための原子のフラグメント割り当ては、各原子の原子核パラメータの部分で指定。古い方式では行末で指定していたが、ONIOM 入力などとの混乱を避けるための変更。
    例えば、新しい方式は:
    C(Fragment=3) 0.0 1.0 2.0
    古い方式では:
    C   0.0 1.0 2.0 3
  • 同位体は、通常、各原子の原子核パラメータの部分で指定する。もし、分割して読み込む場合は、IRC、Freq など、プログラムの異なるパートで部分的に読み込むよりは、分子定義セクションの後に指定し、一度に読み込まれる

ユーティリティプログラムの強化

  • formchk は、ユーザ定義の MM タイプや他の文字列等の情報を .fchk ファイルに追加が可能に。オプション –3 とともに formchk を起動する
  • freqchk は、.chk .fchk ファイルから基準モードを取り出し、.chk ファイルに保存可能(.fchk ファイルは不可)