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Gaussian 16 製品概要

 

モデル化学

手法と基底関数の組み合わせは、理論の水準を定め、Gaussian におけるモデル化学を決定します。すべての Gaussianジョブは手法と基底関数を指定しなければなりません。いくつかの手法では基底関数情報が指定済みですが、手法と基底関数は、通常、インプットファイルのルートセクションにおいて 2つの別々のキーワードによって指定されます。密度汎関数を用いたジョブでは、密度フィッティング (density fitting) 基底系を用いる場合もあります。密度フィッティング基底について詳しい情報は、Basis Sets をご覧ください。

下の表は Gaussian で利用可能な手法とジョブタイプの組合せを示しています。数値的にのみ計算可能なものを「num」で示し、解析的に計算可能なものをアスタリスク (*) で示しています。いくつかのキーワードについては表の下で議論します。

キーワードに手法が指定されない場合、HF とみなされます。多くの手法のキーワードは、例えば、ROHFUMP2RQCISD というように、手法の接頭語として、閉殻制限波動関数に R を、非制限開殻波動関数に U を、制限開殻波動関数に RO を置きます。RO は Hartree-Fock や密度汎関数法、AM1、PM3、PM3MM、PM6、PDDG によるエネルギーと勾配計算、MP2、MP3、MP4、CCSDエネルギー計算にのみ利用可能です。

通常、手法のキーワードはひとつだけ指定されるべきであり、2つ以上の手法を示すキーワードを含む場合には、奇妙な結果が生じるでしょう。しかしながら、以下は例外です。

  • 動的な電子相関を含むCASSCF計算を要請するために、CASSCF は MP2 と一緒に指定できます。
  • ONIOM および IRCMax ジョブは複数の手法の指定が必要です。しかし、それらは対応するキーワードのオプションとして与えます。
  • model2//model1 という形式は、model1 での構造最適化計算に続いて、自動的に構造最適化された構造を用いて model2 での一点計算を行うためによく用いられます。

 

ジョブタイプ

以下は Gaussian 16 において利用可能なジョブタイプの一覧です。

  • SP : 一点エネルギー
  • Opt : 構造最適化
  • Freq : 振動解析および熱化学解析
  • IRC : 反応経路探索
  • IRCMax : 特定の反応経路に沿ったエネルギー最大値の探索
  • Scan : ポテンシャルエネルギースキャン
  • Polar : 分極率および超分極率
  • ADMP および BOMD : ダイレクトダイナミクストラジェクトリ計算
  • EET : 励起エネルギー移動計算
  • Force : 原子核上の力の計算
  • Stable : 波動関数の信頼性テスト
  • Volume : 分子体積の計算
  • Density=Checkpoint Guess=Only : ポピュレーション解析のみを再計算
  • Guess=Only : 分子軌道係数の初期値 (guess) のみを出力 (フラグメントベースの分子軌道係数の初期値の生成)

通常、ジョブタイプキーワードはただひとつのみ指定されますが、下記は例外です。

  • Polar および OptFreq と組み合わせが可能です。後者の組み合わせの場合、構造最適化計算のあと続けて自動的に構造最適化後の構造を用いて振動数計算が行われます。
  • 構造最適化計算へのオプション指定として、Opt は Compound法キーワードと組み合わせることが可能です。例えば、Opt=(TS,ReadFC) CBS-QB3 のように指定することが可能です。

ジョブタイプキーワードがルートセクションの中に指定されていない場合、デフォルトの計算タイプは通常、一点エネルギー計算 (SP) です。しかし、ルートセクションが method2/basis2 // method1/basis1 という形式であった場合には、 (method1/basis1レベルでの) 構造最適化計算に続いて、構造最適化後の構造を用いて (method2/basis2レベルでの) 一点エネルギー計算を要求するために使用されます。例えば、次のルートセクションは、B3LYP/6-31G(d) の構造最適化計算と、続けて CCSD/6-31G(d)モデル化学を用いた一点エネルギー計算を要求します。

# CCSD/6-31G(d)//B3LYP/6-31G(d)

このとき、Opt キーワードは、任意であり、デフォルトです。Opt Freq 計算はこの構文において用いることはできない点にご注意ください。

 

分子のプロパティ

以下に、要望の多い予測値とそれらを計算するための Gaussian 16 のキーワードを示します。

 

プログラムの制限

ここでは Gaussian 16 に存在する様々なサイズの限界を示します。

  • 積分のプログラムには以下の制限があります。
    • 原子の最大数は 250,000個です。
    • 原始シェルは全部で最大750,000個までです。
    • Dまたはそれ以上の原始シェルは全部で最大250,000個までです。
    • 縮約シェルの最大数は250,000個です
    • 縮約可能なシェルの数は最大で100個までです
  • Opt=(EF,EnOnly) 最適化は、解析的な勾配が求められない手法の場合に役立ちますが、変数の数は50個までに制限されています。
  • GVB プログラムは 100対の軌道に制限されています (実際のところ、これは制約にはなりません)。
  • Gaussian の内部の NBO 3.0 は、250,000原子かつ 10,000基底関数に制限されています。

 

リンク (Links)

以下は、リンク (links) として知られている Gaussian 16 を構成するプログラムとその基本的な機能です。

  • L0: プログラムの初期化、オーバーレイの操作
  • L1: ルートセクションの処理、実行するためのリンクの一覧の構築、スクラッチファイルの初期化
  • L101: タイトルと分子指定セクションを読み込み。
  • L102: Fletcher-Powell 最適化
  • L103: 極小値やTS、STQN遷移状態探索のためのBerny 最適化
  • L105: Murtaugh-Sarent 最適化
  • L106: 分極率および超分極率を得るための力および双極子の数値微分
  • L107: LST (Linear-synchronous-transit) 法による遷移状態探索
  • L108: 緩和させない (unrelaxed) ポテンシャルエネルギー曲面スキャン
  • L109: Newton Raphson 最適化
  • L110: 振動数を得るためのエネルギーに対する二次数値微分
  • L111: 分極率および超分極率を計算するためのエネルギーに対する二度の数値微分
  • L112: 自己無撞着なビリアルスケーリング法 (Self-Consistent Virial Scaling method, SCVC) の実行 (T. A. Keithの表式[Lowdin59, Magnoli82, Lehd91])
  • L113: 解析的勾配を用いたEFアルゴリズムによる構造最適化
  • L114: EFアルゴリズムによる数値的な構造最適化 (エネルギーのみを利用)
  • L115: GS3アルゴリズムによる反応経路探索
  • L116: 数値的な自己無撞着反応場 (self-consistent reaction field、SCRF)
  • L117: IPCM溶媒和計算の実行
  • L118: BOMD計算
  • L120: ONIOM計算の操作
  • L121: ADMP計算
  • L122: Counterpoise計算
  • L123: HPCアルゴリズム (やその他) を用いた反応経路探索
  • L124: PCMおよびexternal-iteration PCMを用いたONIOM計算の実行
  • L202: 座標系の再設定、対称性の計算、変数の確認
  • L301: 基底関数情報の生成
  • L302: 重なり積分、運動および位置の積分の計算
  • L303: 多極子積分の計算
  • L308: 双極子の速度とRx∇積分の計算
  • L310: 原始型spdf タイプの2電子積分計算
  • L311: spタイプの2電子積分計算
  • L314: spdfタイプの2電子積分計算
  • L316: 2電子積分の出力
  • L319: 近似のスピン軌道カップリングについての1電子積分の計算
  • L401: 初期MO係数 (guess) の生成
  • L402: 半経験的 (Semi-empirical) 分子軌道計算や分子力学 (Molecular Mechanics) 計算の実行
  • L405: MCSCF計算の初期化
  • L502: SCF方程式の繰り返し計算 (conventional UHF、ROHF、すべてのDirect法、SCRF)
  • L503: ダイレクト最小化を用いたSCF方程式の繰り返し計算
  • L506: ROHFやGVB-PP計算の実行
  • L508: 二次的な収束SCFプログラム
  • L510: MC-SCF
  • L601: ポピュレーション解析および関連する解析 (多極子モーメントを含む)
  • L602: 1電子プロパティ (ポテンシャル、電場、電場の勾配)
  • L604: グリッド点上のMOや電子密度の見積もり
  • L607: NBO解析の実行
  • L608: 繰り返しでないDFTエネルギー
  • L609: Atoms in Moleculesプロパティ
  • L610: 数値積分 (積分コードのテスト)
  • L701: 1電子積分の一次または二次微分
  • L702: 2電子積分の一次または二次微分 (sp)
  • L703: 2電子積分の一次または二次微分 (spdf)
  • L716: 構造最適化と振動数についての情報を処理
  • L801: 2電子積分変換の初期化
  • L802: 積分変換の実行 (N3 in-coreアルゴリズム)
  • L804: 積分変換
  • L811: 積分導関数の形成、MP2の二次微分の寄与の計算
  • L901: 2電子積分の反対称化
  • L902: Hatree-Fock波動関数の信頼性の判定
  • L903:  (旧) in-core MP2
  • L904: Peterssonらによる完全基底関数 (CBS) 外挿法
  • L905: 複合的なMP2
  • L906: セミダイレクトMP2
  • L908: 電子伝播 (Electron Propagator) プログラム
  • L909: ADC(3) と関連する電子伝播モデル
  • L913: ポストSCFエネルギーとその勾配項の計算
  • L914: CIS、RPA、ZIndo励起状態とSCF安定性
  • L915: 五次のオーダーの手法 (MP5、QCISD (TQ) 、BD(TQ)) の計算
  • L916:  (旧) MP4とCCSD
  • L918: 波動関数の最適化の再計算
  • L923: SAC-CI プログラム
  • L925: 励起状態の電子移動 (EET) モデルの実行
  • L1002: CPHF方程式の繰り返し計算とNMRを含む様々なプロパティの計算
  • L1003: CP-MCSCF方程式の繰り返し計算
  • L1101: 1電子積分の導関数計算
  • L1102: 双極子モーメントの積分および微分の計算
  • L1110: F(x)に対する2電子積分の微分の寄与
  • L1111: 2粒子の密度行列およびポストSCFの微分
  • L1112: MP2の2次微分
  • L9999: 計算と出力の終了