1.2 概要

Gene Construction Kit® は、革新的な機能と直観的な操作法で DNA を手軽に取扱いできるよう設計されています。研究室の生産効率を大幅に高めながら実験計画のエラーを最小限におさえる Gene Construction Kit (GCK) のインターフェースと各種機能は、分子生物学者とプログラマーからなる開発チームが 10年にわたる開発期間を経て完成させたものです。

コンストラクト (construct) は、このプログラムの中心的存在となるもので、DNA 配列、および、それに関連するすべての部位 (site)、関心領域、セグメント、コメント、履歴をあらわします。コンストラクトの操作や分析には、5種類のウィンドウを使います。画面上に表示される GCK ウィンドウはいずれもディスク上のファイルにそれぞれ対応します。ファイルの名称がそのままウィンドウの名称となります。GCK のウィンドウには5つの種類があります:Construct, List, Gel, Illustration, および AutoFeature です。以下にそれぞれの概要と関連するマニュアルの章を紹介します。

Construct Window は、コンストラクトにある DNA のあらゆる操作を行うのに使用します。コンストラクトウィンドウの中で、制限酵素およびその他の部位にマークを付けたり、関心領域を定義したり、サイレント突然変異を生成したり、PCR 産物を生成したり、コンストラクトそのものの外観やその注釈を編集することができます。コンストラクトは、グラフィックで線状 (linear) または環状 (circular) で表示させることができるほか、DNA およびタンパク質の配列そのものをフォーマットした一覧リストとして表示させることができます。コンストラクトウィンドウの詳細については、第3章をご覧ください。

List Window は、塩基配列リストの作成、管理、編集に使用します。このリストには、制限酵素認識配列、タンパク質結合部位、リンカー、プロモーター、等がその内容として含まれます。リストでは塩基配列の切断部位を定義したり、リスト内の任意の項目に関連するコメントを定義することができます。コンストラクト内の部位のマークにリスト項目を使用すると、そのコメントもコンストラクトでマークを付けた部位に関連付けられます。リストウィンドウの詳細については、第4章をご覧ください。

Gel Window は、ゲル電気泳動パターンをシミュレーションするのに使用します。ゲルウィンドウに表示できるダイジェストの数に制限はありません。不完全消化 (Partial digest) を表示したり、同一のゲルウィンドウ内または異なるゲルウィンドウ間でレーンをカット&ペーストすることも可能です。また、ゲルをグラフィカルに表示できる以外にも、ダイジェストの断片サイズ情報をまとめた表として表示させることができます。ゲルウィンドウの詳細については、第5章をご覧ください。

Illustration Window は、プレゼンテーションや印刷物として公開するドキュメントの作成に使用しまが、複雑なコンストラクション・プロジェクトの経過を記録するのに使用することもできます。イラストレーションウィンドウには、コンストラクト、リスト、ゲルウィンドウの図やテキストを貼り付けることができます。イラストレーションウィンドウに貼り付けると自動的に凡例が作成されます。他のプログラムで作成されたグラフィックやテキストをコピーし、GCK のイラストレーションウィンドウに貼り付けることも可能です。イラストレーションウィンドウにコンストラクトを貼り付けると、そのオリジナル・ファイルは切り離されることになりますが、コンストラクトウィンドウで通常利用できるツールをすべて利用して、これを編集することができます。イラストレーションウィンドウには、イラストレーションの内容を補強するドローツール一式も用意されています。イラストレーションウィドウの詳細については、第6章をご覧ください。

AutoFeature Window には GCK の各種 feature を保存しておいて、任意のコンストラクトに自動的にマークを付けるのに使用することができます。GCK のセグメントや領域 (region) にに関する情報を保存しておけば、それらが何処にあるかを GCK に問い合わせたり、任意のコンストラクトの feature に同じマークを付けることができるようになります。詳しくは、チュートリアル 21:AutoFeature の適用、および、AutoFeature Window をご覧ください。