19.8 クラスカル=ウォリスの順位に基づく分散分析

クラスカル=ウォリスの順位に基づく分散分析 (Kruskal-Wallis Analysis of Variance on Ranks) を使うのは:

お持ちのデータが分散の等しい正規母集団から抽出されていることが既知の場合は、一元配置分散分析 (One Way ANOVA) を使います。詳しくは、一元配置分散分析 (ANOVA) をご覧ください。比較する群が2つしかない場合は、マン=ホイトニーの順位和検定を実行します。詳しくは、マン=ホイトニーの順位和検定をご覧ください。非正規母集団に対する2因子または3因子の検定法はありませんが、お持ちのデータを変換することでパラメトリック検定の前提条件にあてはめることはできます。

Tip:Options for ANOVA on Ranks ダイアログボックスで正規性の検定を実行するよう選択している場合、正規母集団に対して順位に基づく分散分析を実行すると SigmaPlot によりそのデータがパラメトリック検定に適合していることが告知され、一元配置分散分析をその代わりに実行するよう提案されます。詳しくは、一元配置分散分析 (ANOVA) をご覧ください。

 

  1. クラスカル=ウォリスの順位に基づく分散分析について
  2. 順位に基づく分散分析を実行する
  3. 順位に基づく分散分析のデータを配置する
  4. 順位に基づく分散分析オプションを設定する
    1. Options for ANOVA on Ranks: Assumption Checking
    2. Options for ANOVA on Ranks: Results
    3. Options for ANOVA on Ranks: Post Hoc Tests
  5. 順位に基づく分散分析を実行する
  6. 順位に基づく分散分析の多重比較オプション
  7. 順位に基づく分散分析の結果を解釈する
    1. 結果の説明
  8. 順位に関する分散分析のレポートグラフ
    1. ANOVA on Ranks のグラフを作成する方法

 

1. クラスカル=ウォリスの順位に基づく分散分析について

クラスカル=ウォリスの順位に基づく分散分析 (Kruskal-Wallis Analysis of Variance on Ranks) では、それぞれが異なる処理を受ける複数の実験群を比較します。この計画は、実験群が2つより多いという点を除けば基本的にマン=ホイトニーの順位和検定と同じです。詳しくは、マン=ホイトニーの順位和検定をご覧ください。2群に対して順位に基づく分散分析 (ANOVA on Ranks) を実行しようとすると、順位和検定をその代わりに実行するよう SigmaPlot から提案されます。詳しくは、マン=ホイトニーの順位和検定 をご覧ください。

検定する帰無仮説は「群間の値の分布に差はない」です。

クラスカル=ウォリスの順位に基づく分散分析は、全ての標本が分散の等しい正規分布に従う母集団から抽出されているという前提条件を必要としないノンパラメトリック検定です。

 

2. 順位に基づく分散分析を実行する

順位に基づく分散分析 (ANOVA on Ranks) を実行するには:

  1. ワークシートに適切なデータを入力または配置します。詳しくは、順位に基づく分散分析のデータを配置する をご覧ください。

  2. 必要があれば、ANOVA on Ranks オプションを設定します。

  3. Analysis タブをクリックします。

  4. SigmaStat グループにある Tests ドロップダウンリストから以下を選択します:

    Compare Many GroupsANOVA on Ranks

  5. 検定を実行します。

  6. レポートグラフを作成します。詳しくは、順位に基づく分散分析のレポートグラフ をご覧ください。

 

3. 順位に基づく分散分析のデータを配置する

検定するデータのフォーマットは、生データもしくはインデックス付きデータになります。生データの場合は、64 を上限として群の数と同じ数の列に配置します。列ごとに1つの群データが入ります。インデックス付きデータの場合は、少なくとも3つの処理をワークシートの2列に配置します。処理が3つより少ない場合は、順位和検定 (Rank Sum Test) を使います。詳しくは、マン=ホイトニーの順位和検定をご覧ください。

順位に基づく分散分析で有効なデータフォーマットの2つの例

列1から3は、生データを配置したものです。列4と5は、列4を因子列、列5をデータ列とするインデックス付きデータを配置したものです。

 

4. 順位に基づく分散分析オプションを設定する

ANOVA on Ranks のオプションを使用するのは:

ANOVA on Ranks オプションを変更するには:

  1. Analysis タブの SigmaStat グループにある Select Test ドロップダウンリストから ANOVA on Ranks をクリックします。

  2. Current Test Options オプションをクリックします。 Options for ANOVA on Ranks ダイアログに以下の3つのタブが表示されます:

    1. Assumption Checking:データの正規性と等分散性の基準を緩和または厳格にするには、このパラメータを調整します。詳しくは、Options for ANOVA on Ranks: Assumption Checking をご覧ください。

    2. Results:レポートにデータの統計サマリーと信頼区間を表示したり、ワークシート列に残差を保存するかを指定します。詳しくは、Options for ANOVA on Ranks: Results をご覧ください。

    3. Post Hoc Tests:検出力 (Power)、すなわち、検定の感度を計算するかを指定します。詳しくは、Options for ANOVA on Ranks: Post Hoc Tests をご覧ください。

  3. 検定を継続するには、Run Test をクリックします。

  4. 現在の設定内容を適用するには、OK をクリックします。

 

4.1 Options for ANOVA on Ranks: Assumption Checking

Options ダイアログボックスの Assumption Checking タブを選択すると、Normality (正規性) と Equal Variance (等分散性) に関するオプションが表示されます。正規性 (Normality) の前提条件の検定では、母集団が正規分布に従っているかをチェックします。等分散 (Equal Variance) の前提条件の検定では、各群の平均値の周りのばらつきをチェックします。

Note:データの分布が極端な状態にあり、これらの手法では検定できない場合があります。たとえば、ルビーンの中央値検定 (Levene Median test) では、分散の大きさが数次の場合は差の検出ができません。このような条件の場合は、前提条件の自動検定に頼らずにデータを視覚的に調べることで容易に見分けることができます。

 

4.2 Options for ANOVA on Ranks: Results

順位に基づく分散分析の Summary Table では、中央値 (Median)、パーセンタイル、および、サンプルサイズ N がレポートに表示されます。必要があれば、ボックスの内容を編集してパーセンタイルの値を変更します。提示されるパーセンタイルは、25% および 75% パーセンタイルです。

Summary Table オプションを表示した Options for ANOVA on Ranks ダイアログボックスの例

 

4.3 Options for ANOVA on Ranks: Post Hoc Tests

Options ダイアログボックスの Post Hoc Test タブをクリックすると、多重比較オプションが表示されます。順位に基づく分散分析 (ANOVA on Ranks) では、幾つかの処理群の間に差がないという仮説を検定しますが、どの群に差があるのか、すなわち、群間の差の大きさは分かりません。多重比較は、二元配置分散分析で差が検出されたときに、これらの差を特定するのに使います。

ANOVA で差を検出するか否かの判定に使用する P 値は、Options ダイアログボックスの Report タブで設定します。順位に基づく分散分析 (ANOVA on Ranks) で求められた P 値が、このボックスで指定した P 値よりも小さければ、群間に差が検出されたことになるので、多重比較が実行されます。

Note:ワークシートからデータを選択して検定を実行したあと、多重比較が開始されると、Multiple Comparison Options ダイアログボックスが表示され、多重比較の手法を選ぶよう指示されます。詳しくは、順位に基づく分散分析の多重比較オプション をご覧ください。

Attention:不確実性からの影響を受けない統計的検定はありませんので、場合によっては多重比較プロシージャによる群分けが判然としないこともあります。

 

5. 順位に基づく分散分析を実行する

検定を実行する前にお持ちのデータを選択しておきたい場合は、対象となるデータをマウスポインタでドラッグしておきます。

ANOVA on Ranks を実行するには:

  1. Analysis タブをクリックします。

  2. SigmaStat グループにある Tests ドロップダウンリストから次を選択します:

    Compare Many GroupsANOVA on Ranks

    ANOVA on Ranks — Data Format パネルが表示され、データフォーマットを選択するよう指示されます。
    検定ウィザードの ANOVA on Ranks — Data Format パネルでデータフォーマットを選択するよう指示されます。

  3. Data Format ドロップダウンリストから適切なデータフォーマットを選択します。詳しくは、群比較検定のデータフォーマット をご覧ください。

  4. Next をクリックして、この検定のデータ列を選択します。検定を選択する前に列を選択していれば、Selected Columns リストに選択した列が表示されます。

  5. Selected Columns リストに別のワークシート列を割り当てたい場合には、ワークシートで直接その列を選択するか、Data for Data ドロップダウンリストからその列を選択します。

    Selected Columns リストの一行目に割り当てられるのは最初に選択した列で、以後同様に列を選択するごとにリストの2行目以降に割り当てられてゆきます。
    検定ウィザードの Select Data でデータ列を選択するよう指示されます。

    各行には、選択した列の番号またはタイトルが表示されます。生データの場合は、ワークシートの少なくとも2列、最大64列まで、インデックス付きデータの場合は、少なくとも3つの処理を含む2列を選択するよう指示されます。処理が3つより少ない場合は、順位和検定 (Rank Sum Test) を使用するようメッセージが表示されます。詳しくは、マン=ホイトニーの順位和検定をご覧ください。

  6. 選択した内容を変更するには、リストの割り当てを選択したあと、ワークシートから列を選択しなおします。Selected Columns リストの内容をダブルクリックすることによって、列の割り当てを消去することもできます。

  7. 正規性と等分散性を検定するよう選択しており、 お持ちのデータがどちらの検定にも合格しなかった (failed) 場合、そのまま検定を続けるか、または、データを変換したあと、その変換したデータに対して ANOVA を実行するかを選択できます。

  8. 多重比較の P 値が有意である場合、または、常に多重比較を実行するよう選択している場合、Multiple Comparisons Options ダイアログボックスが表示され、多重比較の手法を選択するよう指示されます。詳しくは、順位に基づく分散分析の多重比較オプション をご覧ください。

  9. Finish をクリックすると、ANOVA on Ranks が実行されます。 次の場合は、ANOVA on Ranks レポートが表示されます:

    1. 正規性と等分散性を検定するよう選択し、お持ちのデータがどちらの検定にも合格 (Pass) した場合。

    2. 多重比較を実行しないように選択している場合、または、P 値が有意なときだけ多重比較を実行するよう選択しており、P 値が有意でない場合。詳しくは、順位に基づく分散分析の結果を解釈する をご覧ください。

 

6. 順位に基づく分散分析の多重比較オプション

Options for ANOVA on Ranks ダイアログボックスで、多重比較を実行するよう選択しており、2つの因子のいずれか、または、2因子の間の交互作用について、ANOVA で算出された P 値が、多重比較のトリガーとなる P 値と等しいか小さかった場合、Multiple Comparison Options ダイアログボックスが表示され、多重比較の検定法を指定するよう指示されます。

このダイアログボックスには、2つの実験因子の P 値と因子間の交互作用の P 値が表示されます。選択できるオプションは、Options ダイアログボックスで指定した値と同じか小さい P 値を持つもののみです。選択されたオプションをクリックすることで、その因子の多重比較検定を無効にすることができます。いずれの因子も選択していなければ、多重比較の結果はレポートされません。

ANOVA on Ranks で選択できる多重比較の検定法には以下の4種類があります:

ANOVA on Ranks で選択できる多重比較には2つのタイプがあります。選択できる比較タイプは、選択した多重比較検定法によって変わります。

 

7. 順位に基づく分散分析の結果を解釈する

ANOVA on Ranks レポートには、H 統計量 (同順位の結び ties を補正したもの) と、それに対応する H の P 値が表示されます。レポートに表示されるその他の結果は、Options for ANOVA on Ranks ダイアログボックスで有効または無効にすることができます。

ANOVA on Ranks の結果のレポート

7.1 結果の説明

数値による結果に加えて、拡張された結果の説明が表示されることがあります。この説明テキストは、Options ダイアログボックスで有効または無効にすることができます。

表示される小数点以下の桁数についても Options ダイアログボックスで指定できます。

 

8. 順位に関する分散分析のレポートグラフ

NOVA on Ranks の結果を使用して以下に示すグラフを3つまで作成できます:

 

8.1 ANOVA on Ranks のグラフを作成する方法

  1. ANOVA on Ranks 検定のレポートを選択します。

  2. Report タブをクリックします。

  3. Results Graphs グループにある Create Result Graph をクリックします。

  4. Graph Type リストの中から作成したいグラフタイプを選択して、OK をクリックします。選択したグラフがグラフウィンドウに表示されます。詳しくは、レポートグラフ をご覧ください。