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九州大学大学院 理学研究院 生物科学部門 野下 浩司 助教 |
さまざまな生物や生物が作る構造物の定量的な解析に取り組んでいます。形態進化を究極要因と至近要因の両面から定量的に理解したいと考えています。
主な研究内容は
です。
例えば,「かたち」のある側面は,平行移動,回転に対する不変量である形態(form)や平行移動,回転,拡縮に対する不変量である形状(shape)として記述できます(図1,Noshita 2021 CC-BY 4.0)。
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こうした性質やそれ以外の「かたち」の側面を定量的に解析するためのモデルの開発や計測手法の提案を進めています。
形態や形状を記述する数理モデルの解析や数式処理、可視化にMathematicaを用いています。
例えば、貝類の殻形態の数理モデルの解析からあるモデルが別のモデルの特殊な場合であることを示したり(図2)、結果を可視化したり(図3)といったことに活用しています。
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数式処理により汎用性を保ったまま解析を進め、具体的なパラメータの値により実際にどのような「かたち」や成長パタンを示すのかを確認することができ便利です。微分方程式や接空間の基底を操作するようなケースでは特に威力を発揮します。
卒業研究に取り組んでいた頃(2009年前後)にMathematicaを使い始めました。
当時は巻貝の殻のかたちを表現する理論形態モデルの3次元的な可視化、物理シミュレーション、博物館標本からの計測データに基づいたパラメータ推定への活用がメインでした。
パラメトリックな3次元空間中の曲面としてモデル化される巻貝の殻のかたちの解析や可視化を簡便に行える点が強みです。
多種多様なデータフォーマットをサポートしており、2次元、3次元での可視化もシームレスにおこなえる点が魅力です。これらは様々な「かたち」を解析する上でとても助かります。
というのも「かたち」のデータとして利用されるものは単純な2次元のRGB画像だけではありません。CTやMRIのデータであれば3次元のボクセルデータ、3Dスキャンなどではポリゴンや点群データになります。
またマルチスペクトル画像やハイパースペクトル画像ではより多くのチャネルが必要で、色深度も8bitだけでなく16bitや32bitということもあります。
こうした多様な解析を豊富な関数と統一されたインターフェース・解析環境により実施できます。
ノートブック環境の強化とバージョン管理システムとの親和性の向上を期待します。
データの解析にはパスの自動補完やファイルのブラウズ、見出しの目次化などがあると便利なので、こうした機能が導入されると嬉しいです。
またPacletやパッケージ開発のベストプラクティスなどの情報が充実すると様々なツール開発にもっと取り組みやすくなると期待しています。
本事例作成に関し、野下先生のご協力に感謝いたします。
(インタビュー:2023 年7 月)
※所属・役職は取材当時のものです。