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結晶形状の作成

SingleCrystal を使えば、結晶の形状 (Shape) を素早く簡単に構築することができます。単一または複数の面を入力するだけで、それらの対称関係が SingleCrystal によって計算されます。スライダーコントロールをクリック&ドラッグして面の位置 (“Wulff Construction”) を設定すると、面どうしのなす角度や頂点の位置関係を測定することができます。

SingleCrystal は、複数のパターンや構造を取り扱うプログラムとして設計されているので、形状を組み合わせてキラリティー (対掌性) による影響を比較したり (例:左巻きと右巻きの水晶)、カリウム長石の「カールスバッド双晶」のような双晶ができる仕組みを理解することができます。

カリウム長石のカールスバッド式貫入双晶 (Carlsbad inter-penetrant twin)

 

ステレオ投影図

ライブのステレオ投影図 (ステレオグラム) を使えば、回折空間を自由に移動することができます。ステレオグラムは、方位のガイドとしてフルサイズまたは縮小サイズで表示できます。ステレオグラムには、面法線、または、格子ベクトル (晶帯軸) の角度位置が極 (Pole) としてプロットされます。オプションにより、トレースを大円または小円 (ユーザー指定の半径) で表示できます。

SingleCrystal のステレオグラム機能:

  • 任意の極 (Pole) をベクトルまたは面法線として追加。
  • 対称性に関係する方位の追加。
  • 最大指数に全ての極を自動的に追加。
  • 対称性または N 値による極のグループ分け。
  • 個別、グループ別、対称性別、N 値別の色分け。
  • ラベル、トレース (大円) の表示・非表示の切り替え。
  • 任意の極の周囲に小円を表示。
  • 投影図の南半球側の表示法とラベリングのカスタマイズ。
  • ラインの太さ、極のサイズ、フォントのカスタマイズ。
  • オプションによる Miller-Bravais (4指数) 表記。
  • ステレオネットと回転ダイアルのオプション表示。
  • Pole チップスに bearing (方位角) と elevation (仰角) を表示。
  • 極のダブルクリックで表示をその方位に設定。
  • 選択した任意の極と極の間の角度の測定。
  • 選択した任意の極の晶帯 (zone) と晶帯軸 (zone axis) の表示。
  • ステレオグラムのクリック&ドラッグによる結晶構造の回転。
  • 細かい作業をおこなうためのステレオグラムの最大表示。
  • ミニ・ステレオグラムによる便利な方位ガイドの提供。
  • ステレオグラムをピクセルまたはベクトル画像としてエクスポート。

ステレオグラム専用の Stereogram インスペクターを使えば、任意の極を追加できます (SingleCrystal を使って自動的に最大 hkl に極を追加したり、対称性に関係する極を追加することも可能です) 。極は、対称性、N 値別にグループ分けしたり、色分けすることができます。また、広範な Projection コントロールを使えば、ステレオネット、ライン幅、極、フォントサイズなどの表示属性をカスタマイズできます。

SingleCrystal を使えば、極とそれらの角度をインタラクティブに測定できます

 

フーリエ変換

画面に表示された画像や回折パターンを使ってフーリエ変換を即座に生成できます。また、フーリエ変換の結果を作業に応じてインタラクティブに表示させることも可能です。Fourier Transform ペインには、独自のスケールバーとルーラも用意されています。フーリエ変換は相互関係を理解するのに最適な手段です。

SingleCrystal には、光学的回折と「畳み込み」の概念に関する教育を強化するために設計されたフーリエ変換の「マスク」とパターンの広範なライブラリが用意されています。

画像 (左) に適用したインタラクティブなフーリエ変換 (右) の例:
このフーリエ変換は、強度 (intensity) に応じて色分けされています。
左右のスケールバーに注目してください。

 

単結晶の回折シミュレーション

SingleCrystal は、単結晶の主要な回折手法をインタラクティブにシミュレーションし、その結果を美しい高 DPI 画像でリアルタイムに提供します。回折ジオメトリには、透過型電子顕微鏡 (TEM) (オプションによる菊地線表示)、歳差運動 (Precession)、ラウエ (フロントプレート、バックプレート&シリンダーパターン)、標準または重み付き逆格子セクション (ユーザー指定の高さ) が含まれます。必要に応じて、粉末リングの表示も可能です。

立方晶の菊池線をシミュレーションした例:
右側は対称性に関係する面のステレオ投影図です。

 

ライブ回折: CrystalMaker との統合

SingleCrystal 5 は、CrystalMaker 11 と連携して、保存された結晶ファイルを読み込んで回折特性をシミュレーションできるよう設計されています。2つのプログラムをリンクさせれば、結晶構造を一方のウィンドウに表示させながら、その回折パターンを他方のウィンドウに表示させることができます。CrystalMaker の “Live Rotation Mode” を有効にすれば、結晶を回転させるとそれに応じてその回折パターンも回転します。また、その逆も可能です。”Live Intensity Mode” はさらに高度です。CrystalMaker で構造をリアルタイムに編集しながら (移動、回転、原子群の変更)、それによって更新される回折パターンを SingleCrystal で確認することができます。

Live Rotation Mode:
CrystalMaker (左) で構造を回転すると、それに応じて回折パターンも SingleCrystal (右) 内で回転します。
その逆も可能です。

Live Intensity Mode:
CrystalMaker (左) で構造を編集すると、それに応じて回折パターンも SingleCrystal (右) 内で更新されます。

 

多相 (Multi-Phase) 回折

多相 (Multi-Phase) 回折は、新しい結晶や観測された回折画像をウィンドウに追加するのと同じくらい簡単に行うことができます。それぞれのパターンは、互いに相対的に回転または移動したり、オンとオフを切り替えたり、複製 (編集の前と後を比較可能) または他のウィンドウにコピーすることができます。

双晶 (twinned crystal) の TEM 回折シミュレーション例:
この双晶の 2 方向の反射を赤と青で色分けしています。2 つの方位の関係 ((101) に関する鏡面反射) は、右側のステレオ投影図 (最小化で表示) にまとめられています。

粉末リングと単結晶の反射を比較した多パターンの TEM 回折シミュレーション

Simulation Inspector には、サンプルに対するリアルタイム制御と、波長、カメラ長、明暗の度合い、ガンマコントロール、ビーム収束角)、サンプルの厚さ (TEM)、サンプルのボリューム、セルパラメータ、および、サイト占有率といった各種装置パラメータ (instrumental parameters) が用意されています。カラーリング、透明度、ラベリング、系統的欠落 (Systematic Absences)、フォント、拡大率、配置といった表示属性は、いずれも Display インスペクターを使用してインタラクティブに調整できます。

Simulation インスペクターを使ってある相のせん断変形をシミュレーションした例:
得られた回折パターン (赤の斑点) を歪みのないオリジナルのパターン (黒の斑点) と比較できます。

 

逆格子とブリルアンゾーン

重み付けされた逆格子を 3D で可視化して、逆格子の各点のサイズを調整したり、強度によって色分けすることができます。また、逆格子の平面、ベクトル、および円錐 (指定された逆格子ベクトル周囲の小円を表す) を追加できます。洗練されたデプスフェーディングコントロールを使用すれば、逆空間のスラブを可視化できます。さらに、Arrow ツールを使用すれば、3D で表示された個々の逆格子点または逆格子点のグループ間の距離を測定できます。

重み付き 3D 逆格子の表示例

SingleCrystal を使用すると、任意の結晶構造の第一ブリルアンゾーン (First Brillouin Zone) を可視化できます。このゾーンは、Apple ネイティブの “Metal” または Microsoft ネイティブの Direct X テクノロジーを使用して 3D モデルで表示されます。これにより、逆空間におけるブリルアンゾーンと隣接領域との関係を理解することができます。頂点、辺および面心の位置を特定できます。Shift キーを押しながら複数の点をクリックするとその経路を定義できます。

面心立方格子 (Cubic F) 構造の第一ブリルアンゾーン

 

インタラクティブな操作と測定

回折パターンは、マウスのクリック&ドラッグ、トラックパッドやタッチスクリーンでのマルチタッチのジェスチャーの使用、スクロールホイールの使用、ツールバーの傾きコントロール、タッチバーの回転ダイヤル (Mac)、または、キーボードを使うことによって、リアルタイムに回転と縮尺を行うことができます。正確な傾きを入力、すなわち、面法線または格子ベクトルとして表示方向を定義することができます。

MacBook Pro で利用できるタッチバーの各種レイアウトの例:
デフォルトのレイアウト (上図) には、表示方向と回転ダイアルのポップオーバー、回転とズームボタン、明暗の度合い (saturation) ポップオーバーが用意されています。ポップオーバーをそれぞれ展開すると、回転ダイアル (上から 2 つめ)、表示方向 (上から 3 つめ)、明暗の度合い (一番下) が表示されます。

Screen ツールには、シミュレーションされたパターンの距離と角度をインタラクティブに測定する触覚 (Haptic) フィードバック (Mac) 付きの機能が用意されています。文字通り「反射を体感」できます!統合された Reflexions List を使えば、visibility と type のいずれか又は両方によって、シミュレーションされた反射を検索、閲覧、並べ替え、絞り込むことができます。

SingleCrystal の特徴は、観測された回折画像の高度な画像処理にあります。印象的なグラデーションを含むカスタムの閾値レベルを使った画像着色 (Image colourization) を適用して、視認性を高めることができます。スクリーンオーバーレイ (Ruler (定規)、Protractor (角度計)、Grid (格子窓)) には、Ruler オーバーレイを使用した強度プロファイル (2D 断面図) オプションを含む、観測された回折画像を高精度で測定するための機能が用意されています。

観測 (および着色) された TEM 回折画像を横断する強度分布をプロファイルに表示した例

 

観測パターンの自動指数付け

観測されたパターンの上にシミュレーションされたパターンを重ね合わせることで直接的な比較を行うことができます。Grid ツールを使えば、自動指数付けを簡単に行うことができます。Auto Fit ボタンをクリックして、観測されたパターン (TEM またはプリセッション写真) 上にグリッドを配置するだけです (または、グリッドのアームを調整して手動でリサイズすることもできます)。SingleCrystal によって当てはまりの最も良い方位が算出され、回折斑点に指数が付けられます。

Grid オーバーレイを使用して観測された TEM 回折パターンに自動指数付けを行った例:
観測された画像は、回折斑点を強調表示して測定しやすくするために SingleCrystal で着色されています。

 

結晶構造の同梱

SingleCrystal を使えば、内蔵型の結晶エディター (対称性を完全に操作可能) により、このプログラム内で回折シミュレーションをゼロから新規作成することができます。また、CIF、CMTX、または CrystalMaker ドキュメント (CMDX または CMDF) から構造をインポートしたり、Live Intensity Mode (下記参照) を使って CrystalMaker 11 から構造データをシームレスに送信することができます。

SingleCrystal には、更に、インデックス付きで検索可能な約 1,000 個の結晶構造 (500 個の鉱物を含む) ライブラリも含まれており、回折シミュレーションをすぐに行うことができます。このライブラリは一般的なデータベースではありません。空間群、密度、体積、その他の結晶学的データ表示機能を備えた、SingleCrystal 用に最適化された専門家が厳選したライブラリです。

統合された構造ライブラリを使用して、K、Al、Si、O のみを含む構造を検索した例

 

データとグラフィックのアウトプット

SingleCrystal を使えば、作業内容を自己完結型のドキュメントに保存することができるので、プログラムを次に使用する際は即座にその内容から作業を開始することができます。また、観測されたパターンの指数付けに役立つ回折データのリストと “Zone Axes” ファイルをエクスポートすることもできます。回折パターン (背景画像と測定値を含む) は、高解像度でプリントすることができます。また、グラフィックやステレオ投影図についても、任意のピクセルやベクトルベースの形式でコピーしたりエクスポートすることができます。

 

クロスプラットフォーム:純正仕様

SingleCrystal には、Windows 版 (Windows 10 対応) と macOS 版 (“Catalina” 対応) の2つのバージョンが用意されています。これらは、それぞれのオペレーティングシステムのために全くのゼロから構築されたもので、 Windows と Mac のアプリケーションとして 100% ネイティブの純正です。これにより、システムとの統合、パフォーマンス、ユーザビリティ、デザインの美しさがそれぞれの環境で最大限発揮されます。

SingleCrystal for Mac は、新しい Apple Silicon (ARM ベース) の Mac 上でネイティブに動作するだけでなく、Intel Mac でもネイティブに動作します。ソフトウェアは「ユニバーサル バイナリ」として配布されるので、お使いの環境に応じて最大限のパフォーマンスが提供されることになります。

Mac 版と Windows 版では、同じ形式のバイナリファイル、同様の機能セットが共有されますので、クロスプラットフォームでの作業や共同作業を容易に行うことができます。