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SingleCrystal 5 新しい機能 |
過去のバージョンの履歴 |
スクリーンツールとオーバーレイのポップオーバーコントロールは、メインツールバーの下の新しいツールストリップに置き換わりました。これにより、ワンクリックで簡単にアクセスでき、必要に応じて新しい Tools ツールバーボタンをクリックすることで非表示にできます (または、View > Screen Tools > Hide Tools を選択)。以前の View ポップオーバーは、各ビューの個別のボタンに置き換わりました。これらのうち、Reflexions ボタンは、デフォルトのツールバー構成に含まれています。
SingleCrystal では、新世代のソリッドステート検出器などで使用されているハイダイナミックレンジ (HDR) 画像ファイルをインポートして表示できるようになりました。HDR データをプログラムに読み込むことができるだけでなく、ほとんどのモニターの 8 ビット表示 (256 レベル) で動作するように強度スケールを再マップする自動ガンマ変換により、強度の変化が可視化されます。なお、オリジナルの生の強度はピークマーカーに表示され、エクスポートできる点に注意してください。
Arrow ツールを使用すると、マウスの位置とそれに対応する観測強度が Diffraction ペインの下部にある “Info Tip” に表示されます。HDR 画像では、元の生の強度も表示される点に注意してください。
Picture インスペクタの Background Detection ポップオーバーに、”Radial average background” オプションが新たに追加されました。このオプションを有効にすると、背景バイトは画面の中心から放射状に平均化されます。重要: 観察対象のパターンを物理的に移動して (Move ツールを使用するなど)、その強度の中心が Diffraction ペインの中心になるようにする必要があります (Crosshairs を表示すると、この操作が簡単になります)。
Pattern メニューのこの新しいオプションは、既存の画像パターンを一連の同心円状のリングに変換します。これは、粉末回折データとの比較に役立ちます。(注: 放射状に平均化された背景オプションと同様に、このコマンドを使用する前に、観測された回折画像が正しく中心に配置されていることを確認する必要があります)。
CrystalMaker 11 の全体的な外観に合わせてドキュメントウィンドウを再設計しました。統合されたツールバーは削除し、その代わりに個別のタイトルバーとツールバー (後者は明るい背景テーマ) が配置されています。新しいアイコンとセグメント化されたボタンデザインを追加しました。
このバージョンには、さまざまな機能強化とバグ修正が多数含まれています。
SingleCrystal 5 は洗練されたモダンなインターフェースに設計されています。Mac 版では、Apple の統合されたツールバーの外観にフルハイトのサイドバーが装備されています。このインターフェースには、各種コントロールがアニメーションで表示されるたスマートインスペクターも装備されています。このインスペクターは、画面に表示する内容を変更したり、異なるペインをクリックすると、それに応じて、2D, 3D, Crystal Shape, Stereogram の各インスペクターが自動的に切り替わります。
SingleCrystal の Gallery ウィンドウのサンプルデータには、いずれも画面右側にノートが表示されている点にお気づきのことと思います。これらは、有益な情報を提供できるように設計されたもので、この領域を使うことで、自分で行った回折実験に関するノートをリッチテキストフォーマットを使って記録することができます。このノートはドキュメント全体に適用されます (パターンの選択とは無関係です)。分割されたインスペクターコントロールの Notes セグメントと Parameters セグメントを使用して、Notes と Parameters インスペクターを切り替えることができます。
SingleCrystal 5 には、方位 (orientation) を操作しやすくするための “Mini Stereogram” が用意されています。このステレオグラムは、 Diffraction ペイン上にフローティングで表示され、画面の一辺や角に「ドッキング」させることができます (SingleCrystal 4 のインスペクターに表示されていたステレオグラムはこれに置き換わりました)。この Mini Stereogram は、視覚的に目立たないように設計されていますが (また、必要な場合は非表示にできますが)、完全 (かつ、編集可能) な Stereogram ペインと Poles List を表示するために役立つショートカットも用意されています。
SingleCrystal 5 では、最新の 3D グラフィック、すなわち、Apple の “Metal”、Microsoft の “DirectX” を使用して回折を 3D で探索できるようになりました。特に、Simulate > 3D Weighted Reciprocal Lattice コマンドを使えば、重み付き逆格子 (weighted reciprocal lattice) を 3D モデルで表示させることができます。この 3D モデルでは、逆格子の各点が球 (系統的欠落 (Systematic Absences) の場合はシンボル) で示され、ステレオグラム投影に対応する各種平面、ベクトル、さらには円錐 (cone) を追加することができます。
任意のマテリアルの第一ブリルアンゾーン (First Brillouin Zone) を Simulate > 3D Brillouin Zone コマンドを使って表示できます。SingleCrystal には、ブリルアンゾーン周辺の逆格子部分と、逆格子軸 x*, y*, z* に平行なラインで結ばれた点が表示されます。ブリルアンゾーン (およびオプションでその周囲の逆格子) の表示は、専用のインスペクターを使用してカスタマイズできます。面心、辺、頂点 をクリックすると、それぞれの座標が表示されます。Shift + クリックで、逆空間の経路を定義できます。
SingleCrystal の 3D 機能を使って結晶の形態 (crystal morphologies) を表示できます。以下の3つのステップで実行できます:
プリセット (“standard set”) の面グループを指定するには Shape インスペクターを使います。結晶面の色分けスキーム、不透明度、および、彩度を設定したり、作成した形状を画面中央から移動できます (同じドキュメント内で、例えば、双晶やキラル関係といった複数の形状を取り扱う場合に便利です)。
SingleCrystal 5 を使えば、任意のシミュレーションによるパターン又は観測されたパターンの光学的回折 “optical diffraction” パターンをシミュレーションできます。例えば、観測された回折パターンを使って擬似的な「高解像度の TEM 画像」を表示したい場合や、単純なイメージ「マスク」を編集して、シミュレーションによるフーリエ変換を観察することによって回折の原理を調べたい場合があります。このような場合、Pattern > Generate Fourier Transform コマンドを使用して、シミュレーションによるフーリエ変換の静的画像を作成するか、View > Diffraction > Show Fourier Transform コマンドを使用して、フーリエ変換の結果をインタラクティブに表示することができます (Diffraction ペインの右端) 。なお、Patterns リストにある複数の画像を組み合わせることでフーリエ変換の結果を変化させることができます。例えば、あるパターン (一行に並んだ点) をロックして、第二のパターン (一行に並んだ別の点) を動かすことで、パターンの間隔の変化にともなってフーリエ変換がどのように変化するかを確認することができます。SingleCrystal 5 には、フーリエ変換に関する広範にわたる教育用リソースが同梱されています。これらは、畳み込み (convolution) と形状関数 (shape functions) の原理を探索する一連のマルチパターンドキュメントで構成されています。このライブラリは、Gallery ウィンドウの中にあります。
SingleCrystal では、観測された回折画像中の強度の最大値の位置が自動的に検出されます。この機能により、最初に観測された画像上に Grid オーバーレイを表示すると、各ノードが観測された反射の上に重なるよう Grid の「スナップ」がプログラムによって行われます (この機能は、 2D 逆格子セクションを画像化する X 線プリセッションパターンや TEM 回折パターンなどの手法に適しています)。一度手動で Grid を調整してしまうと、「スナップ」による位置変更が自動的に行われることはありません (これはユーザーによる測定結果を保護するためです)。しかし、Grid インスペクターの Auto-Fit Grid ボタンを使うことで、Grid の位置を手動で「スナップ」させることができます。
Grid オーバーレイを使って観測された回折パターンに Auto-Index (自動指数付け) を行う場合、リファレンスとなる観測されたパターンを用意する必要があります。従来のバージョンでは、このパターンを画面上に表示されたパターンとしてまずはじめにプログラムに読み込んでいました。SingleCrystal 5 では、シミュレーションによる複数のパターンを自動指数付けのリファレンスとして使用できるオプションが用意されています。このオプションを使えば、候補となる位相リストを作成しておき、観測された回折ジオメトリに最も近いものをプログラムに選択させることができます。または、以下のオプションを選択できます:
SingleCrystal は、各構造の逆格子ジオメトリをシミュレーションし (すべての系統的欠落を考慮にいれる)、最適な結果の候補リストを Best-Fit ポップアップメニューに作成します。得られた結果は、メニューからいずれかのアイテムを選択することでグラフィカルに可視化することができます。SingleCrystal に該当する構造が読み込まれ、その回折パターンがシミュレーションされ、観測された回折画像の上に最適な方位で表示されます。
SingleCrystal で強度の最大値を検出できることは既に説明しました。“Auto Grid” 機能を裏で支えているのがこの機能になります。この機能のもう一つの側面は、逆格子ジオメトリを示さないラウエパターンのような回折パターンを自動的に指数付けできる機能です。なお、グリッドベースの自動指数付けと比較して、この機能は速度が大きく落ちる点に気を付けてください。SingleCrystal では、強度の最大値を Peak Markers を使用して表示できます。Peak Markers は、可変半径の円形のオブジェクトで、観測された回折画像の上に重ねて表示されます。これらは各種測定に使用可能で、ピーク位置と強度のテキストファイルをエクスポートしたり、パターンの自動インデックス付けが成功した場合は、インデックス付きの強度セットをエクスポートことができます。
Gatan 社製 “Digital Microscopist” ソフトウェアで作成された “DM3” および “DM4” フォーマットのデータファイルを SingleCrystal に読み込みできるようになりました。警告:DM3 及び DM4 はプロプライエタリなファイルフォーマットで、いずれの仕様も (公式には) 公開されていません。これらのフォーマットについては deconstruct する必要があり、ファイルのインポートが常に信頼できるものであるとは保証できません。もし、問題が発生した場合は、お持ちのファイルをお送りいただければ調査いたします。SingleCrystal は、これらのフォーマットで作成された多構造のファイルを読み込むことができます。ただし、スケーリング情報の全てが正確であるかどうかが明確でないため、画像スケールが正しいものかどうかをユーザーは手動で確認する必要があります (例:Ruler オーバーレイを使って微調整を行う等)。
SingleCrystal 4 の Threshold コントロールグループは、新たに強度のヒストグラム表示機能を備えた Levels グループに置き換わりました。強度の広がりを可視化したり、もし彩色にグラデーションを使用すれば、各種レベルがどのような色で反映されるかを観察することができます。ヒストグラムの下にある強度スライダーには、Minimum と Maximum のサムネイルコントロールが用意されているので、これを使ってカラーの範囲を最適化することができます。もうひとつの新機能は、強度の「ガンマ」を定義できる機能です。極端な強度を強調 (又は減少) することで彩色を最適化することができます。このガンマスライダーは、ヒストグラムの上に用意されています。スライダーをドラッグすると、それに応じてヒストグラムが変更する点に注目してください。
従来のバージョンの SingleCrystal は、International Tables for Crystallography から取得した公開されている X 線散乱因子の単一のテーブルに依存していました。そして、電子散乱因子の計算には、Mott 方程式を使用していました。この方法は、殆どのケースでうまくいきましたが、次のようなケースで問題点がありました: 散乱角が非常に小さい場合、Mott 方程式ではうまくいかない。 公開されたデータは、高角度の散乱に適していない。
観測された回折画像は、SingleCrystal ドキュメント内部で圧縮されたフォーマットで保存されるようになりました。プログラムで採用されているアルゴリズムは独自の LZW スタイルのであるため、非常に高速で効率的、かつ、無損失の画像圧縮が提供されます。この機能の有効性は、とりわけ、複数のパターンを含むファイルで顕著です。従来のフォーマットの数分の1のサイズで保存できるようになっています。例えば、サンプルファイル Fourier Transform の場合、従来は数十メガバイトありましたが、いずれも数百キロバイトのオーダーに縮小されています。
SingleCrystal 5 には、高度なバックグラウンド検出、除去、および、ノイズリダクション機能を備えたカスタマイズ可能な “cleanup” コマンドが用意されています。このコマンドは、旧式のフィルムベースの回折手法のために設計されたもので、広範にわたる背景強度の「バルジ」(膨らみ) の効果を除外して強度の比較を容易に行うことができます。バックグラウンド除去の一部として、SingleCrystal では、観測された画像を等間隔でサンプリングし、反射として識別された領域をスキップしたあと、残りの領域に対して補間が行われます。こうして得られたイメージマップを生のピクセルから差し引くことで、よりクリーンな表示結果を得ることができます。