6.3 複雑なコンストラクションプロジェクトの履歴管理

イラストレーションウィンドウには、複雑なコンストラクションプロジェクトの履歴管理にも理想的な機能が装備されています。図 6.5 に示すように、ひとつのイラストレーションに複数のコンストラクトを配置し、それぞれにラインや説明を付け加えることができます。イラストレーションの一辺の上限は 32,767 ピクセル (約 38 フィート ≒ 11.5 メートル 四方) です。非常に大がかりなプロジェクトでも充分に間に合うサイズです。事実上のサイズ制限がないということは、Gene Construction Kit のイラストレーションウィンドウを使って、非常に複雑なプロジェクトを策定し記録してゆく場合があることを意味します。

図 6.5:ひとつのイラストレーションに描かれた複数のコンストラクト

 

イラストレーションウィンドウのテキストオブジェクトがダブルクリックで編集できるのと同様、ゲル、コンストラクト、塩基配列オブジェクトについても、ダブルクリックの後に編集することができます。これは、イラストレーションウィンドウのいかなるコンストラクトも、イラストレーションウィンドウに配置された後はコンストラクトとして編集できるということです。コンストラクトをダブルクリックすると (ターゲットにする)、Illustration メニューの横に Construct メニューが新たに表示されます (6.1 選択とターゲットの違いを参照)。これにより、イラストレーションウィンドウにコンストラクトがペーストされた後でも、異なる世代 (generations) を表示させたり、塩基配列を取り出したり、ラインの属性を変更することができます。イラストレーションウィンドウ内のコンストラクトからセグメントをコピー (またはカット) し、新規コンストラクトウィンドウにその内容 (イラストレーションウィンドウに配置した時点で、そのセグメントに関連付けられた全てのクロノグラフィを含む) をペーストすることも可能です。

イラストレーションウィンドウ内でコンストラクトを編集できるので、プロジェクトで使用するすべてのコンストラクトを含むイラストレーションの内容を常に最新に保ち、必要に応じてコンストラクトに変更を加えることができます。イラストレーションの一貫性を保つ目的でコンストラクトに変更を加えるだけの場合は、オリジナルのコンストラクトファイルに戻る必要は一切ありません。各コンストラクトとそれぞれに関連するクロノグラフィはイラストレーションから新規コンストラクトウィンドウにコピーされるので、プロジェクトのコンストラクトを管理するグラフィカルな一種の双方向データベースとしてイラストレーションを利用することもできます。アダプター配列のようなオブジェクトをイラストレーションウィンドウに保存しておき、他のプロジェクトで必要があれば後から取り出してそれを利用するといった使い方も可能です。