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世界で最も優れた電気自動車を創り出す

スタンフォード大学が、オーストラリア内陸部・アウトバックでのワールドソーラーチャレンジでの勝利のために採用したのは、Tecplot 360 EX。過酷な環境で戦い抜くソーラーカー設計のために、Tecplot 360 EX は大きな役割を担った

地球上のどこを探してもこれだけ広大な場所は見つからないと言われているオーストラリア内陸部・アウトバックに太陽の光が降り注ぎ、開発が期待される太陽エネルギーが乾いた陸に降り注ぎます。世界で最も優れたソーラーカーを発掘するための、設計コンペティション大会・ワールドソーラーチャレンジが開催されるのに、これだけふさわしいステージはあるでしょうか。隔年で開催されるこの大会には、世界各国の主要大学から、優秀な学生や企業が集まり、このオーストラリア内陸地で優勝をかけて、自分たちが設計開発したソーラーカーで競い合います。この5日間の熾烈な大陸横断レースは、ノーザンテリトリーの街・ダーウィンからスタートし、南オーストラリアの街・アデレードへと続き、その走行距離は 3000 キロを超えるのです。

「設計においては、非常に厳しい規定があります」とスタンフォード・ソーラーカープロジェクトのチームリーダー、ギレルモ・ゴメス氏は話しています。「例えば、太陽電池パネルの表面積は 6m2 までと制限されています。また、サスペンション、ブレーキ、ドライバー席の確保など、全ての機能を備えた車両であることも条件です。ソーラーカーの設計で優位性を引きだすための残された2つの方法は、効率的な電力管理戦略と、空気力学を考慮したデザインに独創性を持たせる、ということです。」

スタンフォード・ソーラーカー・プロジェクトが2013年大会において世界第4位に輝いた時のソーラーカー。車体はカーボンファイバー製で、6m2 のソーラーパネルとバッテリーで走行した。

 

2013年大会で4位に輝いたスタンフォード・ソーラーカー・プロジェクトは、メンバー全員がスタンフォード大学の学生による非営利団体です。1989年以来、9世代の受賞歴のあるソーラーカーを設計しており、現在は 2015年大会のエントリーに向けて設計を進めています。過去の大会で優勝したチームの全行程の平均速度は時速 79.67 ~ 90.7 キロ。細部まで調整されたソーラーカーでは、空気力学上、この位のスピードが安全の範囲と言えるでしょう。さらにソーラーカーの効率性を引き出すには、車体設計上、さらに強力で洗練されたツールが必要になります。

 

CFD 解析が大きな影響を与える設計の変更を支援

(Tecplot 360 EX イメージ) 車両のメインエアフォイルの前方と右側のフェアリングにかかる圧力と気流を可視化

「バッテリーのみを改良することもできましたが、空気力学によって、最大限に改善できることに気付きました」とゴメス氏は話しています。「私達はパフォーマンスを最適化するために、車体改良のアイディアはありましたが、とにかく試験をしなくてはならなかったのです。そのような状況がきっかけとなり、設計プロセスにより先進的な計算流体力学を取り入れるためにスタンフォードの SU2 チームと作業を始めました。」

設計の挑戦の1つは、オーストラリア内陸地・アウトバックで延々と吹き続く横風の影響を最小限に抑えるための車体の最適化でした。スタンフォードチームは、車体が前進した時の気流だけではなく、車体とタイヤの側面へのあらゆる角度からの風を想定して、車体を最適化する必要がありました。

秒速 25m の前面への抗力と様々な角度からの横風の影響に対して最適化する為、スタンフォード大学航空宇宙工学専攻の航空デザイン研究所で開発されたオープンソースの CFD ソルバーコード SU2 を使って CFD 解析を行いました。また Pointwise で車体をメッシュ化し、結果は、SZL テクノロジーと共に Tecplot 360 EX で可視化しました。

「1000万~1500万セルのデータを設定、動作、エクスポートし、可視化する上で、これらの3つのツールが有機的に稼働しました。」とゴメス氏。「結果を可視化することは、強い印象を与え、またアピール性も高かったのです。さらに、最も重要なことは、CFD 解析が、より効率的に競うことができるように、車体設計に重要な変化を加えてくれたということです。」

まだ多くの設計作業やテストがあり、2015年夏大会まで最終の設計は公開されませんが、ゴメス氏は、アウトバックでの激しい戦いのために空気力学的視点から最適化されたソーラーカーは、大変美しい姿で私達の前に登場することを約束しています。

メインのエアフォイル付近の圧力と気流の詳細
車体本体のエアフォイルとフェアリングの後方付近の圧力と気流

 

未来のアプリケーション

スタンフォード・ソーラーカー・プロジェクトの主な目標は、広く一般に太陽エネルギーについての認知を高めることであると共に、学生達に、ハンズオンの技術的、専門的かつビジネス的な経験を提供したいということです。

今日まで開発されてきた技術は、私達の未来のために、さらに優れた電動自動車を開発することを約束するものです。もし歴史が、私達に未来について語るのであれば、現在の技術は、私達には想像もつかないような利用方法へと導かれていく、ということでしょう。