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実現間近の超音速無人航空機

コロラド大学の研究者が、経済的で、高速な、低燃費の超音速 UAV (超音速無人航空機) を開発中

小型で、低燃費で、お手頃価格で、高速。それも超音速。現在の 50 kg 未満のカテゴリーで使われるものより 2 ~ 4 倍効率的なエンジンを使用することで、マッハ 1.4 に迫る速度で飛行する、最速の無人航空機 (UAV) です。コロラド大学の研究チームが開発を進めており、プロトタイプの完成は 1年以内に、その後、この種の機体としては初めて商業的に販売される予定です。

「大型機はずっと前から超音速になっています。しかし 100 ポンド以下の小型の超音速機となると、これまでありませんでした。」と、このプロジェクトを指導するコロラド大学助教授 Ryan Starkey 博士は言います。「ひとつには、小型の超音速機を設計するには大型機を設計するのと同じくらいの努力が必要だからです。実際には、設計要件は全く異なります。つまり、大型機から学んだことをそのまま利用することはできません。ただの縮小ではないのです。」

この小さな超音速 UAV の潜在用途は、たとえば、嵐やハリケーン (亜音速) の中での飛行、軍事任務での遠距離の危険な地域への迅速な到達、航空技術のテスト用の飛行試験機等、多岐にわたります。商業生産になった場合、価格は $50,000 ~ $100,000 となる見込みです。現在、使用されているテスト機は、ほとんどが引退した戦闘機で、それに比べても比較的低価格です。テスト環境ではテスト機を損失する可能性があり、コストも考慮すべき重要な事項です。

 

小さな超音速エンジン、大きな効率

UAV の心臓部は、今日まで開発されてきた中で最小の超音速ジェットエンジンです。目標は、重さが約 22 ポンド、特注のアフターバーナーと革新的な流体推力偏向制御システムを使用する高性能で、潤滑不要のターボジェットエンジンです。UAV フレームもコンパクトに、全長は 7 ~ 8 フィート、幅は約 6 フィートになります。エンジンと UAV はどちらも Starcor (www.starcor.aero) による設計です。同社はコロラド大学から発展し、eSpace によって育てられています。eSpace は The Center for Space Entrepreneurship (www.espacecenter.org) で、Starkey 博士が率いる Busemann Advanced Concepts Lab から政府機関および企業への研究移転のための組織です。

Starkey 博士と学生たちはすでに「既製の」エンジンの2倍の効率を達成しています。次の目標は、50 kg 以下の航空機のクラスでの世界最速記録を打ち立てることです。来年早々にも達成されるかもしれません。

 

アグレッシブな目標には高度なツールが必要

小型、軽量、低燃費のエンジンで、マッハ 1.4 の飛行を実現することはかなりアグレッシブです。それには大量の CFD シミュレーション、最適化、および複雑な分析が必要です。また、設計作業を行う大きな専門チームなしでは、大規模なシステム開発プログラムと同じくらいの複雑さが伴います。このような規模の設計に必要な大量のデータの理解と分析には、リソースの限られた環境では特に、先進的なツールが必要です。

Tecplot Chorus を使用して作成した 2 つの異なるシステムモデル間の値をドラッグして違いを示すサロゲートモデル。(画像著作権: Ryan Starkey, University of Colorado Boulder)

Starkey 博士と彼のグループはいくつかのツールを使用して、超音速飛行用の軽量の複合外板および隔壁補強で作られた機体を設計し、最適化しました。最大荷重条件の予測に ANSYS 有限要素法 (FEM) を、空力の検証に ANSYS Fluent および Zona ZEUS CFD ソルバを、結果の可視化、解析、最適化に Tecplot Chorus を使用しました。

「Tecplot Chorus は、私たちが使用している最新ツールのうちの 1つです」と Starkey 博士は言います。「Tecplot Chorus は多領域の設計空間の調査と解析作業を大いに簡略化してくれました」。

 

産業界を刺激する大学研究

「大学の研究から現実のアプリケーションへ技術を移転することはとても重要です。大きく見ると、これによって社会が進歩し、地域、国、グローバル経済に貢献します。」と、Starkey 博士は続けます。「より実用的なレベルでは、60 名以上の学部の学生と大学院生に、実践的、実際的な経験を提供し、学生が卒業するときには就職に役立ちます。」

このプロジェクトはすでに米国国防総省、国防総省高等研究事業局 (DARPA) および航空宇宙局 (NASA) の注目を集めています。

「この UAV によって、飛行試験を繰り返すことが経済的に可能となり、次世代の高速飛行実験, 1950 年代に多く行われた X-15 のようなロケット推進実験機が具体化するでしょう。」と、Starkey 博士は言います。「私と一緒に、これに取り組んでいる学生はみな興奮しています。というのも、我々がしていることは漸進的変化をもたらすものではなく、歴史的変化なのです。」

飛行条件の変化における GoJett の性能の評価。(画像著作権: Ryan Starkey, University of Colorado Boulder)

 

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