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分子性導体,分子磁性体の圧力変化に関する実験的研究


芝浦工業大学工学部
多重極限電子物性研究室
石井康之 教授

一つのエクスペリメントファイルの中でたくさんのウェーブを扱うことができるので,一連の実験を一つのエクスペリメントファイルで整理できることも便利です。


業務とご研究内容について、お教えください

私たちの研究室では,電気を流したり磁性を示したりする有機物,分子性導体の物性研究をしています。特に,圧力をかけることにより,絶縁体であったものが金属的な電気伝導を示しさらには超伝導を示すような,圧力誘起超伝導に興味をもってそのメカニズムを調べる研究をしています。3万気圧までの圧力を発生させられる圧力容器にサンプルを入れて,0.3ケルビンまで冷やし,16テスラまでの磁場をかけて,電気抵抗測定,磁化測定,インピーダンス測定などさまざまな測定を行って,物性の評価をしています。


図1:実験室の様子。圧力3万気圧,温度0.3ケルビン,磁場16テスラの条件下で電気抵抗やインピーダンス,交流帯磁率を測定している。

図2:0.3ケルビン冷凍機に3万気圧の圧力セルをセットしているところ。



Igor Pro をどのような場面で使用されていますか?

X線による構造解析,電気抵抗測定,磁化測定,インピーダンス測定,µSR測定などほぼすべての実験結果をグラフ化,モデルフィッティングする際にIgor Proを使用しています。特に我々の研究室では圧力下における測定を行っているので,一つの試料に対して圧力を変化させていくつもデータを取ります。実験を行いながら簡単な解析を行って,次は圧力をどの程度増やそうかなどのプランを練るのですが,その際もIgor Proでグラフ化と解析を行っています。解析は色々なパターンを試すことも多いのですが,それらの過程をエクスペリメントファイルの中にnoteとして残したり,グラフに書き込んだりが簡単にできる点も便利だと思っています。共同研究者と議論する際の簡単な資料を作成するところまでIgor Proのレイアウトで行うこともあります。 我々の研究室には留学生や外国の方がいらっしゃることも多いので,Igor Proは英語版を購入させていただいています。


図3:圧力誘起超伝導体の超伝導シグナル。相転移圧力を決めるために,シグモイド関数でフィッティングしたり,微分したりといくつかの方法を試みて,適した方法を探している。


Igor Pro を使い始めたきっかけは?

他の先生方同様,学生時代に粉末X線構造解析で使用し始めたことがきっかけです。その研究室では電気抵抗測定や磁化測定も行っていましたが,それらのグラフ化もIgor Proで行っていました。その後,他のグラフソフトなどを使用したこともありましたが,Igor Proでほとんどのことができるので,最近はIgor Proだけです。

 

Igor Pro の魅力とは?

巨大なデータでも手軽かつ高速に関数フィッティングすることができるところが魅力です。また,一つのエクスペリメントファイルの中でたくさんのウェーブを扱うことができるので,一連の実験を一つのエクスペリメントファイルで整理できることも便利です。さらに,Igor Proは非常に綺麗なグラフが描けるだけでなく,グラフに注釈や簡単な図も描き込むことができるので,プレゼンテーションや投稿論文用の図までIgor Proだけで作成できることも魅力です。

 

図4:圧力が異なる一連の実験データを,一つのエクスペリメントにまとめてグラフ化できるところが魅力。

 

製品機能への要望

XYZ三次元の散布図を描きたい時に,二次元の時と要領が違うので戸惑います。二次元と同じように三次元の散布図を描くことができるようになると非常に助かります。

 

 

 

本事例作成に関し、石井先生のご協力に感謝いたします。

(インタビュー:2024年6月)

※所属・役職は取材当時のものです。

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