ヒューリンクステクニカルサポート
更新日:
15/10/08
7モジュール
Modules
モジュールはデータセットを指すこともあれば、データセットに適用する処理を指すこともあります。個々のモジュールは、最終的な出力結果の構成要素となります。各モジュールは、データをそれぞれのインプット接続パッドから取り入れたあと、そのデータに変更を加え、アウトプット接続パッドを通じてその内容を渡します。モジュールのタイプには、計算 (computational)、データソース (data source)、一般 (general)、グラフィック出力 (graphics output) の4つがあります。各モジュールに関する詳細な情報は、オンラインヘルプに記載されています。以下に各モジュールの基本的な情報を列記します。
1. Computational Modules (計算モジュール)
計算 (Computational) モジュールは、取り込んだデータに対して、データ型を変更したり、フィルタをかけたり、勾配 (gradient) を生成したり、グリッドを作成したり、数学的変換を実行したり、マージしたり、再サンプリングしたり、スライスしたり、サブセットを作成したり、座標を変換するといった変更を加えます。
- ChangeType
ChangeType モジュールは、格子やポイントセットのデータ型をあるプリミティブ型 (整数、浮動小数点など) から別の型に変更します。型が小さいほど数値精度を低く抑えられるのでメモリが節約されます。インプットデータセットの成分はいずれも変換できます。ChangeType モジュールで変更できるのは、データの各成分の型のみで、座標は変更できません。座標を変更するには、Transform モジュールを使用します。
- DuplicateFilter
DuplicateFilter モジュールは、ポイントセットにあるデータポイントの重複を削除します。重複データとは、殆ど同じ X, Y, Z 座標を有する2つ以上のデータポイントです。重複ポイントの定義は、DuplicateFilter のプロパティで制御します。点の重複を考慮するに際して、その点を残すか否かの判断については幾つかのオプションを選択することができます。
- ExclusionFilter
ExclusionFilter モジュールは、ポイントセットにあるデータポイントをユーザー定義のブール関数に従って除外します。利用できる関数には、IF, AND, OR, NOT, および、幾つかの比較演算子 (=, <, >, 等) があります。関数と演算子の全てのリストにつきましては、オンラインヘルプの Mathematical Functions ページをご覧ください。
- ExtractPoints
ExtractPoints モジュールは、井戸経路 (well paths) 上のポイントをグリッド作成用の点に変換します。格子をポイントデータセットに変換することもできます。オリジナルデータの入力成分またはログアイテムの数に基づいて出力成分の数を設定できます。
- Filter
Filter モジュールは、均一格子 (uniform lattice) にデジタルフィルターを適用します。この格子は、二次元 (画像) の場合もあれば、三次元 (体積) の場合もあります。いずれのフィルターも、入力格子を読み取り、その格子ノードのデータ値に対して特定のフィルター演算を実行し、出力格子にその結果を渡します。入力および出力される格子のサイズと型は、常に同じになります。Filter モジュールの計算には、極小値、最大値、中央値、平均値、標準偏差といったデータ統計量や、輝度 (brightness) やコントラストといった画像補正が含まれます。
- Gradient
Gradient モジュールは、二次元または三次元格子の単一成分から勾配場 (gradient field) を計算します。最大勾配の方向をあらわす三次元ベクトルもこの勾配の1つです。出力格子には、各格子ノードにおける三次元データが含まれます。勾配の計算には、中心差分アルゴリズム (centered difference algorithm) が使用されます。出力格子の形状は、入力格子の形状と同じになります。
- Gridder
Gridder モジュールは、均一格子上に散布ポイントデータを補間します。出力格子の範囲、解像度、補間法、および、関連するパラメータを設定できます。グリッド計算の実行には長い時間がかかるため処理を開始するには、Property Manager の Begin
Gridding ボタンをクリックする必要があります。
- Math
Math モジュールは、単一または複数の入力格子に数値式を適用することによって新規の出力格子を作成します。出力格子は、入力格子ノードに数値式を適用することによって一度に一つのノードが計算されます。
- Merge
Merge モジュールは、2つ以上の入力格子を単一の均一出力格子に結合します。出力格子の範囲と解像度を指定することができます。
- Resample
Resample モジュールを使えば、格子の解像度を変更することができます。この計算は、入力格子のデータ値を補間することによって出力格子の各ノードにおけるデータ値を新たに算出することで実行されます。Resample モジュールでは、外挿 (extrapolation) は実行されません。
- Slice
Slice モジュールは、三次元の入力格子を横断する二次元のスライスを作成します。この平面の向きは局所軸平面のいずれかにプリセットするか、任意の向きに設定することができます。
- Subset
Subset モジュールは、分析を深めるために特定の関心領域を抽出します。指定できるのは、幾何学的範囲、サンプリング頻度、および、サブセットにするデータ成分 (component) です。
- Transform
Transform モジュールは、標準的な 4x4 変換行列を使って入力ポイントセットや格子の X, Y, Z 座標を変換します。変換の順序は、スケーリング (scaling)、回転 (rotation)、および、並進 (translation) となります。回転とスケーリングは、そのオブジェクトの原点 (Origin) に関して実行されます。このときの原点は、オブジェクトの左下隅、右上隅、中心、または、任意の位置に設定できます。
2. Data Source Modules (データソースモジュール)
データソースモジュールは、生データのソースとしての役割を果たします。インポートするデータは、ファイルの場合もあれば、数学関数から生成される場合もあります。Voxler では、複数のファイルタイプがサポートされます。サポートされるファイルフォーマットに関する詳細なリストにつきましては、オンラインヘルプ (Help | Contents) の File Format Chart をご覧ください。あるモジュールから別のモジュールにデータが受け渡されることで、グリッド作成、スライス、グラフィックの表示といったタスクが実行されます。
インポートされる主要なデータタイプは、ポイントセット (point set)、格子 (lattices)、ジオメトリー (geometry)、および、井戸データ (well data) の4つです。
- Point Sets
ポイントセットには、単一または複数の三次元ポイントの位置情報が含まれます。それぞれの位置には、X, Y, Z 座標と任意のデータコンポーネントがあります。XYZ で三次元の位置をあらわし、C でその位置における単一または複数のデータ成分の値をあらわすことから “XYZC データ” と呼ばれることもあります。File | Import コマンドを使えば、任意の ASCII データファイル、Excel ファイル、および、その他多数のデータベースファイルをインポートし、ポイントセットを作成することができます。通常のデータは、それぞれの個別の変数をあらわす列ごとにポイントセットが含まれています。
- Lattices
格子 (lattice) は、1次元、2次元、または、3次元のデータ配列で構成されます。配列は、等間隔のポイントからなる構造化された行列です。1次元の格子は、直線のデータとなります。二次元格子の例としては、ビットマップや Surfer のグリッドファイルがあげられます。3次元格子では、三次元の体積が定義されます。格子の各ノード (またはポイント) には、単一または複数のコンポーネントまたはデータ値を含めることができます。格子は、ノードの形状によって均一 (uniform)、直線 (rectilinear)、曲線 (curvilinear) に更に分類されます。格子の形状およびコンポーネントに関する詳しい情報につきましては、オンラインヘルプをご覧ください。File | Import コマンドを使って Voxler にインポートできる格子タイプには、Surfer グリッドファイル、DEM ファイル、画像、P3D ファイル、LAT ファイル、および、その他多数のフォーマットが用意されています。
- Geometry
ジオメトリーは、三角形、テクスチャーマップ、線分、および、その他のオブジェクトで構成されます。ジオメトリーは、パイプラインの一番最後で集約され、Viewer ウィンドウに表示されます。ジオメトリーは通常、整数または単精度浮動小数点を使用して内部的に表現されます。File | Import コマンドを使用して Voxler にインポートできるジオメトリーデータのタイプには、DXF, SHP, E00, BLN, など各種フォーマットがあります。
- WellData
WellData モジュールは、プロジェクトにインポートされる井戸データのコンテナです。いずれの井戸も File | Import コマンドを使用して WellData モジュールにインポートします。WellData モジュールに含めることができる井戸数は任意で、それぞれの井戸には、その井戸に関する特有の情報が含まれます。それぞれの井戸には、X, Y, Z, MD (Measured Depth), Azimuth, Inclination、および、任意数の Log が含まれます。ログとは、ボーリング坑の位置に関連するデータ変数で、通常モデルに組み込まれる変数です。井戸データは、ASCII テキストファイル、Excel ファイル、データベースファイル、および、LAS ファイルからインポートすることができます。
- FunctionLattice
FunctionLattice モジュールは、ユーザー定義関数から新たに均一格子を作成します。指定できるのは、出力格子の範囲、解像度、成分 (component) 数、および、各成分を定義する数式です。
- TestLattice
TestLattice モジュールは、各種モジュールを使ってテストや実験を行うための各種格子を作成します。指定できるのは、出力格子の範囲、解像度、および、データ型です。
3. General Modules (一般モジュール)
General モジュールは、モジュール情報の表示と、Viewer ウィンドウにおけるカスタム照明機能を提供します。
- Info
Info モジュールは、データ範囲、コンポーネント数、および、コンポーネントのタイプといった、接続したモジュールに関する情報を表示します。
- Light
Light モジュールは、指向性ライト、点ライト、スポットライトのいずれかを新たに作成し、シーンに追加します。ライトが複数あればそれらの明るさは積み重ねられます。ライトを追加するたびに、シーンはそれだけ明るくなります。シーンに追加できるライトの数はおよそ8つです。ライトモジュールのみでシーンを表示するには、View | Headlight コマンドのチェックを外して、グローバルライトを無効にします。
- Viewer Window
Viewer Window モジュールには、シーン全体に影響を及ぼす背景色などの各種プロパティが含まれています。Viewer Window モジュールは、自動的に作成されます。Viewer Window モジュールは、Network Manager に表示されます。Viewer Window モジュールは常に存在し、削除することはできないので Module Manager には表示されません。Viewer Window モジュールで制御できるオプションは現在の Viewer ウィンドウに対してのみです。Viewer ウィンドウのデフォルトの設定内容を変更するには、 Tools | Options コマンドをクリックして、Colors タブを選択します。New viewer window background で変更する Viewer ウィンドウの色を指定します。
4. Graphics Output (グラフィック出力)
Graphics output モジュールは、Viewer ウィンドウにグラフィックを作成します。一般に、これらのモジュールにはデータのインプットが必要となります。
- Annotation
Annotation モジュールは、シーンに沿って常に正面に表示されるテキスト文字列を作成します。デフォルトでは、現在の日付と時刻がテキスト文字列として使用されます。Property Manager を使って独自のテキストを入力できます。シーンにアンカーテキストを配置するには Text モジュールを使用します。
- Axes
Axes モジュールは、軸のセットを作成します。軸の接続先は、入力するポイントセットまたは格子です。軸ラベルはいずれも平面ですが、軸平面の角度は Property Manager でそれぞれ変更することができます。任意の2軸の間にグリッドを表示させることも可能です。デフォルトでは、X 軸は赤、Y 軸はグリーン、Z 軸は青に設定されています。現在表示されている軸のカラーは、Property Manager で変更することができます。Tools | Options ダイアログを使えばデフォルトの条件を変更することも可能です。
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BoundingBox
BoundingBox モジュールは、インプットモジュールの領域の範囲にバウンディングボックス (境界線) を描画します。バウンディングボックス2つの隅には、最小値と最大値をあらわすラベルを表示させることも可能です。ラベルは、最小値と最大値の両隅にセンタリングして画面に向けて表示されます。
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ClipPlane
ClipPlane モジュールは、入力されたジオメトリーをユーザー指定のクリッピング平面に従って切り取ります。全てのジオメトリーのうちクリッピング平面の片側にあるものが描画されます。平面の反対側にあるジオメトリーは、除外 (クリップ) されます。クリップされる側とクリップする位置は、Property Manager を使って変更することができます。ひとつのクリッピング平面には、複数のモジュールを接続できます。
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Contours
Contours モジュールは、2次元データセットの等高線や、三次元データセットのスライスを作成します。等高線は、与えられた水準 (閾値) より小さいデータと大きいデータの間の境界をあらわします。3次元データセットの場合、Contours モジュールによって格子を断ち切る平面スライスとその二次元スライスの等高線が作成されます。等高線は Colormap で指定された配色を使って、マッピングされるデータ値に応じて色分けされます。
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FaceRender
FaceRender モジュールは、入力された格子を補間せずに立方体として表示します。FaceRender の立方体は、X, Y, Z 方向それぞれの1単位をあらわします。コンポーネントの値は、FaceRender の配色を使ってあらわされます。コンポーネントの値と立方体のそれぞれのカラーを決定するために、Voxler は各立方体の8つの頂点における値を合計し、その値を8で割ることによってコンポーネントの平均値を計算します。頂点のいずれかに Null 値 (空白) が含まれている場合、その立方体は表示されません。また、立方体の平均値のカラーマップの値が一部または全て透明である場合はその立方体は表示されません。
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HeightField
HeightField モジュールは、格子スライスを3次元で表示します。このスライスは、ユーザー定義のデータコンポーネントと縮尺倍率によって垂直方向に縮尺されます。表面は、データ値を Colormap にマッピングすることで色分けされます。
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Isosurface
Isosurface モジュールは、入力された格子全体の等値面を作成します。等値面は、3次元ボリュームの定数値で構成される表面です。等値面の値は、Property Manager の Isovalue プロパティで設定します。等値面は、選択した Isovalue を基準として、それより小さい領域と、それより大きい領域を区別します。等値面の全てのポイントはどれも同じ値 (isovalue) になります。
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ObliqueImage
ObliqueImage モジュールは、格子を輪切りにした2次元平面にカラーイメージを表示します。医療用語で、MPR (multi-planar reconstruction: 多断面再構成) と呼ばれるものです。このスライスは、スカラーデータを Colormap にマッピングしたカラーを使うか、または、カラーデータを含む格子の RGBA カラーを直接使って表示されます。
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OrthoImage
OrthoImage モジュールは、ある格子の3つの軸平面 (XY, XZ, または YZ) のいずれかと平行な直交スライスを表示します。直交とは、各要素が垂直または直角の関係にあることを示します。スライスは、スカラーデータを Colormap にマッピングするか、または、その格子が既にカラーデータを含んでいればその RGBA カラーを直接つかってあらわされます。
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ScatterPlot
ScatterPlot モジュールは、ポイントセットの各ポイント、または、格子ではれば各ノードにおけるシンボルの集合を表示します。表示されるシンボル自体は、常に画面の向きに表示されるので、カメラの向きを変えても縮尺されたり、傾くことはありません。ただし、シンボルの位置については3次元性が保持されます。ScatterPlot のポイントにはラベルを追加できます。
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StreamLines
StreamLines モジュールは、速度場全体のストリームライン (流線) を計算します。ストリームラインとは、ある空間における流れの方向と大きさを複数のラインであらわしたものです。この手法は、質量ゼロの粒子を指定したシードポイントで注入し、この場で移動する経路を追跡するものです。粒子が停止するのは、新規速度がゼロのとき、最大ストリーム長を超えたとき、または、ストリームが場の境界と交わるときです。
- Text
Text モジュールは、カメラ平面に向けて表示される2次元テキスト文字列を作成します。このテキストには、シーンに応じて変形する3次元のアンカーポイントがあります。テキストは、カメラからの距離が変わっても、回転、縮尺によっても縮尺が変わることはありません。ただし、テキストの前面にグラフィックがあるとそのまま覆い隠されます。テキストは、次に示す暫定的な変換基準に従って配置されます:その X 原点はテキスト文字列の左端の最初のピクセル、Y 原点は全ての大文字の基盤である仮想的なラインとなるベースラインをもつテキスト行の先頭行のベースライン。シーンにアンカーを付けないテキストを作成するには、Annotation モジュールを使います。
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VectorPlot
VectorPlot モジュールは、三次元の格子またはポイントセットにベクトルを表示します。VectorPlot モジュールを StreamLines のような他のモジュールを組み合わせると役立つ場合が多くあります。
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VolRender
可視化手法の殆どは、体積データを表面に変換しますが、このモジュールは、ダイレクト・ボリュームレンダリングと呼ばれる別の手法を使って、ボクセルを直接レンダリングします。ボクセル (voxel) とは、ボリュームピクセル (volume pixel) を短縮した言葉で、三次元画像におけるボックス型をした識別可能な最小単位です。
ボリュームレンダリングは、体積内の各点を通過する光の透過と吸収をシミュレートするデータの三次元表示です。体積内部に光線が投じられますが、そこでは、体積内部の粒子が光を発すると同時に光を吸収します。画面上の個々のピクセルの色は、光と交わる各粒子の寄与を合成することよって算出されます。これにより、不透明度 (Opacity) を適切に調整することで不均一な内部オブジェクトの可視化が可能になります。
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WellRender
WellRender モジュールは、井戸データを元に井戸のトレースを表示します。それぞれの井戸はチューブ状に表示されます。太さとカラーは、井戸の深さに応じて変わります。また、方向データと間隔データを井戸に表示させることもできます。