31.9 その他のオプション

回帰処理の制御には、幾つかの特別なオプションが用意されています。これらのオプションを使用することで、回帰処理のスピードが向上したり改善される場合もありますが、これらの使用はオプションです。3つのオプションは以下のとおりです:

ある反復計算と次の反復計算の間において残差のノルム(長さ)の差の絶対値が許容値より小さければ、この条件を満たすので、その回帰分析は完了したと判断されます。オプションは Options セクションの編集ボックスに入力します。新規方程式にはデフォルトの値が表示されます。殆どのケースでは、デフォルトの設定で機能しますが、その内容を変更して回帰分析で生じる問題に対処したり、パラメータ推定の評価などのその他のタスクを実行することもできます。

  1. 反復回数
  2. 反復数 0 を使ってパラメータ値を評価する
  3. ステップサイズ
  4. 許容値

 

1. 反復回数

反復回数の設定、すなわち、回帰処理を繰り返す最大数の設定は、回帰処理を特定の反復数以上進めたくない場合、または、回帰処理をデフォルトの反復回数より増やしたい場合に役立ちます。

デフォルトの反復回数の値は 200 です。この反復回数を変更するには、Iterations 編集ボックスに反復数の最大値を入力するだけです。

 

2. 反復数 0 を使ってパラメータ値を評価する

反復数は、非負 (non-negative) である必要があります。しかし、Iterations の設定を 0 にすると、反復計算は行われませんが、その代わりに、Initial Parameters セクションに入力したパラメータの値を使用して独立変数の全ての値について関数が評価されます。

パラメータの自動推定関数の有効性の評価を試みる場合、Iterations を 0 に設定することで、どのパラメータの初期値が作成したアルゴリズムで計算されたかを確認することができます。

ゼロ反復の使用は、パラメータ値の変更による効果を評価するのに大変に役立ちます。例えば、回帰分析で使用するパラメータを一旦決定したら、これらの値をプラスマイナス1パーセントで入力し、ゼロ反復で回帰分析を実行したあと、その関数結果をグラフ化すると、パラメータの変更による効果を確認することができます。

 

3. ステップサイズ

Marquardt-Levenberg アルゴリズムで使用するステップサイズの初期値は、Step Size オプションで制御します。Step Size オプションの値は、パラメータの変化に間接的にしか関連しませんので、ステップサイズ値の相対的変化のみが重要になります。

デフォルトのステップサイズの値は 1 です。ステップサイズの値を変更するには、その編集ボックスに別の値を入力します。ステップサイズの数値は、パラメータ値の変更時に許容される最大ステップサイズと同じです。ステップサイズを非常に小さな数字に変更すると、推測する最小値をカーブフィット機能で探索する際に初期ステップを大きく取らないようにすることができます。

このアルゴリズムについて詳しい知識をお持ちでしたら、ステップサイズは、Marquardt パラメータの逆数になります。

 

4. 許容値

Tolerance オプションは、回帰処理を終了するのに必要な条件を制御します。ある反復計算と次の反復計算の間において残差のノルム(長さ)の差の絶対値が許容値より小さければ、その回帰分析は完了したと判断されます。

カーブフィット機能では次の2つの停止基準が使用されます:

この許容値の条件が満足されると、通常は最小値が見つかることになります。

許容値のデフォルトの値は、1.0e-10 です。許容値を変更するには、Tolerance 編集ボックスに必要な値を直接入力します。許容値の数字は、反復の終了条件を必ず満たすような値を設定します。

許容値を下げることで、より正確なパラメータ値を取得できます。最小値付近の平方和の応答曲面に鋭い変化があるとすれば、許容値をデフォルトの値よりも小さくすることで、パラメータ値の効果を殆ど無くすことができます。

ただし、最小値の周辺の応答曲面の変化が浅いものである場合は (単一または複数のパラメータの変動が大きいことを示す)、許容値を小さくすることによってパラメータの値に大きな変化をもたらす場合があります。また、このことによって回帰処理に多大の時間が掛かる場合もあります。