31.7 初期パラメータ

Function ダイアログボックスの Initial parameters セクションのコードは、回帰方程式で変化させる係数と定数を指定するとともに、パラメータの初期値を設定します。パラメータを入力するには、Initial parameters セクションを選択して、パラメータの定義内容を以下の書式を使って入力します:

全てのパラメータは、Equation モデルにあらわされている必要があります。変数や定数として定義されていない全ての方程式の未知数は Initial Parameters で定義する必要があります。

  1. パラメータの初期値
  2. パラメータの自動推定
  3. 初期パラメータの自動判定
  4. パラメータの代替値

 

1. パラメータの初期値

初期値については、その推定が最良のもの "best guess" であるほど回帰処理が早くなります。使用する方程式が比較的単純なものであれば (パラメータ数が2または3程度)、パラメータの初期値はそれほど重要ではありませんが、それより複雑なものであれば、パラメータの初期値の良し悪しが、解の収束を成功させるのに重要な条件となります。

 

2. パラメータの自動推定

全ての組み込み方程式では、生データを分析することで関数のパラメータの近似値を求める自動パラメータ推定 (automatic parameter estimation) と呼ばれる技術が利用されます。希望するパラメータの値を Automatic 設定としてあらわすには、パラメータ設定の後に、2つのシングルクオートに続けて文字列 Auto を入力します。例えば、パラメータ行を以下のように入力すると、

Equation Options ダイアログボックスで a に関する Automatic パラメータ値が max(y) になるよう指定することができます。

 

3. 初期パラメータの自動判定

標準方程式ライブラリ (standard.jfl) にある全ての組み込み方程式については、SigmaPlot によって自動的に初期パラメータの推定値が求められます。パラメータの自動推定を使用する場合、ユーザーはパラメータに静的値を入力する必要はありません。パラメータ自らデータを解析することでその値が決定されます。

Tip: ここで重要なのは、このパラメータの初期値がデータセットの変化に対してロバストである、すなわち、殆どのケースでカーブフィット機能が正しい解に収束するという点のみです。推定されるパラメータは、最良の推定値 "best guess" であるに過ぎません (真の値の同じ範囲内のどこかではありますが、それらのすぐ隣ではありません)。パラメータを判定する目的のためにのみ用意された新しいトランスフォーム関数を使用すれば、ユーザー独自の手法を作成することができます。

 

一般的な手順は、必要な場合はデータを平滑化 (smooth) した後に、それぞれの方程式に特有な関数を使用して、パラメータの初期推定値を求めます。

一例として、ロジスティック関数を考えてみることにしましょう。この関数は、低い値から高い値、または、その反対に移動するに従って徐々に変化する引き伸ばされた S 字型をしています。この関数の3つのパラメータは、高い値 (a)、この関数がとり得る縦の範囲の 50% の位置における x 値 (x0) 、および、変位の幅 (b) を決定します。トランスフォーム言語の表現と同様、この関数は、Equation ウィンドウに f=a/(1+exp(-(x-x0)/b)) fit f to y と入力します。x0 と b の推定においては、データのノイズが大きな誤差となる可能性があります。従って、平滑化 (smoothing) アルゴリズムを使用してデータのノイズを削減したあと、平滑化されたデータに対して3つの関数を使用してパラメータ推定値を求めます。

パラメータ a の推定には、y 値を使用して最大値を求めます。 x0 は、振幅の 50% の位置における x 値を使用して推定し、 b は、x 値の 75% および 25% の位置の幅の差を使用して推定します。Initial Parameters ウィンドウには以下のように入力します:

fwhmxwtr はいずれも、関数のパラメータ推定の支援を目的として特別に設計されたトランスフォーム関数です。

各パラメータの後にある ''Auto コメントは、そのパラメータの値が Equation Options ダイアログボックスで選択できる Automatic 設定であることを識別するために使用します。なお、これらの値は、必ずしも最終値を返すわけではありませんが、カーブフィット機能が false (偽) を返したり不正な結果とならないためには充分な近似値となります。

 

4. パラメータの代替値

パラメータの代替値を挿入し、Equation Options ダイアログボックスの Initial Parameter Values ドロップダウンリストに表示させることができます。代替値を追加するには、デフォルトの値の後に1行挿入し、シングルクオートを2つ入力したあと、代替となるパラメータ設定を入力します。例えば、次の2行 d=-F(0)[2] ''Auto, ''d=0.01 を追加すると、Equation Options ダイアログボックスで d を選択すると Initial Parameter Values ドロップダウンリストに代替値 0.01 が 表示されます。