24.4 ログランク生存分析

ログランク生存分析 (LogRank Surval Analysis) では、多群の生存データを分析し、複数の生存曲線をあらわすレポートとグラフが作成されます。レポートには、それぞれの群ごとに算出されたメディアン生存時間 (median survival time) 等の統計量が表示されます。

ログランク検定は、複数の生存曲線の間に有意差があるか否かを判定するために実行することもできます。その生存曲線は同一母集団に由来するという帰無仮説をカイ二乗統計量を使用して棄却するノンパラメトリック検定です。ログランク統計量は、良く利用されるカイ二乗統計量とほぼ同じで、各群ごとの実際の症例数とその推定値の差を二乗して (打ち切り値は除外)、実際の症例数で割り、群全体を合計したものになります。

生存曲線間の差が、観測によって生じる偶然の差と同じか同程度である確率をあらわす P 値が出力されます。

ログランク検定では、任意の時間におけるデータの精度に差はないことが仮定されます。これは、初期のデータほどその精度が高いことから初期のデータに重みをつける Gehan-Breslow 検定とは異なる点です。

  1. ログランク分析を実行する
  2. ログランク生存分析のデータを配置する
  3. ログランク生存オプションを設定する
    1. Options for Survival LogRank: Graph Options
    2. Options for Survival Log Rank: Results
    3. Options for Survival LogRank: Post Hoc Tests
  4. ログランク生存分析を実行する
    1. 多重比較オプション
      1. Holm-Sidak 検定
      2. Bonferroni 検定
  5. ログランク生存結果を解釈する
    1. レポートのヘッダ情報
    2. 生存累積確率テーブル
    3. データサマリーテーブル
    4. 統計サマリーテーブル
  6. ログランク生存グラフ

 

 

1. ログランク分析を実行する

  1. ワークシートに Indexed または Raw データフォーマットで適切なデータを入力または配置します。詳しくは、ログランク生存分析のデータを配置するをご覧ください。

  2. 必要があれば、LogRank オプションを設定します。

  3. Analysis タブをクリックします。

  4. SigmaStat グループにある Tests ドロップダウンリストから以下を選択します:

    SurvivalKaplan-MeierLogRank

  5. ログランク生存分析グラフを表示します。詳しくは、ログランク生存グラフをご覧ください。

 

2. ログランク生存分析のデータを配置する

生データフォーマットでは、時間 (Time) とステータス (Status) が対になった複数の列 (2列以上) が必要になります。インデックス付きデータフォーマットでは、群 (Group)、時間 (Time)、ステータス (Status) の3列が必要になります。時間 (Time) 列をステータス (Status) 列より前に配置し、全ての列が隣接するようにワークシートを整えておけば、時間とステータス対の列データを事前に選択することで、それらを列選択パネルに自動的に割り当てることができます。インデックス付きデータフォーマットの場合は、群 (Group)、時間 (Time) 、および、ステータス (Status) 変数の列を隣接して配置すれば、その順番で自動的に割り当てることができます。

 

3. ログランク生存オプションを設定する

生存ログランク検定オプションを使用するのは:

 

生存曲線オプションを変更するには

  1. 検定オプションの変更後に生存曲線を分析するに際して、曲線の作成前にデータを選択しておきたい場合は、対象とするデータ列をポインターでドラッグしておきます。

  2. Analysis タブの SigmaStat グループにある Select Test ドロップダウンリストから Survival LogRank を選択します。

  3. SigmaStat グループにある Options をクリックします。Survival LogRank Options ダイアログボックスに以下の3つのタブが表示されます。

    1. Graph Options:Graph Options タブをクリックすると、グラフのシンボル、ライン、スケールに関するオプションが表示されます。このタブでは統計グラフ要素を追加することができます。詳しくは、Options for Survival LogRank: Graph Options をご覧ください。

    2. Results:Results タブをクリックすると、生存時間の単位の指定と、レポートとワークシートの内容を変更することができます。詳しくは、Options for Survival Log Rank: Results をご覧ください。

    3. Post Hoc Tests:Post Hoc Tests タブをクリックすると、多重比較オプションを変更できます。詳しくは、Options for Survival LogRank: Post Hoc Tests をご覧ください。

      SigmaPlot を次回以降起動するときは、ここで選択したオプションの内容が保持されます。

  4. 検定を続行するには、Run Test をクリックします。

  5. 現在の設定内容を適用して、オプションダイアログを閉じるには、OK をクリックします。

 

3.1 Options for Survival LogRank: Graph Options

Note:グラフ表示に選択したオプションがどちらであっても、レポートの結果は常に小数 (fractional) であらわされます。

 

3.2 Options for Survival Log Rank: Results

Report.

Tip:ログランク検定の臨界 P 値は、Options ダイアログボックスで変更することができます。詳しくは、レポートグラフをご覧ください。この臨界 P 値の設定は、グローバル設定ですので、SigmaPlot の全ての検定に適用されます。

Time Units.

Worksheet.

 

3.3 Options for Survival LogRank: Post Hoc Tests

Tip:レポートに比較結果が表示されるのは、多重比較が実行された場合のみです。これを常に表示させたい場合は、Only when Survival P Value is Significant オプションを解除してください。

 

4. ログランク生存分析を実行する

ログランク生存分析を実行するには、ワークシートからデータを選択してステータス変数を指定する必要があります。

ログランク生存分析を実行するには:

  1. 検定を実行する前にお持ちのデータを選択しておきたい場合は、対象となるデータをマウスポインタでドラッグしておきます。選択する列は必ず正しい順番に隣接している必要があります (生データの場合なら Time, Status、インデックス付きデータの場合なら Group, Time, Status の順です)。詳しくは、ログランク生存分析データを配置するをご覧ください。

  2. Analysis タブを選択します。

  3. SigmaStat グループにある Tests ドロップダウンリストから次を選択します:

    SurvivalKaplan-MeierLogRank

    検定ウィザードの Survival LogRant – Data Format パネルが表示されます。

  4. Data Format ドロップダウンリストから以下のいずれかを選択します:

    1. Time, Status 列のデータ対が群ごとに複数ある場合は、Raw データフォーマットを選択します。
    2. 複数の群が1列に指定されている場合は、Indexed データフォーマットを選択します。
      Data Format パネルで Raw データフォーマットを選択した例

  5. Next をクリックすると、Select Data パネルが表示され、使用するデータ列を選択するよう指示されます。この検定を選択する前に列を選択していれば、Selected Columns リストに選択した列が表示されます。
    Survival LogRank の Select Data パネルで Raw データフォーマットを選択して、複数の Time/Status 列の対を選択するよう指示される例。

  6. Selected Columns リストに別のワークシート列を割り当てたい場合には、ワークシートで直接その列を選択するか、Data for Data ドロップダウンリストからその列を選択します。

    Selected Columns リストの一行目 (Time 1) に割り当てられるのは最初に選択した列で、次に選択した列がリストの次の行 (Status 1) に割り当てられます。各行には、選択した列のタイトルが表示されます。分析したい全ての群について Time, Status 列の選択を続けます。

  7. 選択した内容を変更するには、リストの割り当てを選択したあと、ワークシートから列を選択しなおします。Selected Columns リストの内容をダブルクリックすることによって、列の割り当てを消去することもできます。

  8. Next をクリックして、ステータス変数を選択します。Status labels に表示されるのは、Selected columns で選択した列のステータス変数です。これらを選択して、右向き矢印をクリックすることで、Event ウィンドウにイベント変数を配置し、Censored ウィンドウに打ち切り変数を配置します。
    検定ウィザードの Survival LogRank — Select Status Labels パネルで
    Status 変数を選択するよう指示する例

    Event labelCensored label には複数の変数を指定できます。先に進むには、Event label を必ず1つ選択する必要がありますが、打ち切り変数を選択する必要はありませんので、打ち切り値のないデータセットを使うこともできます。全ての変数を選択する必要はありません。空白のステータス変数と結びついたデータは、いずれも欠損値と見なされます。

  9. 後向き矢印をクリックすると、Event および Censored ウィンドウからラベルが除外され、これにより、選択した列ウィンドウの Status labels に戻されます。

    一度選択した Event および Censored ラベルの内容は、次回使用する際も SigmaPlot に記憶されます。次のデータセットのステータスラベルが全く同じの場合、または、既存のデータセットの分析をしなおす場合、保存された選択内容が Event および Censored ウィンドウに表示されます。

  10. Finish をクリックすると、生存グラフとレポートが作成されます。得られる結果は選択した検定オプションの内容によって変わります。

    データフォーマットに Indexed を選択している場合、検定ウィザードの Select Data パネルには、Group, Time, Status の3列をワークシートから選択するよう指示されます。

  11. Next をクリックして、分析に含めたい群を選択します。Group 列の全ての群を分析したい場合は、Select all groups を選択します。そうでない場合は、Data for Group ドロップダウンリストから対象となる群を選択します。全ての群の中から一部を選択できるので、レポートに表示させたいものだけを選択することができます。

  12. Next をクリックして、上述と同じくステータス変数を選択したら、分析をおこない、レポートとグラフを作成します。

 

4.1 多重比較オプション

ログランクでは、生存群の間に差はないという帰無仮説を検定しますが、どの群に差があるのか、すなわち個々の群間の差の大きさは分かりません。実験群間の比較をおこなうことによって、これらの差をそれぞれ分解するのが多重比較プロシージャです。

多重比較を P 値が有意なときだけ実行するよう選択しており、LogRank プロシージャーで出力される P 値が設定した P 値と等しいかそれより小さい場合、あるいは、Options for LogRank ダイアログで多重比較を常に実行するよう選択している場合は、多重比較の結果がレポートに表示されます。

ログランク生存分析で選択できる多重比較検定には以下の2つがあります:

 

4.1.1 Holm-Sidak 検定

VA Lung Cancer Study データを使った Holm-Sidak 多重比較の結果

 

4.1.2 Bonferroni 検定

VA Lung Cancer Study データを使った Bonferroni 多重比較の結果

 

5. ログランク生存結果を解釈する

ログランク生存分析レポートには、使用した元データに関する情報と、各群の累積生存確率と各生存曲線の要約統計量、および、ログランク検定の有意性を内容とする各種テーブルが表示されます。多重比較検定の有意差に関する結果や、Post Hoc Tests オプションで選択した内容も表示されます。

ログランク生存分析の結果レポート

 

結果の説明

数値による結果に加えて、拡張された結果の説明が表示されることがあります。この説明テキストは、Options ダイアログボックスで有効または無効にすることができます。表示される小数点以下の桁数についても Options ダイアログボックスで指定できます。

 

5.1 レポートのヘッダ情報

 

5.2 生存累積確率テーブル

 

5.3 データサマリーテーブル

 

5.4 統計サマリーテーブル

 

6. ログランク生存グラフ

生存分析における重要な構成要素の1つに生存曲線の視覚的解釈があります。SigmaPlot で常に生存曲線グラフが作成される理由はここにあります。レポートグラフを事後的に選択する他の統計的検定とは異なります。

ログランク生存曲線

上記グラフでは、デフォルトの検定オプションである、グレースケールカラー、塗りつぶしの円シンボルが使用されています。Squamous と large の細胞ガンには (small と adeno と同様)、有意差は無いようです。このことは、ログランク検定によって確かめられます。

このグラフを制御する方法は、以下の2つがあります: