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中性子モニタ

IGOR Pro によるマルチ・プロセッサ環境の活用

文:ロジャー・パイル

私は、カナダ、アメリカ、グリーンランド、南極に設置されているデラウェア大学の中性子モニタネットワークを経由して送信されるデータの処理と分析を行っています。中性子モニタの役割は、高層大気の高エネルギー相互作用によって地球表面で生ずる原子核の「崩壊」をカウントすることです。これによって惑星間の約 1ギガボルトを超える宇宙線フラックスを間接的に計測することができます。詳細は、NeutroNM をご覧ください。

私の使用しているハードウェア環境は、プロセッサ 2基とメモリ 1GB を搭載した Dell Precision Workstation 530 です。この環境で、時系列のグラフを画像データとして生成するエクスペリメントを同時に3つ実行し、ウェブサイトにデータをアップロードしています。3つのエクスペリメントは、ハードディスク上に保存されたウェーブを通じて通信します。入力するテキストデータファイルは Linux ボックスから読み込み、数分おきにウェブサーバーにプロットを描き出します。入力用(テキスト)ファイルは、cron に登録された FTP コマンドを使い中性子モニタの設置された 12 箇所以上を含む世界の 17 の地点から収集され更新されます。収集されるデータには、磁場などのデータも含まれています。

Wavemetrics 社はこのシステムの(いわば)防弾装置に関して非常に協力的でした。システムがリブートされると、スタートアップ用に作成されたエクスペリメントを使用して、他の3つのエクスペリメントの読み込みを行います。ここでは Execute/P を使います。3つのエクスペリメントが立ち上がると起動用エクスペリメントの役割は終了です。このほかにも、第4の小さなエクスペリメントが常時起動しています。これはシステムの異常事態に備えるものです(ファイルが使えない、プログラミングがうまく動作しない等)。たとえば、3つのエクスペリメントの中から画像ファイルがひとつでも生成された場合、それが予定通りアップデートされたかどうかをこのエクスペリメントが確認します。もしうまくアップデートされていないようであれば、ExecuteScriptText 関数を使用して IGOR から PC のリブートが実行されます。つまり、問題のあるエクスペリメントについてのみ再起動で変更がなされるということです。

このシステムは混み入ったものですが、大変安定しており、両方のプロセッサの使用率は平均して約50~60%です。興味のある人はだれも、宇宙気象を見ることができます。そして、そこから関連する情報にリンクできます。お役に立てることがあれば、お気軽にご連絡ください。

WaveMetrics 社のご協力 (とご苦労) には非常に感謝しています。

デラウェア大学・Bartol 研究所
中性子モニターグループ・上級科学者
ロジャー・パイル