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CrystalMaker 11 には統合された独自の結晶エネルギーモデリングエンジンが装備されています。コアとなるのは、パラメータ化されたポテンシャルの膨大なライブラリです。プログラムでは、既存の結合基準と原子環境に関する詳細な知識に基づくスマートな選択基準が使用されます。エネルギー最小化では、モンテカルロと最小二乗法によるハイブリッドな手法を使用して、表面を含む緩和をリアルタイムに実行できます。
CrystalMaker 11 は、10 年にわたる研究プロジェクトの集大成です。このプロジェクトで目指したのは、パーソナルコンピュータで利用可能なエネルギーモデリングと格子ダイナミクスのためのツールを開発することです。複雑な構造や特性を視覚的に理解するための最高のツール、資源を浪費するスーパーコンピューターではなく、広く科学分野に普及しているコンピューターで利用できるワークステーションレベルのツールを開発するという、我々の目指す長期目標の一環です。
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CrystalMaker 11 では、分散曲線と構造アニメーションを含む結晶の振動モードを計算できます。格子波、すなわち「フォノン」は、逆空間の任意の点について可視化できます。逆空間内の任意の 2 点を指定すると、それに対応する分散曲線が表示されます。分散曲線の 1 点をクリックするだけで、波数ベクトルが定義され、その振動モードを可視化できます。
Simulate Temperature & Pressure コマンドを使えば、温度の影響に加えて、オプションで圧力の影響をシミュレーションできます。CrystalMaker では、指定された温度/圧力を使用して、定容積 (“NVT”) または定圧力 (“NPT”) のいずれかを使用したモンテカルロシミュレーションが実行されます。構造 (理論的にはスーパーセル) は、プロットされたエネルギーの値でリアルタイムに更新されます。
このコマンドは、構造の変化をインタラクティブに可視化するだけでなく、理想的な材料を無秩序にする便利な方法を提供します。結果として得られた「非晶質」構造は、例えば、その後モデリング計算に利用できます。
CrystalMaker では、エネルギーモデリングの一部として、作成した結晶の状態密度 (density of states) を計算できます。計算結果は、各振動周波数の相対分布をあらわすヒストグラムとして可視化できます。基礎をなす計算は、物性や熱力学的特性予測の裏付けにもなります。
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CrystalMaker では、大まかな分子構造を手書きで作成したあと、エネルギーを最小化した 3 次元構造に変換できます。緩和する過程をリアルタイムに可視化できます。モデルを緩和する過程で回転させることも可能です (Video: Building a New Molecule)。
CrystalMaker に用意されている専用ツールを使えば、単位胞 1 つの中身を損なうことなく表示したり、個々の分子を単離したり、非対称単位を表示することができます。断片になった分子を修復し、ある原子に隣接する原子に沿ってプロット範囲を広げることで、複雑さの中から正しい判断を導き出すことができます (Video: Working with Molecular Crystals)。
また、分子結晶内で選択した分子の非結合のショートコンタクト (“close contacts”) を表示できるようになりました。 関心のある分子内の原子を選択し、Selection > Show Close Contacts コマンドを選択するだけです。いずれの close contacts も、選択した分子内の原子と隣接する分子間の二次結合として表示されます。
「木の取り扱いには森を見よ」という我々の考え方に特にあてはまるのが、複雑な分子結晶を扱うときです (周囲との関係を考慮して部分構造を取り扱うこと。木を見て森を見ず “not see the wood for the trees” ということわざの反対 )。パッキングをはじめるにあたり、多くの場合、非対称単位 (asymmetric unit) 以外にも見るべきことがたくさんあります。そして他のプログラムなら、単位胞の端にある断片化された分子の扱いに手こずるでしょう。
CrystalMaker 11 は、結晶構造を新たに設計する究極のツールです。刷新された Packing Explorer を使えば、対称性、セルパラメータ、分子の配向や位置を完全に制御したり、Close contacts をリアルタイムに表示しながら、分子から結晶への変換をおこなうことができます。
新しいツールストリップには、回転、位置変更、測定、スケーリングをリアルタイムにおこなうためのツールが用意されています。新しいインスペクターには、アニメーションによるディスクロージャーグループ (ボタンによるグループアイテムの展開と折り畳み) が装備されており、パッキング効率と密度に関する情報が即時更新されます。
CrystalMaker には、マウスをクリックするか、原子や結合をロールオーバーするだけでリアルタイムに配位環境 (結合距離、角度、ねじれ角) を測定できるスクリーンツールが用意されています (Video: Measurement)。また、半径をリアルタイムに調整することで配位クラスターやシェルを可視化することもできます。例えば、球形のナノ粒子を構築するにはマウスを 1 回クリックするだけで済みます (Video: Visualizing a Cluster)。
結合距離と角度に関する詳細な情報は、スクリーン上に表示するか、テキストファイルとして出力することができます。パワフルな Distance Explorer を使えば、任意の元素またはサイトの組み合わせについて、その配位環境をグラフィカルに可視化することができます (Video: The Distance Explorer)。 また、x 線と中性子の 2 体分布関数可視化することも可能で、特定の元素対のための「部分」2 体分布関数 (“partial” Pair Distribution Functions) をオプションで選択できます (Video: Pair Distribution Functions)。
CrystalMaker を使えば、単位胞を変換したり、格子タイプを変更したり、スーパーセルを構築したり、原点を移動したり、任意のマトリクス変換を適用することができます。選択した格子面に単位胞を投影して “surface cell” を作成することも可能です。伝統的なソフトウェアとは異なり、CrystalMaker には、一般的な選択肢がプリセットされたエレガントで使いやすいインターフェースが装備されています。結晶学に苦労はいりません!
CrystalMaker の選択ツールを使えば、原子群の移動、切り離し、複製、非表示、削除をおこなうことができます。分子断片を非表示にしたり修復したり、個々の分子を単離できます。任意の方位の格子面を表示できます。結晶をスライスして表面や内部面を調べたり、ある構造や分子を別の構造や分子に配置できます。CrystalMaker のリアルタイム結晶工学ツールを使えば、作成した結晶格子の中にスペースを挿入したり、新規原子や分子全体を結晶内に配置したり、結晶格子を新たに設計することができます (Video: Placing a Molecule Into a Crystal)。
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約 45 種類のフォーマットの構造データをインポートして、それらを素早く可視化したりじっくりカスタマイズすることができます。DL_POLY の HISTORY ファイル等、多構造ファイルを取り扱うことができます。同期化機能とアニメーション機能を使えば、構造的な挙動、格子力学を素早く理解したり、シミュレーションの軌道 (trajectory) を可視化することができます。塊状 (massive) の構造も取り扱うことができます。CrystalMaker 独自の “Depth Profiling” ツールを利用すれば、塊状構造の関心領域を素早くスキャンできます。コンピュータモデルで得られた結果を特徴づけるのに理想的な機能です。
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各種アウトプットオプションを利用して、他のプログラムとデータを共有したり、構造データ、結合距離、配位環境を保存したり、あるいは、お持ちのデータを使ってウェブページを構築することができます。
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現在の構造に任意数の 3D データセットを組み合わせて表示することができます。データセットのそれぞれには個別の視覚設定を行うことができます。インポートできる可視化データは、テキストファイルや電子密度や間隙率計算のプログラムで作成されたファイルです (Video: Volumetric Data)。
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CrystalMaker を使えば、どのような種類の結晶や分子構造でも素早く簡単に構築することができます。結晶学の面倒さは、組み込みの対称性操作機能と洗練された空間群ブラウザで解消され、全ての結合と多面体は、プログラムによって自動的に生成されます (Video: Building a New Crystal)。分子の構築も同様に簡単です。ポイント&クリックで原子と結合を追加します。新たに追加された Relax コマンドを使えば、作成した構造のエネルギーを最小化して最適化することができます (Video: Building a New Molecule) 。
CrystalMaker のモデルタイプには、トラディショナルな “ball-and-stick” をはじめ、space-filling (空間充填)、polyhedral (多面体)、wireframe (ワイヤーフレーム)、thermal ellipsoids (熱振動楕円体) といった広範な種類が用意されています。いずれのモデルタイプも細部にわたりカスタマイズできます。表示オプションによって、フォトリアリスティックなグラフィックにしたり、シンプルなラインアートにすることができます。連続的するプロット範囲を設定すれば、数百万にもおよぶ原子、結合、多面体を描画できます。
CrystalMaker には、高画質で高速なピクセルパーフェクトなグラフィックで重なり補正と透過を実現する業界をリードする 3D グラフィクスが装備されています。最新の Mac の “Retina” グラフィックや Surface Pro デバイスで高解像度をお楽しみください。印刷品質のグラフィックを透明度付きで保存したり、回転する魅力ある構造やアニメーションをビデオに保存できます。
マウスをクリック&ドラッグしたり、キーボードやツールバーを使用できます。格子ベクトル又は平面の法線と並行に表示できます。トラックパッド、 タッチバー (MacBook Pro モデル) によるマルチタッチ回転や縮尺を利用できます。Leap Motion Controller を使用すれば、空間内でシンプルなハンドジェスチャーを利用できます (Video: Using the Leap Motion Controller)。CrystalMaker for Mac では (Mac 正規のネイティブアプリケーション)、MacBook Pro (2016-2022) で導入されたタッチバーインターフェースがサポートされます。専用のタッチダイヤル、方向プリセット、およびスライダーを使用して回転とズームを行うことができます。
CrystalMaker は静的な結晶構造の作成から一歩進んで、構造上の挙動を素早く簡単に探索することができる最初のプログラムです。複数のファイル (または、単一の多構造ファイル) を同一ウィンドウにドラッグ&ドロップしたら、表示される構造のサムネイルをアニメーションのフレームとして並び替えるだけです。複数の表示内容を操作して同期させ、サムネイルをドラッグ&ドロップして順番を変更したら、Play ボタンをクリックしてアニメーションを表示させることができます。さらに、アニメーションを回転したり縮尺したり、モデルタイプを変更したり、表示方向やモデル設定を変更することもできます。作成したアニメーションは、ウェブやプレゼンテーション用に利用できるムービーとしてエクスポートすることができます (Video: Creating an Animation)。
CrystalMaker のドキュメントには、複数の構造を保存することができます。保存された各構造はグラフィカルなサムネイルであらわされます。構造上の挙動やアニメーションとして活用できることはもちろんですが、同じ構造の異なるビュー、異なるモデルタイプ、原子範囲、関連する構造について保存することもできます。どの構造にも個別のノートを付けられます。これらを 3D 回転モデルとともにインタラクティブなスライドショーとして文脈に従って提示することで、教育用として理想的なツールになります。プログラムには、魅力的な教材の作成例が同梱されています (例:”Building Quartz”, “Building Spinel”)。
CrystalMaker のファイルエクスポートオプションに STL 3D 形式 (ほとんどの 3D プリンタでサポートされる形式) を選択すれば、作成した構造を 3D プリンタにプリントすることができます。また、いずれの構造も 3D グラフィックソフトウェアでのやり取りに最適な自己完結型の COLLADA 3D ファイルにエクスポートすることができます。作成した CrystalMaker の COLLADA ファイルはお持ちの iPad に表示させることも可能です。作成したファイルを iBooks Author (Mac app store で無償でダウンロード可能) にドロップするだけで iPad に公開できます。
CrystalDiffract (粉末回折) と SingleCrystal (X 線、中性子、TEM の単結晶回折) を使えば、CrystalMaker に表示されている任意の結晶構造について回折パターンをメニューコマンドひとつでシミュレーションすることができます。 CrystalMaker と SingleCrystal は相互にリンクするので、CrystalMaker で構造を回転させると、それに応じて回折パターンも変化します (Video: Diffraction)。 “Live Powder Diffraction” モードを使えば、CrystalMaker で構造を編集すると、変更内容に応じて CrystalDiffract に表示される粉末回折パターンもリアルタイムに更新されます (Video: Live Powder Diffraction)。
CrystalMaker には CrystalViewer が含まれており、専門家が精選した約 1400 個の結晶および分子構造コレクションを利用できます。インデックス、注釈が付いているので素早く表示できます。
CrystalViewer には、最密充填金属から単純なイオン化合物、ケイ酸塩、金属有機フレームワーク (MOF) などの「ハイブリッド材料」までの構造タイプをカバーするアニメーションの結晶化学ツアーなど、豊富な教育リソースも用意されています。
CrystalMaker には、Windows 64-bit 版と macOS 64-bit 版の 2 つのバージョンが用意されています。Mac 版でも Windows 版でも、読み込み可能なドキュメントに違いはなく、ほぼ同じ機能が装備されていますので、クロスプラットフォームでの作業や共同作業を容易に行うことができます。2 つのバージョンは、それぞれのオペレーティングシステムのために全くのゼロから構築されたもので、Windows アプリケーション、Mac アプリケーションとして 100% ネイティブの純正です。これにより、システムとの統合、パフォーマンス、ユーザビリティ、および、デザインの美しさがそれぞれの環境で最大限発揮されます。