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更新日: 14/04/09

2MacTempasX の概要

3つのシミュレーションステップ

HRTEM 位相コントラスト画像のシミュレーションは、構造計算、散乱プロセス、イメージ合成の3つの計算に分割することができます。MacTempasX は、Calculate メニューコマンドを使って、それぞれの独立した計算を呼び出すことができます。

 

Calculate メニューの残りのコマンドは、メニューの章で説明します。

結晶の投影ポテンシャル (Projected Potential コマンド) の計算では試料の構造のみを考慮しますが、電子波動場 (Exit Wavefunctions(s) コマンド) の計算では試料と電子波動の相互作用を取扱い、Image(s) normal calculation コマンドでは電子顕微鏡のレンズシステムを考慮したシミュレーションを行います。一度シミュレーションを実行したら、以後のシミュレーションではすべてを再計算する必要はありません。電子顕微鏡のパラメータ (電圧を除く) を変えただけなら、投影ポテンシャルおよび出射面の波動関数の計算には何の影響もありません。結晶構造像を再描画するだけで済みます。電子顕微鏡の電圧、または試料の厚さ・傾斜を変更した場合には、投影ポテンシャルの計算には影響はありませんが、出射面の波動関数と結晶構造像は再計算する必要があります。試料の構造を変更した場合は、もちろんすべての再計算が必要となります。

 

生成されるファイル

MacTempasX は、シミュレーションの過程で様々なファイルを生成し、保存します。主要な 6つのファイルは以下の通りです。

  1. <structurename>.at
    シミュレーションを実行するのに必要な結晶構造および電子顕微鏡のすべての情報を保存します。これらは、ユーザーの入力データ、使用したデータファイルが元になっています。<structurename> には、結晶構造を作成するとき入力した構造の名称が使用されます。ファイル形式はテキストファイルです。

  2. <structurename>.pout
    <structurename>.at ファイルに保存された情報を使用した、投影ポテンシャルの計算結果が保存されます。電子ビーム方向の投影ポテンシャルが保存されています。ファイル形式は、REAL(4) 型のバイナリファイルです。最初の 80 バイトにはレコード情報、つぎにデータが保存されます。第 1行目は、結晶構造像の底辺のデータが記述されます。これは、MacTempasX の座標軸は、画像および単位格子の左下が原点になるからです。データがインポートされている場合は、画像が反転して表示されます。

  3. <structurename>.mout
    <structurename>. pout と <structurename>.at ファイルのデータを使って、マルチスライス計算を行った結果が保存されます。1つ以上の試料の厚さで計算した出射面の波動関数が含まれます。ファイル形式は、<structurename>.pout と同じ構造のバイナリファイルですが、実数と画像のバイナリデータが含まれています。データは 80 バイト目から始まり、複数の出射面波動関数が保存できます。

  4. <structurename>.iout
    <structurename>.at ファイルの電子顕微鏡パラメータを出射面波動関数に与えて結晶構造像を作成した結果が保存されます。1つ以上の画像が含まれています。ファイル形式は REAL(4) 型のバイナリファイルで、80 バイト目からデータが始まります。

  5. <structurename>.hout
    シミュレーションした結晶構造像の代わりに、投影面における電子波動関数の計算結果が保存されます。ファイルには、実数と画像のバイナリデータが含まれ、80 バイト目からデータ領域となります。複数の電子波動関数を保存できます。

  6. <structurename>.aout
    試料の各スライス面における回析波の振幅が保存されます。回析波はユーザーが選択でき、試料の厚さの関数としてプロットします。

    上記のファイルに加えて、印刷に使用するためのフィアル (めったに印刷されることはありませんが) が作成されます。

  7. <structurename>.p_prnt
    Projected Potential メニューコマンドで、<structurename>.at の設定を使って投影ポテンシャルを計算した結果の印刷データです。

  8. <structurename>.m_prnt
    Exit Wavefunctions(s) メニューコマンドで、<structurename>.at の設定を使って <structurename>.pout のデータを計算し、出射面の波動を生成した情報が含まれます。すなたち、マルチスライス計算の印刷データです。