19.15 基本的な数値結果
以下に示すレポートのセクションは、傾きの等しさ (equality of slopes) 検定を実行し (この検定の Options ダイアログの Assumption Checking パネルで有効にします)、その結果が不合格 (Failed) にならない限り、常に表示されます。この場合、ANCOVA モデルの結果は表示されません。
- ヘッダ:他の全ての検定と同様、検定の名称、日付、および、データソースがここに含まれます。
- Dependent Variable:ここには、従属変数 (測定値や応答) の列名が表示されます。
- Descriptive Statistics for Groups:基本統計量と因子群のサマリーデータがテーブルに表示されます。テーブルの配置は以下のとおりです (レポートにはグリッドラインは表示されません)。
- 除外された群に関する注記:ある群に有効な被験者が含まれていない場合は、その群は分析から除外されます (その群のケースすべてが欠損値とされます)。被験者が有効なのは、従属変数の値と各共変量に関連する値が有限数 (finite number) である場合のみです。もし分析から除外された群があれば、それがどの群であるかを示す一文がレポートに記載されます。なお、有効な群が2つ以上無ければ、その検定ウィザードで Finish を押した直後に分析を実行できない旨のメッセージが表示されます。その場合は、ウィザードに戻ってデータを選択しなおすことになります。
- 除外された共変量に関する注記:共変量の集合の状態が非常に悪く、各群の回帰平面を決定する回帰問題で唯一の解を求められなかったり、解が求められてもパラメータに非常に大きな誤差が含まれる場合があります。こうした問題を避けるには、共変量を選択的に除外して、状態の良い共変量の集合が残るようにします。問題のありそうな共変量には、群にかかわらず一定の値であったり、他の共変量との線形結合 (linear combinations) であるものが含まれます。このような共変量を除外しても、効果の平方和の推定量や回帰の予測値に影響はありません。もし分析から除外された共変量があれば、それがどの共変量であるかを示す一文がレポートに記載されます。共変量の全てが除外された場合は、この計画を分析するのに一元配置分散分析 (One-Way ANOVA) 検定を使用するようレポートに提案されます。
レポートの残りの部分は、主となる ANCOVA モデル、すなわち、Equal Slopes モデルのための基本的な数値結果です。このモデルでは、共変量それぞれの全ての群について傾きの係数が同一であることが仮定されます。equal slopes モデルで使用する主たる仮説検定は、各群の調整平均 (共変量の効果を統制することによって得られる平均値) の同一性を検定するものです。各群の回帰方程式の傾きは同じであることから、この検定はそれらの切片の同一性を検定することと同じになります。ある因子効果の P 値が有意であれば、多重比較を実行して、群どうしの対の中から調整平均に最も有意な差があるものを特定することができます。
ANCOVA 処理の配置構造の内容がいずれも有効な測定値、有効な群、有効な共変量であるとしましょう。ただし、処理を開始する前に検定ウィザードでこの条件を選択していなければ、ANCOVA モデルの分析を進めることができません。もし、この条件を満たさなければ、検定ウィザードで Finish をクリックした直後にこの分析を実行できないことを示すメッセージが表示されます。その場合は、検定ウィザードに戻りデータを選択しなおすことになります。
- The Analysis of Variance Table:分散分析表には、主効果の平方和 (sums of squares) が記載されます。この表を使って調整平均間の有意差を判断することができます。また、モデル内の有意な共変量もそれぞれ判断することができます。もし、有意な共変量がなければ、そのことを示す一文がレポートに追加されます。その場合、SigmaPlot により一元配置分散分析 (One-Way ANOVA) モデルを使用するよう提案されます。この表の配置は以下のとおりです。なお、表の前には、相関係数 R、決定係数 Rsqr、および、自由度調整済み決定係数 (Adj Rsqr) が記載されている点に注意してください。
- Adjusted Means Table:この表には、各因子群の調整平均 (adjusted mean) に加え、各平均の標準誤差 (Std. Error) と信頼区間がレポートされます。表の後には、調整平均がどのように算出されたかを説明する一文も追加されます。この表の配置は以下のようになります:
各群の調整平均 (Adjusted Mean) は、各共変量の総平均でモデルを評価して求めます。
- Regression Equations for Each Group:群ごとの回帰方程式が求められます。ここでは、モデルの予測値が共変量の関数であらわされます。
- オプションの数値結果:以下に示すレポートのセクションの概観は、この検定の Options ダイアログボックスの設定によって変わります。SigmaPlot のデフォルトについては、こちらをご覧ください。
- Descriptive Statistics for Covariates:お持ちのデータの基本統計量とサマリーデータをあらわすテーブルです。各表の配置は以下のとおりです (レポートにはグリッドラインは表示されません)。
上記の共変量の統計量をあらわす表は、有効な行データのみを計算したものです。
これらの表は、Descriptive Statistics for Groups のすぐ下に表示されます。
- 交互作用モデル (Equality of Slopes の検定):分散分析表。ANCOVA 処理の配置構造の内容がいずれも有効な測定値、有効な群、有効な共変量であるとしましょう。この検定オプションダイアログボックスの Assumption Checking パネルにある Equality of Slopes オプションにチェックが入っていれば、共変量ごとに因子群の傾きの等しさ (equality of slopes) 検定の結果が表示されます。結果が表示されない場合 (または表示できない場合) は、Equal Slopes モデルで分析が進められます。この分散分析表には、主効果の平方和とその因子と共変量との交互作用の平方和が表示されます。この表を使えば、有意な交互作用があるか否かを判断することができます。有意な交互作用が少なくとも1つでもあれば、各群の回帰平面の方程式が表示され、レポートは終了します。有意な交互作用がなければ、傾きの等しさ検定に合格 (Pass) し、ANCOVA モデル (Equal slopes モデル) で分析が継続され、残りのレポート結果が表示されます。この表の配置は以下に示すとおりです。各効果の項に関連する自由度の数式を挿入しています。なお、テーブルの前には、相関係数 R、決定係数 Rsqr、および、自由度調整済み決定係数 (Adj Rsqr) の計算結果をあらわす一行が表示されている点に注意してください。
- 交互作用モデル (Equality of Slopes の検定):パラメータ統計量。検定オプションダイアログボックスの追加のオプションを有効にしていれば、分散分析表に加えて、交互作用モデルのパラメータの値 (係数) と統計量がレポートに表示されます。これらの表は、レポートの前述の分散分析表の直前に配置されます。この表の配置は以下のとおりです:
- Normality (正規性):Equal Slopes モデルの ANCOVA 回帰分析で求められた残差の正規性を他の幾つかの統計的検定と同様に検定します。検定オプションダイアログボックスの Assumption Checking パネルで、実行する正規性検定の手法と、有意水準を指定します。レポートにおける正規性検定の表示は、他の統計的検定と同じです。
- Equal Variance (等分散性):Equal Slopes モデルの ANCOVA 回帰分析で求められた残差の等分散性を判定には、ルビーンの検定 (Levene’s test) を使用します。ルビーンのアルゴリズムでは、全ての群の全ての測定値に関する残差の絶対値を算出し、それに一元配置分散分析を適用して各群の残差の平均値の間に有意差があるかどうかを判断します。もし有意差がなければ、等分散性の検定は合格 (Pass) することになります。等分散性の結果の表示は、他の統計的検定と同じです。
- Parameter Statistics Tables (the Equal Slopes Model):このレポートには、equal slopes モデルのパラメータの値と各種統計量が表示されます。表示されるテーブルは2つあり、そのうち一つには、標準誤差の推定量と、パラメータがゼロであるか否かを検定する各パラメータの仮説検定 (スチューデントの t 検定) の結果が含まれます。2つ目のテーブルには、真のパラメータ値に関する信頼区間が表示されます。
※ 重要:各因子群に対応する回帰モデルの独立変数は、データの最後の群を参照群とする効果コーディング (effects-coded) されたダミー変数 (足すとゼロになる) であることを認識することが重要です。 |
- Parameter Covariance Matrix:このマトリックスには、Equal Slopes モデルにおけるパラメータ推定値の各対の間の共変量の推定値が表示されます。
- Power:これは、調整平均の同一性検定に関する測定された (後ろ向きまたは実現された) 検出力です。この値は、検定の有意性と検出力 (平均値が等しいという帰無仮説を正しく棄却する確率) との間の関係を調べられるようにするためにのみ計算されるものです。従って、データを元に算出されるこの検出力の値によって分析に関する何か新しい情報が生み出されることはありません。
- Multiple Comparisons (多重比較):一元配置分散分析 (One Way ANOVA) で利用できる多重比較プロシージャーは、共分散分析 (ANCOVA) における調整平均の対比較にも利用できます。主な違いは、調整平均の差の標準誤差の計算法の違いにあります。ANOVA の場合、群の各対の標準誤差の計算は、平均残差平方和によって推定される群間に共通する分散に基づいています。ANCOVA の標準誤差は、計算する群の対によって変わります。
以下に示す出力結果には、ANCOVA モデルのお持ちのデータに対する当てはまりに関する影響診断、および、 各測定値に対応する平均値の値の信頼区間が表示されます。
- Predicted Values and Residuals (予測値と残差):回帰による予測値、および、影響力のあるデータポイントを判断するための残差に関する各種の標準化指数 (生の残差、標準化残差、スチューデント化残差、スチューデント化削除残差)。
- Cook’s Distance and Leverage (クックの距離とてこ比):残差分析以外の外れ値を検出する手法です。クックの距離は、ある測定値を削除したときの特定の基準 (norm) に対するパラメータの相対的変化を調べます。てこ比は、水平方向に生じうる外れ値 (独立変数に対する外れ値) を検出します。
- Confidence Intervals for Observation Means (測定平均の信頼区間):測定値の予測値、信頼区間、および、予測区間を使用して真の平均値を決定し、追加の測定値を含む区間を推定します。