パイパープロット (トリリニアダイアグラム) について:
パイパープロット (Piper,1944) (トリリニアダイアグラム) は、水文地質学者や水文学者が水化学データを表示するのによく使用するプロットです。複数の異なる水のサンプルを 1つのグラフでプロットできる利点があります。ほとんどの自然水の溶存イオン種は Ca2+, Mg2+, Na+, K+, Cl-, HCO3-, SO42- が主要成分です。パイパー図 (トリリニアダイアグラム) では、主要なカチオン (陽イオン) とアニオン (陰イオン) の組成比を 2つの隣り合った三角形のプロットで表示します (図 12.3)。Na と K はプロットするためにグループ化されます。三角形の各頂点は、その成分の 100%を意味し、混合成分によって軸上 (2成分の場合)、または、三角形内 (3成分の場合) にプロットされます。
図 12.3 カチオンとアニオンの組成比のプロット方法を示すパイパープロット(トリリニアダイアグラム)
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上のパイパープロット (トリリニアダイアグラム) では、カチオン (陽イオン) とアニオン (陰イオン) の組成比を示しています。ひし形のグラフは、カチオン (陽イオン) と アニオン(陰イオン)の両成分に関する水の組成を表すために使用します。このグラフは、2つの水の混合を直線でプロットできるという利点があります。図12.3 に示すように、各三角形のプロットの外側の軸と並行な線に沿って各サンプルのカチオン(陽イオン)と、アニオン (陰イオン) のポイントがひし形の領域に投影され、これらのポイントの交点がプロットされます。パイパープロット (トリリニアダイアグラム) を使用すると、主要なイオンに基づく 「水文化学的特徴」 や 「水の種類」 による分類が可能です。
さまざまな成分の比率によって地下水の化学的変遷の情報を得ることができます。また、地下水とそれが通り抜ける岩の間で発生した主要な化学反応を知ることができます。図12.4 に示すヨークシャーの砂岩帯水層のいくつかのデータの場合、方解石 (CaCO3) と石こう (CaSO4) の溶存によって、この地下水は Ca-HCO3 タイプから Ca SO4 タイプまでの幅があると一般に考えることができます。古い海水成分 (Na と Cl を多く占める) との混合が原因で、プロットの Na と Cl 頂点に向かう傾向のあるサンプルも一部あります。
Piper, A.M. 1944 A graphic procedure in the geochemical interpretation of water analysis. Transactions, American Geophysical Union, 25, 914-923.
図12.4 ヨーク平原地帯の砂岩帯水層の水のタイプの分布を示したパイパープロット(トリリニアダイアグラム)
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このパイパープロット (トリリニアダイアグラム) では砂岩帯水層からの水の分布を示しています。 |