10.1 概要
Conditional simulation (条件付きシミュレーション) は、確率論的なシミュレーションの様式に基づいて Z を推定する高度な内挿技術で、各地点におけるデータの値が尊重されます。クリギングや IDW を含むその他の内挿法では、空間的変動の局所的な詳細が、とりわけ測定地点から内挿位置が離れるほど平滑化されてしまいます。このことは、空間的な不連続性がシャープな汚染物質のホットスポットや断層線 (fault line) をマップ化しようと試みるときに問題になります。GS+ で使用するのは、逐次的ガウスシミュレーション法 (sequential Gaussian simulation method) です。
以下の Simulate タブが Interpolation ウィンドウに用意されています:
Variogram Model
等方性 (isotropic) および異方性 (anisotropic) バリオグラムのバリオグラムモデルは、Autocorrelation Analysis ウィンドウの Model コマンドで選択します。この Simulate ウィンドウでは、クリギング系で使用するバリオグラムモデルとして isotropic または anisotropic を指定できます。
Output
条件付シミュレーションで選択できるアウトプットには次の2つのタイプがあります。a) Estimated Z 値とその分散 (推定分散または標準偏差)、または、b) ある位置の推定値が一定の閾値 t よりも大きくなる確率。
- 個別の Z 推定量とその標準偏差は、特定の位置の n 回のシミュレーションの平均値と標準偏差です。したがって、シミュレーション数は、この両方の値に影響します。
- 推定量が t よりも大きくなる特定位置のシミュレーションの比率が確率になります。したがって、この値もシミュレーション数によって影響を受けることになります。
Analysis tab
- Number of simulations:任意のシミュレーション数 >0 を選択することができます。なお、シミュレーション数をあまり少なくすると、非常に粗いマップになる点に注意してください。また、シミュレーション数をあまり多くすると、かなりの CPU 時間を要します。詳細は後に示す例をご覧ください。デフォルトのシミュレーション数は、Preferences ダイアログで指定した値になります。
- Use different seed:このボックスにチェックを入れると、シミュレーションごとに異なるランダム数シードが使用されることになります。これにより分析が若干遅くなりますが、各シミュレーションを特定の試行とは独立したものにすることができます。デフォルトは、Preferences ダイアログで指定したものになります。いずれの場合も、シミュレーションごとにことなるランダムパスが使用されます。
- Multigrid refinements:このボックスにチェックを入れると、内挿ノードのシミュレーション時に段階的プロシージャ (stepwise procedure) を強制的に行います。第一段階では、バリオグラムの巨視的構造の影響を考慮するために粗いグリッドを使用します。ステップを進めるごとに、探索する近傍を小さくします。これにより、大規模な条件付けの必要性を回避できます。デフォルトは、Preferences ダイアログで指定したものになります。
Secondary data
2次データを配置して推定量の改善に利用することができます。配置するとは、推定されるグリッドノードそれぞれに2次データがあるということです。(通常の共クリギングの場合のように単に第1データだけではありません)。
- Residuals:平均値の変動が局地的にある単純クリギングと同じです。Define ボタンをクリックして使用する残差を定義します。
- External drift:Define ボタンをクリックして drift 値を定義します。
- Collocated cokriging:Define ボタンをクリックして、共変量の値を定義します。