4.12 Editing Translation and Codon Preference Tables

翻訳テーブル (translation table) とコドン選好テーブル (codon preference table) には、いずれも、ある生物種について、コドンのアミノ酸への翻訳に関するデータが含まれています。コドン選好テーブルには、それに加えて、ある生物種の DNA (遺伝子配列が決定済みのもの) において 各コドンが発現する相対的頻度を取り扱うデータが含まれています。テーブルがまだ用意されていない生物種について調査する場合は、それ用のテーブルを作成する必要があります。このセクションでは、そのようなテーブルの作成方法を具体的に説明します。

予め用意されているビルトインのテーブルf に変更を加えることはできませんが、メニューから Analysis > Tables > Create New... を選択することによって新規テーブルを作成することができます。メニューを選択すると、図 4.9 に示すダイアログが表示されます。ダイアログの左側のリストには、テーブルを使用する各種解析が表示されます。リストから項目のいずれかをクリックすると (この事例では Open reading frames を選択)、この解析で現在利用可能なテーブルの一覧が表示されます。新たに作成する編集の開始点となるテーブルは、右側で選択したテーブルを使って値を入力することになります。

図 4.9:新規翻訳テーブルの作成

 

f. ビルトインのテーブルは、GI Data フォルダの “Standard Tables” フォルダの中にあります。ユーザーが作成するテーブルは、GI Data フォルダの “User Tables” フォルダに保存されることになります。作成したテーブルはいずれも、Standard Tables フォルダに移動することはできますが、移した場合は編集できなくなります。標準テーブルのいずれかを編集するには、その複製を作成し、それを User Tables フォルダに移動することで実行できます。

 

New をクリックすると、図 4.10 に示すようなテーブルが表示されます。この標準翻訳テーブルには、最初の2列にコドンからアミノ酸へのマッピング情報が含まれています。カーソルを Start または Stop 列の上に移動すると、その形状がセルをクリックすることで任意のコドンを開始 (Start) または終止 (Stop) コドンに指定できることをあらわすチェックマーク () に変わります。終止コドンは Stop 列内に赤のドットで表示され、選択すると 2列目の Amino Acid が空になります。開始コドンは、Start 列内にグリーンのドットで示されます。

図 4.10:翻訳テーブルの編集例

 

コドン選好テーブル (Codon preference table) には、図 4.11 に示すような追加の情報が含まれています (※訳注:図 4.10 にも既に追加情報がふくまれている)。はじめの2列と最後の2列は、翻訳テーブルと全く同じ情報です。Weight と Total 列には、各コドンの使用頻度と、翻訳されるアミノ酸に対応する全コドンの合計使用量に関するデータが含まれています。この事例では、イソロイシン (Ile) コドンの使用がハイライトでが示されています。ATA の Weight 列をクリックすると、そのセルだけでなく、Total 列の中の同じアミノ酸に対応する全てのセルが選択されます。従って、ATA, ATC, ATT は、いずれもイソロイシンをコードするので、全て選択されます。Weight 値は、このテーブルの作成に使用された遺伝子の標本セットでコドンが使用された回数です。従って、イソロイシンを指定するのに ATA は 975 回、ATC は 3013 回、ATT は 1985 回、それぞれ使用されたことになります。Total 列に表示されているように、このデータセットには、イソロイシンコドンの発現が 5973 回あったことが分かります。Drosophila melanogaster (キイロショウジョウバエ) のイソロイシンコドンについて言えば、ATC が 3013/5973 = 50.4% 使用されていることになります。Weight に別な数字を入力すると、それに合わせて Gene Inspector が自動的に Total 値を調整します。

Gene Inspector に予め用意されているテーブルを更新して生物種毎に利用できる包括的なデータにすることも、将来は分かりませんが現在のところ充分に解明されていない生物種については、全くゼロからテーブルを作成することも可能です。最後に、高度に発現した遺伝子産物と、発現頻度の低い遺伝子産物を比較したテーブルを作成したいと思うかも知れません。多くの場合これらは、コドン選好性が異なっています。

図 4.11:コドン選好テーブルの編集例