イントロダクション

Geometry Expressions では、幾何学的図形から代数的表現を自動的に作成することができます。例えば、以下に示す図は、直角三角形の短い2辺の長さをそれぞれ a および b と指定したものです。このシステムで三角形の高さを数式で求めると以下のようになります:

幾何学的演算を行うシステムが果たして幾何学の授業に役立つと言えるでしょうか?私ならイエスと答えるでしょう。この記事では、その答えが正当であることを実例を示しながら裏付けていきたいと思います。

1981年当時、私は研究助手としての生計を支えるのに数学の家庭教師を行っていました。その中の生徒の一人に、 “City and Guild” の電気工学の試験を勉強している人がいました。その試験の内容は、10年経ってもまったく変わっておらず、中には掛け算とべき乗の計算を対数表を使って行う問題も残っていました。私と同世代か年長の数学者なら、1より小さい数字が並んだ対数表を用いたこの一種独特の計算法を記憶している方もおられるでしょう。1982年には安価な小型電卓が出回るようになり、対数表を使った計算はまったく必要なくなりましたが、試験には依然としてこの問題が残されていました。対数表と逆対数表を使って調べていたのが、電卓の対数関数の取り扱いに変わったものの、生徒はこうした計算方法を引き続き学ぶ必要があったわけです。

テクノロジーは忌避するよりもむしろ積極的に取り入れるべきだと、私は考えています。