チュートリアル 11:汎用コンストラクトを使った作業

DNA の一部を使って作業に取り掛かろうとする場合、クローニングされた DNA 断片の制限酵素地図は分かっていても、その塩基配列が未知であることがよくあります。このような汎用コンストラクトを GCK で作成し、そのセグメントをあたかもその配列が既知の DNA の一部であるかのように操作することができます。

  1. GCK を起動します。無題の Construct ウィンドウがアクティブウィンドウとして表示されるはずです。5000 ヌクレオチドからなる汎用コンストラクトを作成することにしましょう。Construct > Insert Ns… (command-H/ctrl-N) を選択します。図 2.58 のようなダイアログが表示されます。5000 と入力して、OK ボタンをクリックします。
    図 2.58:N 記号の挿入

  2. N 数 5000 の線状コンストラクトができるはずです。グラフィカルビューでは単純な水平線として表示されます。Construct > Display > Display Sequence を選択して、表示をシーケンスビューに切り替えます。一連の N が表示されます。次に、コンストラクトの特定の位置に制限酵素部位を配置する必要があります。

  3. Construct > Features > Place Sites… (command-J/ctrl-J) を選択します。図 2.59 のようなダイアログが表示されます。これは前に表示した Mark Sites ダイアログ (図 2.8) と非常によく似ています。上のリストから制限酵素のいずれかを選択し、Add ボタンをクリックして、下にある Sites to Place 欄に移動します。このチュートリアルでは、BamHIEcoRI を選択することにします。
    図 2.59:Define Sites ダイアログ

  4. 次のステップは、コンストラクト内に配置したい各制限酵素の位置を定義することです。これは、まずはじめに下のリストから制限酵素を選択し、次に、選択した制限酵素の部位となる位置を定義することによってすることができます。下のリストから BamHI を選択したら、右側にある Locate ボタンをクリックします。部位を配置するための図 2.60 に示すダイアログが表示されます。このダイアログには、選択した制限酵素に関する情報が表示され、その部位の位置を定義するよう指示されます。Starting at position テキストボックスに 200 と入力したら、Add ボタンをクリックしてこの位置を配置する部位のリストに追加します。右側の Instances リストに表示されます。次に、1000 と入力して、それをリストに追加します。最後に、3456 を追加します。これら3つの位置が右側のリストに表示されているはずです。以上の作業が済んだら、BamHI 部位の位置入力が完了したので、Done ボタンをクリックします。
    図 2.60:部位配置用ダイアログ

  5. リスト (図 2.59) から EcoRI を選択し、Locate ボタンをクリックします。部位を配置するためのダイアログ (図 2.60) が表示されるので、EcoRI の部位として 20004000 を入力します。以上で、制限酵素とその部位の定義が完了しましたので、OK ボタンをクリックして実際にその部位に配置します。
    図 2.61:配置された部位 (シーケンスビュー)

  6. 図 2.61 で、BamHI 認識配列が実際に N と置き換わっていることことを確認できます。従って、これが制限酵素で切り取られる「実際の」部位となり、この DNA のフラグメントの生成に使用されます。

  7. Construct > Display > Display Graphics を選択します。図 2.62 のようなウィンドウが表示されます。ここで、フラグメントを選択し、それらを前のチュートリアルで行った配列が完備された DNA と同様にクローニング・ステップに使用できます。このコンストラクトの塩基配列情報が明らかになってくると、実際の塩基配列を汎用コンストラクトの N と置き換えて使用することができます。
    図 2.62:部位の配置例 (グラフィックビュー)

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