3. 最適計画による実験

このチュートリアルの冒頭でも触れましたが、我々の目標は Cornell の参考書『Experiments with Mixtures』にて報告されたフィッシュ・パテの事例を再現することです。ここでは、通常の試行よりも遥かに効率的となる最適計画でこれを行うことにしましょう。混合物とプロセスの両方を組み合せた実験をご自身で計画される場合は、こちらのアプローチをご利用されることをお勧めします。チュートリアルを前から順番に進めているはずですので、“File” -> “New Design” を選択して次に進んでください。「Use previous design info?(前回使用した計画情報を使用しますか?)」と尋ねられますので、“Yes” をクリックしてください。

前回使用した計画の再使用

 

ビルダーは、前回使用したユーザー定義計画で表示されるはずです。“Optimal (custom)” を選択してください。

混合物とプロセスの複合計画の最適計画オプション

 

“Next” をクリックして、混合物の成分名と Low/High 値はすべて前回使用した内容がそのまま残っていることをご確認ください。もう一度 “Next” をクリックして、プロセス因子についても前回指定した範囲がそのまま残っていることをご確認ください。さらにもう一度 “Next” をクリックすると、Optimal Design 画面が表示されます。ここで、基底となるモデルには quadratic-linear が予め設定されていることに注目してください。

 ここでの演習の目的は、実際に Cornell の実験で行われた試行から、その一部を選び出すことですので、検索対象を特定の組み合わせに限定する必要があります。混合物とプロセスの空間にある座標ならどれでもいいという訳ではありません。従って以下に示すように、Search ドロップリストのデフォルトで指定された検索法 “Best” を “Point Exchange” に変更する必要があります。

Point Exchangeによる最適計画の検索

 

Optimality の基準はデフォルトで指定された “I” のままにしてください — この事例では連続的な変数を最適化するので、良い選択です。この基準により、候補の集合から最も小さい一部のモデルポイントが検索され、ユーザーは Cornell によるオリジナルの試行の組み合わせを指定することになります。

 オリジナルのデータには反復試行が含まれていませんので、Replicates を「0」に指定してください。Tab キーを押すと、合計の試行数が 29 になるのを確認できます。“Model points” と “To estimate lack of fit” はデフォルトで指定された水準のままで結構です。

 

参考書の事例に合わせるために、デフォルトの反復回数をゼロに指定

 

次に進む前に、Cornell の選択した最初のポイントを作成し直す必要があります(前の User Defined 計画のセットアップでも、これを行ったことを思い出してください)。“Edit candidate points” をクリックします。“Mixture 1” タブで、Thirds of edgesTriple blendsAxial check blendsInterior check blends のチェックマークをすべて解除してください。“Calculate points” をクリックします。これで、Vertices(3)、Centers of edges(3)、Overall centroid(1)の混合ポイントで構成された Subtotal 7 の画面を確認することができます。前に示したスクリーンショットに戻ってこれが正しいことを確認してください!

 “Process” タブを押して、頂点を除くすべてのポイントのチェックを外します。“Calculate points” をクリックして候補点を再計算しましょう。これにより、プロセスの候補点の小計が 8 になります。候補点の合計は、以前の User Defined 計画の事例で設定した時と同様の 56 になりました。

 “OK” および “Next” をクリックして、応答を指定する画面に進んでください。応答の名称と単位は、(ユーザー定義の例のように)デフォルトの内容で良いので、“Finish” を再度クリックしてください。

 以上の設定を元に Design-Expert は最適計画を構築します。選択される試行回数は 29 となります。アルゴリズムの無作為要素により最適計画を実行するたびに試行回数は変動しますが(Options により設定可能)、マトリックスの属性は基本的にいずれも同じです。

フィッシュ・パテ計画:I-optimalによる29の部分集合の組み合わせ

 

前半から続くこのチュートリアルの要点は、最適計画を使用することで、混合物とプロセスのすべての可能な組み合わせのうちの一部(この場合、元の56回の試行を含む実験の内の、29通りの組み合わせ)しか使わずに、理想的な試行の組み合せを選び出す方法を示すことであったことを思い出してください。従って、これは “what-if” 演習であると言えます。この事例の計画を全く新たに構築しようとするときは、反復回数を Design-Expert がデフォルトで推奨する 5 にするといいでしょう(合計試行数 34)。これにより、純誤差を評価する自由度が 4 となり、不適合度の検定が認められ、一般的に計画の質が向上します。この設計では、Cornell が実施したオリジナルの56回の試行よりも、モデルの適合において遥かに効率的です。