2. オリジナルの試行による実験

Design-Expert のアイコンを見つけてダブルクリックし、プログラムを起動してください。新規計画を開始する最短ルートは、起動画面に表示されている “New Design” をクリックすることです。

 “Custom Designs” をクリックしてメニューを展開し、“User Defined” オプションを選択してください。ユーザー定義オプションであれば、選択した全ての点を使って Cornell の計画を再現できます。通常なら、リストの一番目にある Optimal を使用して、試行数の節約を図りたいところですが、計画点として理想的な部分集合を指定モデルの候補集合の中から選び出すこのオプションについては、後で紹介することにします。

Mixture 1 Components について、ドロップリストから “3” を選択してください (Design-Expert には、2つめの混合物を追加できるオプションも用意されている点に注意してください。例えば、2層からなるケーキ、フィルム、コーティングなど)。Numeric Factors の数値については、“3” を選択してください。Categoric Factors はゼロのままで構いませんが、将来実験を行うときは、離散変数(ある成分を供給する人物など)も計画に追加できることも心に留めておいてください。

組み合わせユーザー定義計画の設定

 

“Next” をクリックして、混合物の成分(魚の種類)の比率の合計を指定する Total には「100」を、Units には「%」をそれぞれ入力してください。続いて、魚の名称をそれぞれ下記のように入力してください。また、下限値 Low の値は「0」のままで良いですが、上限値 High の値はすべて「100」に指定してください。

混合物の具体的内容の入力

 

“Next” をクリックして、プロセス計画因子の設定に進んでください。各因子の Name、Units、範囲(下限値:L[1]、上限値:L[2])をそれぞれ下記のように入力してください。

プロセス変数の具体的内容の入力

 

“Next” をクリックして、この実験で計画したい混合物とプロセスの変数としてふさわしいモデルの組み合わせを定義します。デフォルトで指定されたモデルは、いずれも2次です。“Edit model” ボタンをクリックして、Process Order のデフォルト指定を “Linear” に変更してください。

混合物とプロセス変数に関する計画モデルの指定

 

OK ボタンをクリックして、変更内容を適用してください。次に、「候補点」を検討することにしましょう。通常は、実際に計画で使用される点はこのうちの一部分に限られますが、この場合は User Defined オプションを選んだので、候補点のすべてを使用します。さて、ここで問題が生じます。Mixture に関する候補点の集合をご覧ください(画面ボックスの左上の Mixture タブ)。ここには、Cornell が選んだ点よりも多くの点が含まれています。この問題を修正するには、Axial check blends Interior check blends のチェック項目を無効にします。これにより、現在チェックされているのは、Vertices、Centers of edges、Overall centroid の3つのみとなります。”Calculate points” をクリックして、再計算してみましょう。混合物の候補点の小計は 7 になるはずです。

混合物に関する候補点

 

次に、“Process” タブ(Mixture タブの右側)をクリックして、プロセスに関する候補点の集合をご覧ください。こちらの計画にも、Cornell が選んだ点より多くの点が含まれていますので、Vertices 以外のすべてのチェックを無効にしてください。

プロセスに関する候補点

 

現在、プロセスの組み合わせの小計は 8 となっているはずです。混合物の候補点 7 と組み合わせると、合計の試行(点)数は、56 となります。

 “Next” をクリックして、応答指定フォームを表示します。応答の名称に「Ave Texture」を、単位には「gm*10^-3」をそれぞれ入力してください。

応答の名称と単位の入力

 

“Finish” をクリックしたら計画は完成です。Design-Expert には、試行数 56 の実験が無作為な順序で表示されているはずです。

 

結果の分析

応答データを表示することにしましょう。“Help” -> “Tutorial Data” をクリックして、“Fish Patties” を選択します。次に、画面左側の “Design” ノードをクリックします。

 結果の応答データをざっと確認してください。このうち 2 ~ 3.5 の範囲内にある結果が望ましい値となります。

 データを分析するには Analysis ノードの “Ave Texture” をクリックします。その後 “Fit Summary” タブをクリックします。これで、独自の確率行列が表示されます。これにより、混合物をプロセスに関する最適なクロスモデルを決定することができます。以下のように最適な組み合わせが提示されます―この場合、2次(“Q”)混合モデルと線形(“L”)プロセスモデルの組み合わせが提示されています。

推奨されるモデル:2次(混合物)と線形(プロセス)の組み合わせ
注意: Fit Summary テーブルに表示されているこの計画の組み合わせの sequential p-value (逐次型 p-値) を解釈する方法に関する詳細につきましては、Stat-Ease 社『Handbook for Experimenters(Design-Expert のすべてのユーザーに無料で提供しています)』の中の “Combined Mixture/Process Analysis Guide” と題する章をご参照ください。トライアルユーザーは、リクエストに応じて利用できます。

それでは、画面上部にある “Model” タブをクリックしてください。Design-Expert では推奨されたモデルがデフォルト指定で使用されます。今はこの内容を受け入れて、次の “ANOVA” ボタンをクリックしてください。多くのモデル項、とりわけ3次の項(例えば ABF 項)については、Prob>F の値が高くなっています。これは、混合物とプロセスの2つのモデルを組み合せることで生じる副産物で、余分な高次項を多数生成してしまいます。このような計画を分析する場合、階層構造を維持するための条件に従いながら(親項のない交互作用は認めません)、有意な項のみにモデルを削減していくのが、有益であることがよくあります。

初めのANOVA(モデル削減なし)

 

モデルを減らすため Model に戻ります。ANOVA で観測された有意でない項を、手動で選択し除外していくこともできますが、Design-Expert を使用する方が迅速です。これを行うには “Auto Select...” ボタンをクリックします。それから “p-values” に基準を変更します。統計的基準は適切さを他の計画と比較するスコアボードのようなものです。ここでは p 値を比較しています。次に Mode の選択を “Backward” に変更します。

Auto Select...ボタンからp-valuesと、Backwardを選択

 

この指定によって Backward(stepwise)アルゴリズムを使って自動的にモデルを削減できるようになります。除外する基準は Alpha フィールドで指定された確率値 0.1000 です。“Start” をクリックしてください。後退的選択法によって削除された項の概要が表示されます。“Accept” をクリックして選択したモデルで次に進みます。“ANOVA” タブをクリックしてこれを評価します(以下参照)。選択したモデル内のすべての項が、有意なp値(<0.05 アルファレベル)であることに注目してください。

後方モデル削減で除外された項を表すレポート

 

ANOVA の表には、削減されたモデルが極めて有意な F 値(p 値 < 0.0001)を生成していることも示されています。“Fit Statistics” ペインに移動します(場所はペインのレイアウトにより異なります)— すると、とても良い結果が示されました。

クロスモデルの分散分析 (一部のみ表示)

 

Diagnostics” タブを押して、残差のグラフを確認します。

残差の正規プロット:結果は良好です

 

残差の正規プロットの結果は良さそうですので、次に、Model Graphs に移動して混合(三角)空間に置かれた応答を見てみましょう(スクリーンショットのレイアウトと一致するように、青いレイアウトのアイコンを使用します)。

組み合わせ計画の混合物に関するモデルグラフの等高線プロット表示

 

Graphs Tool で、様々なプロセス因子をマウスでクリックしたり、掴みながら、それらの値を変更させ、それに応じて応答がどのように変化するかを見てください。例えば、プロセス因子のスライドバーを3つとも右端に移動させるとグラフは以下のようになります。

プロセス因子のスライドバーをすべて最大水準にした時

 

Mullet(三角形上部)が 100% のところで、色温度が高くなっており、食感の増大をあらわしている点に注目してください。

 次に、Factors Tool の D:oven temp と表示されている箇所を右クリックして、“X2 axis” を選択してみましょう。以下に示すように、グラフ表示はプロセス(四角形)空間に変わります。

表示をプロセスに変更

 

次に、座標を元の混合物に戻します。Factors Tool にリストアップされている A:mullet を右クリックして “X1 axis“ を選択してください。

混合物空間に戻す

 

Graphs Toolbar にある “3D Surface” をクリックして 3D 曲面を表示してください。A-B 軸に強い傾きがある点に注目しましょう。

混合物の 3D 表示

 

次に、3D Surface Mix-Process に進みましょう。こんなプロット、恐らく今までに見たことがないのではないでしょうか!

2つの混合成分と1つのプロセス因子の3Dプロット!

 

このグラフは、成分 A(mullet)と成分 B(sheepshead)の2つの混合比の変化を示す軸と、プロセス因子 D(オーブンの温度)を示すもう一方の軸を組み合わせることで、応答に対する影響を表しています。これは、すごいことです!

 更に関心があれば、別の混合成分とプロセス因子の組み合わせを2D 等高線図や 3D プロットで探索してみてください。なお、食感が 2 ~ 3.5 の範囲より外にあるものは許容できないことを忘れないでください。

 

最適解の検索

この実験プログラムの最終目標は、食感が 2.00 ~ 3.50 x 10-3 グラムの範囲内にあるフィッシュ・パテの調理方法を突き止めることです。目標値は 2.75 です。それでは、配合比と調理法の最適な組み合わせを見つけることにしましょう。Optimization ノードの “Numerical” ラベルをクリックしてください。表示されたリストから “Ave Texture” を選択します。Goal には “target->” を選択し「2.75」と入力します。Limits については、Lower に「2」を、Upper に「3.5」を入力します。Weights と Importance の設定はデフォルトで指定された水準のままにしておきましょう。現在の設定画面は以下のようになっているはずです。

食感に関する最適化の基準

 

“Solutions” タブをクリックして解を表示したら、Solutions Toolbar にある “Ramps” をマウスで選択してください。ドロップダウンメニューのリストに、多数の解が並んでいる点に注目してください(最適化アルゴリズムの無作為性により、実際に画面に表示される解の数は多少変動する場合があります)。ソフトウェアはこの中からデフォルトで最も望ましい解を指定します。

最適化された食感に関する多数の解のひとつ(結果は異なる場合があります)

 

2番目の解から順番にクリックしていってください。食感に求められる要件を満たす組み合わせが表示されます。次に “Graphs” をクリックすると、望ましさと Ave Texture のグラフを横並びで表示するマルチレスポンスグラフが現れます。Solutions バーのドロップリストから “Desirability” を選択して、その応答に焦点を合わせます。次に、Graphs Toolbar から “3D Surface” を選択します。グラフ上にカーソルを移動し、ポインターが手の形(または十字線)に変わったら、マウスの左ボタンを押しながらグラフを掴み、以下に示すように見やすい角度に回転させてみましょう。

望ましさの3D表示(結果は異なる場合があります)

 

注意: その他の望ましさも表示して探索してみましょう。なお、Factors Tool 上のプロセス因子のいずれかを右クリックすれば、プロセス空間でグラフを作成できることを覚えておいてください。

 

モデリングと最適化の作業内容を保存するには、“File” -> “Save” の順に選択するか、または  アイコンをクリックしてください。