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一例としては、雪崩の内部構造と流動機構の解明を目的として次のような調査を行いました。
これらによって流れ層内部の速度分布や雪煙部の乱流構造などを解明しています。
これまでに日本で開発された雪崩の運動モデルは、その多くが雪崩全体を平均化し、質点または剛体と見なして記述するものでした。最大到達距離や速度が再現されるよう抵抗係数等のチューニングが進められてきたが、雪崩の高さ、3次元の地形上での広がりの情報が得られないなど、防災上不充分な点が多かったのです。
実験の例としては、自然条件下での観測の制約を克服するため、スキー競技用ジャンプ台を雪崩実験斜面として利用し、1. 冬季は自然積雪を流下させ、急斜面を流れ下る過程での粒状化・流動化そして堆積という実際の雪崩に見られる全過程を再現する、また 2. 無雪期には最大65 万個のピンポン球を流下させ、3次元粒子流全体の挙動、形態変化、粒子間の衝突など相互作用に着目した測定を行ったりします。
前者は、主に黒部峡谷での雪崩観測等で得られた結果の検討と理解を深める目的で、後者は雪崩を「粒子の集団が重力により、斜面上を空気や底面、それに粒子間で相互作用しながら流れ下る現象」としてとらえたアプローチです。
観測データやモデルデータを3次元の等高線図として視覚化するのに Surfer を使用しています。例えば、図2のような雪崩の運動モデルをアニメーション化するときにも使用しています。
アジア高山地域では、近年の地球温暖化により氷河末端の融解が急激に進み、融け水が15 ~ 19 世紀に形成されたモレーンで堰き止められて、氷河上に大きな湖が多数形成されています。モレーンの構造が不安定であるため、大規模な決壊洪水 (氷河湖決壊洪水:GLOF) が頻繁に発生し、ネパール、インド、チベット、ブータン、パキスタンなどの地域に多大な被害を与え社会経済開発を阻害する大きな原因となっています。
2009 年度には「地球規模課題対応国際科学技術協力事業 (JST と JICA の連携事業) 」として、名古屋大学を代表機関とした「ブータン・ヒマラヤにおける氷河湖決壊洪水に関する研究」が採択され、氷河湖の危険度評価、氷河湖拡大メカニズムの検討、決壊洪水発生時の警報システムの立案、ハザードマップの作成に向けた調査・研究が開始されました。
雪崩の運動のシミュレーション結果を可視化できるソフトを探していたところ、土木研究所に勤務している知人に紹介されました。
いったん使用法に慣れてしまえば使いやすい。
デフォルトの設定を変更して図を作成した際に、その設定を保存して後の作業にそのまま使えると、作業が効率化が一段と期待できます。
私のように DEM を使って数値計算を行う分野では、その結果の可視化に威力を発揮すると考えられます。
(本事例作成に関し、西村教授のご協力に感謝いたします)
(インタビュー:2011 年7 月)