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コーティングデザイン

透明なメタルコーティング

文献、Michael Scalora, Mark J. Bloemer, and Charles M. Bowden, "Metals under a new light", Optics & Photonics News, pp. 23-27 (September 1999).

著者たちは、十分な厚さの金属による、透明なコーティングのデザインと製造について述べています。彼らの文献から引用すると、"透明な伝導フィルムの応用範囲には、風防ガラスに埋め込まれたアンテナ、平らなパネルディスプレー上の電極、電磁遮蔽、ソーラー用窓ガラスが含まれる"とのことです。 彼らのコーティングの一般的な構造は (D M D)^n で、誘電性レイヤーDとメタルレイヤー Mから成る周期的な構造です。 基板はガラス(インデックス = 1.52)です。著者たちは、M を銀(Ag)とする様々なデザインについてのべています。抵抗の低いものを探しているからです。次のグラフは、41レイヤーコーティングの理論上のパフォーマンスで、Dは厚さ36nmのTiO2、Mは厚さ25nmのAg、nは20です。

このコーティングは合計500nmの銀を含んでいるので、顕著な透過率を示します。誘電性レイヤーDの厚さを変えることにより、透過帯をシフトすることができます。また、各誘電性レイヤーの厚さを異なるようにすれば、より多くの光や特別な色の光を透過するように、デザインを最適化できます。D レイヤーのインデックスの変更を許すことにより、このインデックスが増せば透過率が増えます。しかしTiO2は、可視光線を透過する普通の誘電体では最も高いインデックスをもっています。

著者たちが考えるもう一つのデザインは、Dの厚さ36nmのTiO2、Mの厚さ16nmのAg、nが6の、13-レイヤーのデザインです。合計96nmの銀を含むこのコーティングは、次のような高く広い透過率を持ちます。

このデザインを、単純な誘導透過フィルターのスタックとして見ることもできます。スタックの単一D M D ピリオドを考えます。M レイヤーの厚さを選択固定し、単一波長か波長の範囲における最大透過率が得られるように、2つのDレイヤーを計算します。ここで使用した単一Dレイヤーの代わりに誘電性のより大きい複数のレイヤーを使うことにより、一般的に、メタルレイヤーを通して透過が誘導されます。ピリオドnの数が増えるに従い、コーティングに含まれるメタルの量も増えますが、透過率は減ります。基板とスタックの間に2、3レイヤー加えると、透過率が若干増えます。

この種のコーティングの長所はいくつかあります。 高い伝導率、単一パスバンド(もしメタルレイヤーが十分厚いなら)、入射角に敏感でない透過などです。この種のコーティングデザインは新しいものではありませんが(メタル-誘電性コーティングはすでに1950年代に現われている)、新しい様々な用途があります。