バージョン 8 で追加された機能
- 洗練されたインターフェース
- 多構造アニメーション
- 画面から飛び出すカラー 3D
- 新しいファイル形式と高速な読込み
- 格子変換
- 回折のライブリンク
- 高度なビデオ出力機能
- 原子変位 (Atomic Displacement) パラメータ
- ネイティブ Mac サポート
- その他の新機能
洗練されたインターフェース
Mac OS Xで動作する新しい CrystalMaker のインターフェース
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- 合理的な作業を追求したウィンドウ設計
CrystalMaker の大きな特徴は、Site Browser と Notes ペインを一体化した新しい Sidebar と、一般的に使われるショートカット機能を付けた新しいウィンドウツールバーで構成されるエレガントなウィンドウデザインです。
- 全体を見渡すパワー
Overview ウィンドウでは、同一ウィンドウ (Views) 内にある複数の構造、最近使用したファイルやお気に入りのファイル、履歴状態 (Undo) に加え、データの出力や処理中のデータを管理する「ミッション・コントロール」機能を提供します。
- フルスクリーンでの作業
Full Screen モードを使えば作業内容に集中することができます。ツールバーを非表示にして画面いっぱいに構造を拡大表示させることができます。メニューバーとドックの自動非表示機能を有効にすれば、ツール全体の中から必要に応じて適切なパレットウィンドウだけを呼び出すことができます。
多構造アニメーション
Visualize structural behaviour interactively, by animating multiple structures in the same window, and saving to video.
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- 多構造ワークフロー
アクションひとつで複数の構造をシームレスに読込み、処理し、可視化することができます。一連のファイル、または、多構造ファイル (CIF, PDB, XYZ, DL_POLY など) を同じウィンドウにドラッグ&ドロップするだけです。対応する構造が View サムネイルとして自動的に読み込まれると、表示、編集、リネーム、リロード、削除等の操作が可能になります。
- シンクロナイズ
一連の構造の概観をセットアップするには、一番目の構造をセットアップして、Synchronize ボタンをクリックするだけです。モデルタイプ、結合方法、色、レンダリングおよびその他の設定が一連の構造全体に自動的に反映されます。
- アニメーション化
ウィンドウに表示された内容またはお気に入りのファイルから簡単なアニメーションを作成できます。フレームの時間、プレイモード、フルスクリーンオプションを設定できます。アニメーションの内容を編集するには、フレームをクリック&ドラッグして配置を変更するだけです。アニメーションから特定のフレームを削除したい場合は、それらをペインの外にドラッグします。
- ムービーとして保存
納得のいくアニメーションシーケンスができたら、フレームを QuickTime または AVI 形式のムービーに書き出すことができます。研究結果をウェブで共有したり、パワーポイントやキーノートのプレゼンテーションで使用したい場合に最適です。
画面から飛び出すカラー 3D
Red/blue colour 3D stereo image of a DNA strand entwined around a nanotube.
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- 3D カラーグラフィクスを手軽な方法で
CrystalMaker には、これまでも赤/青2色のステレオ・グラフィック機能が装備されていましたが、新バージョンではこの機能を全く新しい水準に引き上げます。グラフィックの枠を超えて見た目を際立たせるだけではありません。鮮やかなカラーでこれらを表示することができます。
高価でかさばる「シャッターグラス」と旧式の CRT モニタは不要です。すなわち、プロプライエタリーな "Cave" グラフィックシステムに予算をつぎ込む必要はありません。いつものように、モダンで消費電力の低い LCD ディスプレイの前に座り、軽量で値段のかからない赤/青のステレオ眼鏡をかけて包み込むような 3D グラフィックを見るだけです。
- プロジェクターで本領を発揮
さらにいいことは、同僚や生徒たちと同じ体験を共有できるということです。ワイド表示のモダンな LCD ディスプレイを使えば、教室にいる誰もが3D映像を体感することができます。セミナーや会議で分子構造を紹介したい場合は、それらを通常の方法でプロジェクターに映し出すことができます。配布するのは赤/青のステレオ眼鏡だけです。記憶に残ること間違いありません。観客が 3D カラーグラフィックのパワーを一度体験したら、自分たちも是非同じ機能を使いたいと思うでしょう。
- 画面を飛び出す体験
Stereo Standout (立体飛び出し表示) 機能では、3D モデルを前後に移動させることができますので、コンピュータ画面からモデルが浮かび上がるように見せることができます。実際、画面から見える距離が遠くなるほど、劇的な印象を受けます。グラフィックをプロジェクターに映し出すとこの効果は歴然です:観客は真の 3D スペクタクル効果を体験することになるでしょう。長鎖分子を回転する際は、観客に頭を伏せるように注意を促してください。
新しいファイル形式と高速な読込み
New file format icons Just some of the new file formats supported by the latest version of CrystalMaker.
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新しいファイル形式
CrystalMaker では、新たに以下の9種類の結晶構造データをインポートできます:
- ATOMS
- DL_POLY "History" files (simulation trajectories)
- GSAS experiment (".exp") files
- Molfile
- SDfile
- VASP (intelligent import of structures & atom types)
- VESTA
- WIEN2k
- XYZ
CrystalMaker で読み込める 20種以上のファイル形式にこれらが加わります。
- PDB 結晶構造
CrystalMaker では、 (必要条件を満たし有効な結晶データをもつ) PDB ファイルを、個別の分子ユニットでなく、完全な結晶構造として読み込むことができるようになりました。
- 高速な読込み
多構造ファイルを持つテキストファイルの同一ウィンドウ内への読み込みが高速になりました。ブラウズやアニメーションがしやすいように、それぞれ個別に表示されます。
- ロバストな CIF ファイル処理
貧弱なプログラムとは異なり、CrystalMaker は、分割データセットのサポート、重複サイト名の取扱い、多サイトの占有など複雑な CIF ファイルでも安心して取扱うことができます。データが大規模 (> 100K atoms) であっても高速に読み込むことができます。
格子変換
A 2x2x2 supercell with a substitutional defect, in the spinel structure. This figure also shows a new, radial-gradient background.
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格子変換
新しく追加された Transform Cell コマンドを使って格子基底を変更できます。貧弱なプログラムとは異なり、CrystalMaker にはユーザーフレンドリーなインターフェースが装備されています。一般的に使用する変換 (例:hexagonal 六方体から rhombohedral 菱面体 への変換など) はプリセットで用意されているのですぐに使用することができます。
高度なオプション:
- 一般行列 (General Matrix) 変換
- スーパーセル (Supercells)
(コンピュータシミュレーションの研究用のインプットとして最適)
- 格子面投影 (Lattice Plane Projections)
(結晶面または界面を簡単な可視化に使用します)
- 可動原点
(選択した原子や空間内の点を移動します)
- Discard Symmetry コマンド
単位胞の内容を保存する際に空間群を ‘P 1’ に変換します。
Molecule-to-Crystal コマンド
周期的でない分子データを周期データや結晶データに変換します。タイリングを要するコンピュータシミュレーションで作業したり、分子データから回折像をシミュレーションする際に役立ちます。
回折のライブリンク
- 結晶から回折像へ – 回折像から結晶へ
CrystalMaker と SingleCrystal をリンクさせることができるようになりました。CrystalMaker で結晶構造を回転させると、それに応じて SingleCrystal の回折像も回転します(その逆も可能です)。
ライブリンクを有効にするには、CrystalMaker の Transform > Single-Crystal > Live Rotation Mode オプションを有効にしたあと、CrystalMaker から直接 Transform > Single-Crystal > New Pattern を使用して回折パターンをシミュレーションします。CrystalMaker に表示されている結晶構造と SingleCrystal の新規ウィンドウがリンクします。
Live Rotation メニューコマンドのチェックを外せば、ライブリンクは無効になります。
高度なビデオ出力機能
- 回転ムービーの保存
CrystalMaker にワンクリックで実行できる Save Rotation Movie コマンドが装備されました。ウェブやプレゼンテーション、または、モバイル装置等で使用できる自己完結型の回転構造を作成するいちばん簡単な手段です。
- ワンステップで実行できる QuickTime VR 出力
CrystalMaker は、ワンクリックでアクセスできる QuickTime VR 出力をサポートします。ユーザー自身で制御できる自己完結型の「バーチャルリアリティ」構造モデルが作成できます。
- Windows AVI ビデオ
QuickTime ビデオのフルサポートに加え、CrystalMaker for Windows では、Microsoft Windows の AVI 形式を選択できるようになりました。Microsoft PowerPoint のプレゼンテーションにビデオを埋め込むのに最適です。
- H.264 ビデオのサポート
CrystalMaker は、ウェブやモバイル装置のための新しいビデオ標準である最新の H.264 コーデックをフルサポートします。H.264 を使えば最低限の帯域でもシームレスでハイクオリティな出力が可能です。
原子変位 (Atomic Displacement) パラメータ
Part of the cubane structure, displayed in CrystalMaker’s "Black-and-White" line-art option, with H atoms shown as small spheres.
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- 熱振動楕円体 (Thermal Ellipsoid) データの編集
全面的に改定された Edit Crystal ウィンドウを使って、等方性 (Isotropic) および/または異方性 (anisotropic) 変位パラメータを編集することができるようになりました。ユーザーはベーシック (座標のみ) からアドバンスド (全データ) の表示設定オプションを使って、データの表示法をカスタマイズすることができます。
- 熱振動楕円体の無効化
結晶構造内の特定サイト (多くは水素原子) の熱振動楕円体の表示を無効にし、それらを小さな球で表示させたいという要望が多く寄せられていました。
Model Options ウィンドウの Atoms ペインのスクロールリストに、熱振動楕円体のチェックボックスが追加されました。チェックボックスをオフにすると、そのサイトでは球がプロットされます。球の半径は、新しく追加された Thermal Ellipsoids Sphere Radius というテキスト編集フィールドを使ってカスタマイズすることができます。
ネイティブ Mac サポート
- Leopard, Snow Leopard, Lion Support
CrystalMaker 8 for Mac は、Mac OS X の最新バージョン (10.5 "Leopard", 10.6 "Snow Leopard", 10.7 "Lion") でネイティブに実行するよう設計されています。ウィンドウ、シート、データブラウザは、新しいシステム機能を利用できるよう更新されています。
- Spotlight
化学構造、密度、セルパラメータ、量、空間群、結晶系またはノートからファイルを検索できます。Finder ベースの検索条件を、たとえば「事前に設定した密度範囲にある "Ca" と "O" を含むすべてのファイル」といった複数の条件を含めるようカスタマイズすることができます。
- Quick Look
Quick Look のサポートにより、お手持ちの新しい CrystalMaker バイナリファイルの内容を表示させることができるようになりました。ファイルアイコンのプレビューをいつでも利用できるうえに、Quick Look を使用すれば、より詳細な内容を確認することができます。
- 最近使用したファイル
File > Open Recent サブメニューを使えば、最近開いたファイルにすばやくアクセスすることができます。リストさせる項目の数はユーザー自身で定義できます。また、Overview ウィンドウの Recent files サムネイルでも最近使用したファイルにアクセスすることができます。
その他の新機能
- 新しい空間群
Edit Crystal ウィンドウにより、型にはまらない単斜晶系 (monoclinic) 空間群を認識し、サポートできるようになりました。ここには a に平行な独自の軸をもつ 29 の新しい空間群と、b と c に平行な独自の軸をもつ空間群が含まれます。また、斜方晶系の「隠れ」空間群も多数追加されました。
- 新しいグラデーション背景
新しいグラデーションシェーディングオプション(線形、反射、ダイアモンドおよび円形)により、モデル表示にプロフェッショナル水準の制御ができるようになりました。グラデーションは、Model Options ウィンドウの Background ペインにあるスライダーコントロールを使ってスケールを変更したり、回転させることができます。また、「プレーン」な背景色でもグラデーションの開始、および終了を個別に選択できます。
- 機能が向上した面/角度計算
選択した原子セットに対する格子面のあてはめにおいて、新しい2段階アルゴリズムが採用されました。View Direction または Calculate Angle ウィンドウで最後に表示された格子面の向きを呼び出すことができるようになりました。これにより、分子結晶内の2つのベンゼン環の角度など、面どうしの角度の計算処理を合理的に実行できるようになります。
- ラベル機能の向上
原子ラベルを互いに重なりあわないよう自動的に配置できるようになりました。この機能は、垂直方向にラベルを調整するフォント・メトリクスの使用によって更に向上します。自動ラベル調整機能に頼らず、選択した原子ラベルをテキストボックスに変換して、個別に編集または移動することで対処することもできます。最終的な出力チェックに役立ちます。
- Ball-and-Stick サイズのカスタマイズ
ボール&スティックの球の空間補填球に対する相対半径、およびボール&スティックの球のプロットに使用する最小半径を制御できるようプログラムの機能をひろげました。このセッティングは、Model Options ウィンドウの Atoms ペインにある新しいテキストフィールドを使って変更できます。
- 回数に応じて前にさかのぼるアンドゥ/リドゥ機能
Mac と Windows 版の両方のアンドゥ/リドゥ機能が、実行回数に応じて複数レベルの状態にさかのぼることができるようになりました。これを使えば、変更した内容を簡単にさかのぼることができます。(もっと簡単に「アンドゥ」を実行するには、Overview ウィンドウの History ペインのグラフィックプレビューを利用することができます。)