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東京薬科大学 情報教育研究センター センター長 森河良太 准教授(生命科学部) 倉田香織 助教(薬学部) 山田寛尚 助教(薬学部) 東京薬科大学 薬学教育推進センター 横島 智 教授(薬学部) |
情報教育研究センターのミッションは「ICT を使いこなす人材の育成と生命科学・薬剤師業界への貢献」です。薬学部と生命科学部の両学部横断的な情報通信技術 (ICT) 教育と、研究を行う全学組織として、本学情報ネットワーク TYCOON の運営・管理と情報教育・情報研究を行っています。
これまでに保険薬局における調剤歴・薬剤服用歴を資源とする調査研究、医療情報システムの開発や、AI による物質探索手法 (SPACIER) の開発等を行ってきました。本学の学生・教職員に対して、サイトライセンスによる各種 ICT サービスの利用提案を行いながら、数理・データサイエンス・AI 教育も進めています。
上記ミッションの一環で、本学の学生は ChemOffice サイトライセンスを用いた情報の授業を履修することができます。
情報の授業は「パソコンの操作法と処世術を学ぶもの」との認識がある中で、情報端末を「Viewer」と捉えるのではなく、役に立つ「情報」を作りあげる「ツール」として活用することを目指して、1 年間、インフォマティクスとデータサイエンスの基礎をじっくりと学びます。中でも、ChemOffice を扱うコマは「薬学部(生命科学部)に来た実感が持てる」授業ということで、学生の人気が高いです。
薬学部生は、1 年次前期に「基礎情報学」「基礎情報学演習I」を、後期に「基礎情報学演習 II」と「計算科学」を履修します。生命科学部生も同様に「情報科学 I、II」を履修します。 この授業内で、ChemOffice を使用しています。 ChemOffice シリーズを扱う 1 回目の演習では、ChemDraw を使って 11 種類の医薬品の構造式を描きます。2 回目は、Chem3D を中心に、構造活性相関の基礎概念を、オピオイド系鎮痛薬を通じて学びます。後期は ①安定コンフォマーの探索、②分子運動の観察、③構造異性体と立体異性体の観察、④生体高分子と医薬品の相互作用における立体構造的要因について学んでいます。最終回は総合演習として、創薬におけるコンピュータの役割とドラッグデザインを取り上げ、医薬品合成の専門家のセミナーを受講してもらっています。 |
生命科学部では創立当初 (1994 年) より、ChemOffice をインストールしたコンピュータ端末を用いた実習を実施しています。薬学部では 2002 年の開講当時は MDL 社の ISIS Draw を使用していました。平成 21 年度「大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラム (GP)」に本学が採択された際に、サイトライセンスを取得して以来、Chem3D を教育内容に加えて、10 年以上継続しています。
授業では BYOD 機へのソフトウェアのインストールとライセンス認証を解説・体験することから始めます。保護者がパソコンの面倒を見る場面が多いのですが、専門ソフトウェアを使いこなせるようになるためには、自分である程度のことができるようになることが大切です。 |
ChemOffice シリーズは、授業スライドの作成や、試験問題の作成、研究発表のスライド作成など、化学を専門としない教職員も含め、日々活用されています。 専門家による利用だけではなく、薬学・生命科学への導入教育に効果的に用いることができる点が非常に大きな魅力です。化学構造式自体が、見えない情報を可視化する手法であるが故に、化学が苦手な大学生にとって、その基礎学習には大きな壁があります。 |
ChemOffice シリーズでは、医薬品の特徴、すなわち「顔の違い」と、それがもたらす科学的な性質や製剤化への影響、生体への作用などを、2 次元と 3 次元、時には 4 次元の表現に切り替えながら直感的に説明・理解していくことができるようです。 |
導入教育に用いる点では、日本語インターフェイスへの切り替えがあると良いと思います。英語といえば、日本語パスへの対応がより柔軟になると有り難いです。 ただ、この程度の英語は、大学生であれば理解してほしいと思っていますので、大きな問題ではありません。
macOS 搭載の BYOD 機を採用している関係で、生命科学部では ChemDraw によるレポート作成の指導が中心となっています。生命科学部生の中にも、医薬品開発に強い関心を持つ学生がいますので、macOS で動く Chem3D があると、共通カリキュラムが可能になり、より本学の特色を生かした授業プログラムが作成できると期待しています。
本事例作成に関し、東京薬科大学 情報教育研究センターおよび薬学教育推進センターの皆様のご協力に感謝いたします。
(インタビュー:2022 年 11 月)
※所属・役職は取材当時のものです。