更新日: 14/04/15

Voxler 2 でのデータ変換

Voxler で 3D モデルを作成した後、もう少しわかりやすくなるように、垂直方向のデータを変換したいときがあります。例えば Z値に比べ XY 値の範囲が広すぎる場合などです。Voxler では、Transform モジュールをデータセットに接続するだけで、それが可能となります。ただし、いつも同じように Transform モジュールでデータが変換されるとは限りません。Voxler のデータ変換は、データセットの中央を原点として、両方向に均等に変換を行います。このため、データセットによって異なる効果が生じます。すなわち、同じ設定で Transform モジュールを適用しても、データセット毎に異なる効果が表われます。

したがって、2つの異なるデータセットに対して同じ効果を与えるには、一方のデータセットの変換を行ったのち、もう一方のデータセットでも同じ効果となる変換倍率を求め、その倍率で変換を行います。

 

ネットワークの設定

この変換の説明のために、地表データ (散布図プロット) とボーリングデータ (散布図プロット) を使用します。File | Load Data メニューコマンドをクリックして、両データセットを読み込みます。インポートの設定は、すべてデフォルト設定のままで行います。データのインポートが終わったら、データモジュール上でマウスの右クリックをし、Graphics Output | Scatter Plot を選択します。どちらのデータも、XY 座標は UTM 座標 (メートル) 、Z 座標はメートル単位です。生成されたプロットは、Z 値の範囲 (=地下に掘られたボーリング穴の深さ) に対して XY 座標の範囲が非常に広いため、平べったいものとなっています。

UTM 座標系のデータを元にして作られた地表とボーリング穴のモデル

 

変換倍率の決定

このモデルをもっとわかりやすくするため、XY データに対して Z 値のスケールを拡大し、釣り合いの取れたサイズに変更します。

  1. まず最初に、使用している両方のデータセットの Z値に関して、基本情報を知る必要があります。すなわち、両者の Z 最小値、Z 最大値、Z 値範囲、Z中央値です。

    1. これらの情報は、Info モジュールを接続すると得ることができます。両モジュール上でマウスの右クリックをし、General Modules | Info モジュールを選択して下さい。
    2. Info モジュールを左クリックして選択すると、Properties ウィンドウの中に Z Limits という項目があります。

      1. Z Limits のボックスには、Z 最小値Z 最大値が表示されています。
      2. Z 値範囲は、両者の差となります。
      3. Z 中央値は、(Z 最小値 + 0.5 * Z値範囲) となります。
    3. Example_Well_Data.csv データのスケール変換倍率を ×10 とした場合、変換後の新しい Z 最小値Z 最大値は、次の式によって求められます。



    4. これを計算するために、Example_Well_Data.csv データで以下の計算を行います。



    5. したがって、求める新しいZ 最小値とZ 最大値は次のようになります。



  2. この変換値を使って、地表データのZ 最小値 (変換後)とスケール変換倍率を求めます。

    1. Example_Surface_Data.csv データの値は、以下のようになっています。



    2. Example_Well_Data.csv データの Z 最小値Z 最小値 (変換後) の比を使って、Example_Surface_Data.csv データの Z 最小値 (変換後) を求めます。




    3. スケール変換倍率を、ステップ 1-c の式を変形して求めます。

 

Transform モジュールをデータに接続

これで準備が整いました。Example_Well_Data.csv データに対しては、Z値のスケール変換倍率は 10 です。Example_Surface_Data.csv に対しては 10.20176 を使用します。以下のように Transform モジュールを接続してください。

  1. Network ウィンドウで、データモジュールを選択して下さい。
  2. マウスの右クリックをして、Computational | Transform を選択します。
  3. Transform モジュールの右端に付いているコネクタをクリックし、Connect Output Data を選択して対応する ScatterPlot モジュールに接続します。
  4. Transform モジュールをクリックします。
  5. Properties ウィンドウで、Scale のセクションを開いて下さい。
  6. Z のボックスに、ボーリングデータの場合は 10、地表データの場合は 10.201768 を入力して下さい。
UTM座標系のデータを元にして作られた地表とボーリング穴のモデル

 

変換ポイントの移動

地表とボーリング穴の状態が、よりわかりやすくなりましたが、位置がそろっていません。これは、Z値の中央値を基準にしてスケールの変換を行っているためです。正しい位置に修正するために、さらに以下の操作が必要となります。

  1. Example_Surface_Data.csv データの Z値に関して、以下の調整を行います。

    1. Ztransform = (Zcenter - Zreference) * (Zscale - 1)
      
      ここで 
      Zcenter = 変換後のZ 中央値 (地表データ)
      Zreference = 基準にするZ   中央値 (ボーリングデータ)
      Zscale = スケール変換倍率
      Ztransform = 位置を揃えたときのZ値 (求めたい値です)
      
      Ztransform = (718.7558045 - 714.2318237) * (10.201768 –   1)
      Ztransform = 4.5239808 * 9.201768
      Ztransform = 41.6286217580544

    2. Network ウィンドウで、Example_Surface_Data.csv データに接続されている Transform モジュールを選択して下さい。

    3. Pproperties ウィンドウの Translation セクションを開き、Z のボックスに 41.62862 を入力します。

これでボーリング穴と地表がそろいました。

UTM 座標系のデータを元にして作られた地表とボーリング穴のモデル