2分析を実行する
Performing an Analysis

  1. 分析を実行する
  2. 当てはめラインの範囲を変更する
  3. Fit Status (当てはめのステータス)
  4. Ki の計算
  5. 方程式に定数を設定する

 

1. 分析を実行する

分析を実行する手順は非常にシンプルです。ワークシートのデータフォーマットで説明したように、お持ちのデータをワークシートに配置します。このワークシートを開いて、Ligand マクロを実行します。このマクロが Toolbox メニューにインストールされていれば、メニューを選択するだけです。選択した方程式に応じて最大4つのオプション、すなわち、データの反復数 (No. Replicates)、使用する方程式 (Equation)、競合薬剤の平衡解離定数 Ki の計算 (Ki from EC50)、および、当てはめラインのカスタム範囲の選択 (Fit line range) が表示されます。

OK をクリックするとデータの分析が始まります。使用するデータを含むノートブックに2つのセクションが作成されます。

最初の ‘competition study’ は、お持ちのデータのワークシートが含まれているセクションです。その後に追加された2つのセクション ‘Graph for competition study’ と ‘Fit results for competition study’ は、Ligand によって作成されたものです。画面に表示されるグラフは、上記ノートブックの ‘Graph Page 1’ に該当します。

 

2. 当てはめラインの範囲を変更する

当てはめラインの範囲は、使用するデータの範囲になるようデフォルトで設定されています。この範囲は、ダイアログボックスの Automatic Range チェックボックスを解除して、該当する X 値の最小値と最大値のいずれかまたは両方を入力することによって変更することができます。

‘Fit results for competition study' セクションの ‘Data 2’ と表示されているワークシートは、Ligand によって生成されたレポートです。以下に示すのは、このレポートの最初の3つの化合物に関する結果です。

 

3. Fit Status (当てはめのステータス)

レポートに表示される当てはめのステータスメッセージは以下の3つです。

ステータス 意味する内容
Converged 曲線のあてはめが問題なく収束したという意味です。
Did not converge 一般に反復計算の最大数 (200) を超えた場合に表示されるメッセージです。このアルゴリズムで改善が見出せない場合にも表示されることがありますが、これは希なケースです。
Fit algorithm failure 最初の反復計算で当てはめ関数を評価できない場合やオーバーフローした場合に表示されるメッセージです。

 

4. Ki の計算

競合研究 (competition study) の最終目標は、受容体 (receptor) の競合薬剤 (competing drug) に対する親和性 (affinity) を求めることです。この親和性は、平衡解離定数 Ki と逆相関の関係にあります。競合薬剤の親和性が高く、受容体と強く結合するほど Ki の値は小さくなります。Ki は、放射性リガンドを除けば、競合薬剤と受容体との結合が最大となるときの半数における競合薬剤の濃度として定義されます。競合研究は放射性リガンドの存在下でおこなうため、Ki の計算では放射性リガンドが必ず考慮されます。Ki が測定される EC50 と関連するのは明らかですが、放射性リガンドの濃度 [ligand] と Kd によって測定される放射性リガンドの親和性とも関連します。放射性リガンドの濃度が高いほど、競合薬剤となる放射性リガンドが増えるために EC50 は高い値にシフトします。同じ理由から、放射性リガンドの親和性が高いほど (Kd が小さいほど)、EC50 は高い値にシフトします。Ki と EC50、放射性リガンドの濃度、および、放射性リガンドの親和性の関係は、Cheng and Prusoff (2) により次式で近似されます:

Ligand マクロではこの方程式を使って Ki を算出します。放射性リガンドの濃度 [ligand] と放射性リガンドの Kd については、過去の実験で求めた値を Ligand マクロのダイアログに入力するだけです。

この Ki 算出オプションは、パラメータに対数を使う全ての方程式 (log-parameter) に用意されます (詳しくは、対数パラメータを参照)。

 

5. 方程式に定数を設定する

使用する方程式のパラメータの値をある定数に固定したい場合があります。例えば、競合曲線の最大値を 100 に固定するような場合です。Ligand マクロでこれを行うには、使用する方程式に必要な修正を加えて方程式を新規作成します。詳しくは、既存の方程式を編集するの例をご覧ください。