7.1 解析における追加ディスクスペースの使用について

Gene Inspector は、非常に規模の大きなシーケンスでも取り扱うことができるよう開発されていますa。これはヒューマン・ゲノム・プロジェクトで得られる成果を見越して設計されたものです。他のシーケンス解析パッケージの多くは、その取扱いが、お持ちのコンピュータの RAM (メモリ) 容量に依存するという制限があります。お使いのメモリ環境よりも大きなシーケンスで作業を実行するには、解析処理の進行と同時に、シーケンスをディスクに保存したり、テンポラリデータをディスクに保存する必要があります。ドットマトリックス (Dot matrix) や大域的シーケンス整列 (global sequence alignment) など、解析の中には非常に大きなディスク空き容量を必要とするものもあります。解析処理中のファイル保存に RAM スペースではなくディスクスペースを使用することで、Gene Inspector で行う解析の中には、他のプログラムと比較して処理速度が見劣りする結果になるものもあります。処理速度を優先するか、大規模シーケンスを処理できるようにするかは、トレードオフの関係なのです。

a. Gene Inspector で解析できるシーケンスのサイズに制限はありません。お使いのディスク容量にのみ依存します。

Gene Inspector では、作業用テンポラリファイルが GI Data フォルダ (の中の Scratch Data というフォルダ) に保存されます。この GI Data フォルダは、Gene Inspector と同一のフォルダに存在する必要があります。解析の実行中、全てのテンポラリファイルは、Scratch Data フォルダに保存されます。Gene Inspector がインストールされているディスクに充分な空きディスク容量があれば、容量の限界に遭遇することはありませんが、大規模シーケンスを使って解析を実行する場合は、ディスクスペースが足りなくなることがあります (例えば、それぞれ 5,000 文字からなる2つのシーケンスをドットマトリックスで比較する場合、データストレージに 25 メガバイト以上必要になります)。充分なスペースを利用できるボリューム (ディスク) が別にある場合は、そのスペースをスクラッチデータに利用することができます。ここで言う追加ボリュームとは、リムーバブルメディアドライブ (SyQuest, Zip, CD-RW, など) や、固定接続されたその他のハードディスクドライブを指します。

Gene Inspector では、新規スクラッチボリュームに Scratch Data フォルダを作成し、その Scratch Data フォルダへのエイリアスを作成することで、新規「スクラッチボリューム」を使用するよう指定することができます。これを行うには以下の手順に従います:

  1. GI Data という名称のフォルダを選択してそれを開きます。Gene Inspector アプリケーションと同じフォルダにあります。

  2. Scratch Data という名称のフォルダ (GI Data フォルダの中にある) にカーソルを置き、スクラッチボリュームb として利用したいボリュームにそれをドラッグします。
    b. スクラッチボリュームには、解析で使用するテンポラリファイルに見合う充分なハードディスク空き容量が必要です。デスクトップにマウントしたリムーバブルメディアディスクを含む任意のローカルディスクを使用することができます。リモートファイルサーバーのボリュームは、大容量データをスクラッチフォルダに送受信するのに非常に時間がかかるため使用しないでください。

  3. オリジナルの Scratch Data フォルダをゴミ箱にドラッグして削除します。これを行うと、GI Data フォルダの中に Scratch Data は無くなります。

  4. 新規スクラッチボリュームに配置した Scratch Data フォルダを選択 (1回クリック) します。

  5. File メニューから Make Alias を選択して、新しい Scratch Data フォルダのエイリアスを作成します。“Scratch Data Alias” という名称のエイリアスができるはずです。

  6. 新規スクラッチボリュームに作成した Scratch Data Alias アイコンをオリジナルの GI Data フォルダ (Gene Inspector アプリケーションと同じ場所にあるフォルダ) にドラッグします。

  7. 先ほどステップ6で GI Data フォルダに移動したエイリアスの名称を “Scratch Data” に変更します。GI Data フォルダには、新規スクラッチボリュームの Scratch Data フォルダへのエイリアスとなる Scratch Data アイコンがあるはずです。これで、Gene Inspector は、新規スクラッチボリュームの Scratch Data フォルダを利用して、解析中のテンポラリファイルをそこに保存できるようになります。

  8. スクラッチボリューム残った “Scratch Data Alias ” は不要ですので削除してください。

設定を元の状態に戻し、テンポラリデータをスクラッチボリュームで使用するのを止めるには、GI Data フォルダからこの Scratch Data エイリアスを削除するだけです。Gene Inspector を再起動すると、解析で使用するための新規 Scratch Data フォルダが作成されることになります。