5. おわりに

数値計算による最適化とグラフによる分析の2つをうまく組み合わせることで、物事の本質を見抜く大きな力がいかにもたらされるかをご理解頂けたかと思います。多数の応答に関する多数の成分を調査する際には、数値計算による最適化が必要不可欠なものとなります。しかし、問題の背景にある知識を考慮せず、最適化をコンピュータのみで行おうとしても満足のいく結果を期待することはできません。

例えば、現状を全く把握していない人なら、実際には全くあり得ない最適化の基準を設けてしまうかもしれないからです。その結果、あらゆる点で望ましさはゼロになります!これを回避するには、許容範囲を広く設けてみることです。そして、因子水準の変更が応答にどのような影響をもたらすのかについての知識を得るにつれて、範囲を絞り込んでいきましょう。多くの場合、複数の応答に関して条件を同時に満たす「最良の」因子水準を見つけるには、複数の道筋を用意する必要があります。

 Design-Expert を使うことで、複数の成分が複数の応答に与える影響の違いを探索することができます。望ましさを最大限にする解を素早く見つけるには、数値計算による最適化を使用します。最終報告書にまとめるには、最適条件の「スライス」を重ね合わせたグラフ化されたオーバーレイプロットを使用します(成分それ自体に対しても目標を設定できることを忘れないでください。例えば、この事例では、価格の安い水の量を最大にするのが賢い選択になるかもしれません)。

混合物の設計方法の詳細については、「Mixture Designs for Optimal Formulations」というタイトルのワークショップにご参加ください。最新のスケジュールについては、www.statease.com のトレーニングリンクにアクセスしてください。

 

追記:コスト計算式の追加

上記のコメントにもあるように、この事例では、価格が最も安い原料(この場合は水)の最大化を検討することをお勧めします。逆に言えば、配合の調製に非常に高価な原料が含まれている場合、そのような原料は出来る限り減らした方が良いのは明らかです。こうしたコストは、Design-Expert の数値計算による最適化の応答のひとつとして、わずかな手間をかけるだけで組み入れることができます。

再び “Mix-a.dxpx” ファイルを開いてください。ツリー構造の Design ブランチで、最後の応答の列を右クリックします。メニューから “Insert Response” -> “After This Column” を選択します。

新規応答の挿入

 

次に、新規応答列のヘッダーを右クリックして “Simulate” を選択します。それから “Use equation in analysis” を選択してください。

コスト計算式の入力準備画面

 

“Next” をクリックし、Response Name には「Cost」 、および Response units には「$/kg」と入力します。次に、所定の領域に「.5b+.2c」と入力してください(1キロあたりの価格がアルコールは 0.50 ドル、尿素は 0.20 セント を表します- 水は実質的にコストがかからないものと仮定します)。

コストの計算の式を入力

 

“Finish” をクリックして計算式を決定し、この混合計画におけるすべての配合のコストを計算します。これらをより見やすくするには、Response 3 列のヘッダーを右クリックして “Edit Info” を選択し、ドロップダウンリストの Format を “0.0” に変更します。そして、“OK” をクリックします。

コストの書式指定

 

それでは、ツリー構造の Analysis ブランチ下の “Cost” ノードをクリックして、コストに関するモデルグラフを直接表示することにしましょう。結果を予測できる決定論的計算式を既に入力してあるので、モデルを構築する必要はありません。

コストに関する等高線プロット

 

水は価格が非常に安いため、青で表示されています。

 複数の応答最適化に、コストを組み入れる準備がこれで整いました。以下の図に示すように、Optimization の “Numerical” ノードに移動し、そこで “Cost” を選択したら、Goal を “minimize” に指定してください。

コストの最小化指定

 

この段階で Solutions ボタンを押すわけですが、結果はもう分かっています:指定された制約条件の範囲内で水の量が最も多いときに、コストは最も低くなります。もし関心があれば、Viscosity と Turbidity についても POE の目標を入力し直してみてください。ただし、さしあたり、ここでは行う必要はありません。現実に混合計画を実施したときは、この追記で紹介したチップスを利用して、コストを考慮に入れてください。