1. 応答曲面の計画と分析

このチュートリアルでは、Design-Expert® ソフトウェアにおける応答曲面法(RSM)の使い方を学びます。この種の計画が目的とするのはプロセスの最適化です。演習ではその実情が掴めるよう具体的な事例をとりあげます。

 取り急ぎ、計画と RSM の解析の要点を知りたい場合は囲み内のセクションをすべて飛ばしてください。ただし時間ができたら、これら補足情報をよく確認することをお勧めします。

より基礎的な機能について: なお、このチュートリアルでとりあげる事例の特殊性から、RSM に役立つ機能のうちここで紹介できるものには限りがあります。それ以外の多くの機能は以前のチュートリアルで使用されていますので、そちらがまだお済みでない場合は、このチュートリアルを開始する前に確認してみてください。

 

RSM の統計学的背景については既に良くご存じであることを前提とさせていただきます。このテーマに適した入門書としては、RSM Simplified (Anderson and Whitcomb, Productivity, Inc., New York, 2005) があります。RSM に関する概要および Design-Expert によるその使用法については、オンライン Help システムを通じて検索することも可能です。RSMの実用的な知識を得るには、プロセス最適化の応答曲面法ワークショップに参加することをお勧めします。 Stat-Ease社に電話するか、Webサイト(www.statease.com)にアクセスしてスケジュールを確認してください。

このチュートリアルで取り上げる事例は、化学物質の製造に関するものです。もっとも重要な応答は次の2つです (アルファベットの "y" で指定します) :

この実験では、調査対象として3つのプロセス因子が選ばれました。以下のテーブルにそれらの名称と水準を示します。

応答曲面の調査に選んだ因子
Factor Units Low Level (-1) High Level (+1)
A – Time minutes
40 50
B – Temperature
degrees C
80 90
C – Catalyst
percent
2 3

 

これから、中心複合計画(CCD)と呼ばれる標準的な RSM 計画を使用してこの化学プロセスの調査を行います。これは二次曲面の当てはめに適した計画で、通常はプロセス最適化で良い成果をもたらします。

CCD の構成について: この CCD の3因子の配置を図で表すと以下のようになります。核となる要因が立方体の頂点として構成されており、コード化した2つの構成単位(上記テーブルに記載した -1 から 1 )が向かい合う面の距離となります 。星印は軸点をあらわします。立方体からこの軸点をどれだけ遠ざけるべきかは、統計学者間で大いに議論される問題ですが、コード化された因子水準を尺度とするこの距離は「α(アルファ)」と呼ばれます。これから順次見て行きますが、Design-Expert には α に関する様々なオプションが用意されています。
3因子の中心複合計画

この実験は、次に示す2つのブロック (区画) を2日にわたって実行するものとします:

  1. 12回の試行:8つの要因点に4つの中心点を追加したもの
  2. 8回の試行:6つの軸点 (星印) に更に2つの中心点を追加したもの