1. はじめに

実験プログラムの初期の段階で、その全体像を一度に描き出そうとするあまり、既知の因子をすべて盛り込んだひとつの包括的な実験を、計画したくなる誘惑に駆られる人がいるかもしれません。しかし、これを計画するには重要な因子が何であり、その最適水準が何であるかを完全に特定し得ることが前提となります。これよりも危険性がずっと低く効率的な代わりになるアプローチがあります。それは、規模の小さな実験を逐次的に構成していく方法です。小規模な実験を複数行い、その都度結果を評価することを通じて、次にどのような実験を計画すべきかが、自ずと明らかになってきます。途中で除外される因子もあるでしょう。逆に追加される因子もあるでしょう。そして、求める水準は少しずつ最適な範囲に近づきます。

逐次的な実験の構成要素を用意するには、実験を細かく分割するのがよい選択です。実験の分割には、Plackett‐Burman 計画法を使用する方も多いですが、このチュートリアルでは標準的な2水準アプローチ、すなわち、Design‐Expert® に用意された “Min Run”(最小試行)オプションを使用します。いずれのアプローチを採用するにせよ、分解能の低いこのような計画から導き出される効果をどのように解釈していいか分からず困惑する人がいるかもしれません。特に問題となるのは、主効果がもっともらしい2因子の交互作用でエイリアス(別名)化される場合です。もしそのような問題が起こる場合、折り重ねを計画し、実験を追加試行することによって、交絡の削除を期待できます。この技法は、元の計画行列に新たな部分行列を付け足すものです。

これから議論する折り重ね計画でできるのは次のことです:

Design‐Expert の “Foldover” 機能は、どちらの折り重ねタイプでも、必要な計画ポイントを自動的に追加します。