1. はじめに

このチュートリアルでは、Design‐Expert® ソフトウェアで2水準完全実施要因計画を取り扱う方法を紹介します。2水準完全実施要因計画とは、多数の因子から重要な少数因子をしぼりこむのに役立つ計画です。急いでいる場合は、囲み内のセクションを飛ばしてください。これらは、さらに時間をかけて詳しく学びたい人向けの補足的内容となっています。

プログラムの基本機能について: このチュートリアルを始める前に、まず「一元配置実験」チュートリアルを確認してください。そこの説明で紹介した機能については、ここで詳しく説明しません。

 

これから分析するデータは、Douglas Montgomery の著書『Design and Analysis of Experiments』(出版:John Wiley and Sons, New York) からの引用です。ウエハー・ボード製造業者は、ろ過工程の加工助剤にホルムアルデヒドを利用しますが、この濃度を出来るだけ速やかに軽減する必要があります。これを怠れば、取締官によって操業停止に追い込まれてしまいます。工程技師は自らどのような選択肢を取るべきかを系統的に調べるために、濃度 (Concentration) を含む主要な因子について、2水準完全実施要因計画を実施します。濃度因子には現行の水準と規制条件を満たす低水準の値が設けられます。

完全実施要因計画のための因子と水準
Factor Units Low Level (–) High Level (+)
A. Temperature deg C 24 35
B. Pressure psig 10 15
C. Concentration percent 2 4
D. Stir Rate rpm 15 30

 

実験者は上記で設定した工程の組み合わせに基づいて、それぞれのろ過速度(filtration rate)を記録しました。この実験の最終目標は、ろ過速度を最大化しながら、ホルムアルデヒド(因子 C)の濃度をできるだけ低く抑える条件を見つけ出すことです。この事例では、Design‐ Expert が提供する2水準要因計画の機能の多くを実習します。チュートリアルが終わる頃にはきっとパワーユーザーになっているでしょう。それでは、出発しましょう!

変更困難な因子(温度など)の場合: 実験における試行の順序は完全に無作為化されているのが理想的で、Design-Expertではこのレイアウトがデフォルトとなっています。 一つあるいは複数の因子をすぐに変更するのが非常に困難でこれに対応できない場合は、分割法を選択してください。 ただし、無作為化で制限されるようになる因子の統計的検出力が、減少することに留意してください。 分割法に着手する前に "機能ツアー" を参照して、Design-Expert でこうした実験を行う際のおおよその手順と、効果の選択で注意すべき点を理解しておいてください。