FATなしの複数因子実験計画

Mark J. Anderson
Stat-Ease, Inc.

その1 (実験手法からFAT (Fact-at-a-time) を取り除く) で OFAT (one-factor-at-at-time) に対して複数要因実験計画 (DOE: design of experiments) が有利であることを説明しました。ここでは、2水準因子 DOE がどのように革新的な相互作用を明らかにするかを、例を用いて説明します。

あなたの会社の IT 部門がすべての社員の VDT (パソコン用ディスプレイ) を管理しようとしているとします。IT 部門は、読みやすさを最大化するために、すべてのディスプレイの色とフォントを統一しようと決めました。その実験のために会社の社員の中からランダムに3名が選ばれました。実験対象者は以下の因子のすべての組み合わせをランダムに示されました:

  1. 前面色 – 黒または黄
  2. 背景色 – 白またはシアン (青系の色)
  3. フォント – Arial または Times New Roman (TNR)

単語30個 (単語は毎回異なる) を読む時間 (秒) を示したものが表1です。P1、P2、P3 がそれぞれの対象者です。

表1:VDTの2水準因子計画の結果
Std A:
Fore
B:
Back
C:
Type
P1
sec
P2
sec
P3
Sec
1 black white Arial 3.9 4.9 4.5
2 yellow white Arial 6.4 7.0 6.8
3 black cyan Arial 6.1 8.1 7.7
4 yellow cyan Arial 4.8 6.2 5.0
5 black white TNR 6.2 6.7 6.5
6 yellow white TNR 8.4 8.5 8.9
7 black cyan TNR 8.3 9.1 8.9
8 yellow cyan TNR 7.8 8.0 7.5

個人差を取り除いた後の統計的なプロット (図1) は、次のような顕著な効果を示しました:

他の見積もることが可能な効果 (AC、BC、ABC) は、3つの因子に対する各条件を反復することで見積もられた誤差付きの線 (三角形) で、最も低い効果の最小点、ゼロ付近になります。

図1:効果のプロット

図2は、3つの VDT パラメータに対して、平均的な社員の予測される時間を示したものです。左下の角に注目してください。最も読みやすい画面 (時間が最短) は、前面色が黒 (A-) 、背景が白 (B-) 、フォントが Arial (C-) です。

図2:VDTの読み取り試験で必要とされる予測される時間の直方体プロット

図3はフォント (因子C) と前面色と背景色 (AB) の相互作用の主な効果を図示し、より大きな示唆を表現したものです。これは VDT の読みやすさを理解する鍵となっていることを示しています。

図3:フォントの主な効果 (左) と前面色と背景色の相互作用 (右)

前面色の効果は背景色として選んだ色に依存することが分かります。白い背景に黒い字が最高ですが、IT 部門は青い背景に黄色の文字を選択するかもしれません。しかし、青い背景の黒の文字、または白い背景に黄色の文字を選ぶことはないでしょう。これらは読む時間が最もかかる組み合わせだからです。

OFAT は、ここで示したような単純な2因子相互作用さえ、示すことができません。より洗練された、効率的な複数因子の DOE 手法を習得することで、科学者やエンジニアは革新的な向上を生み出すことができる変数の未知の組み合わせを素早く発見することができるようになります。