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Analytica を使った COVID-19 のモデリング2

COVID-19 のモデリング2:ウイルスは常に季節性があるとは限らない

作成:2020 年 4 月
(本稿はTorsten Röhner 氏の許可のもと、翻訳、掲載しています)
Torsten Röhner / syconomic 社

これは、同僚であり友人である Robert D.Brown III が最初に作成した「COVID-19 のモデリング」をドイツの状況に合うようにいくつかの追加と調整を行ったアップデートです。読者からの素晴らしいフィードバックに基づいて、新しいコロナウイルスの感染に対して、季節性の可能性の影響を含めるようにモデルを更新しました。

このモデルはオープンソースなので、ダウンロードして試してみることができます。ぜひお試しください。この記事の最後にモデルのダウンロードと実行に関する説明があります。

前にも述べたように、モデルを改善する方法について価値のある貢献と提案をしてくれる皆さんに私はとても感謝しています。

さて、以下が私がやったことと、その変更がどのような結果になるかです。

季節性を含める

前回の記事で私が作成した最初のモデルを改善するための提案の一つは「季節性」インフルエンザに似た、新しいウイルスの感染力に季節変化の影響を含めることでした。

一般的なインフルエンザと同様に、夏に感染する可能性を下げる要因があるかもしれません。例えば、ドイツのロバート・コッホ研究所は、季節性の可能性と既存の免疫を考慮した論文を発表しました。

感度分析は、感染の確率が結果に最も影響を与えることを示し、季節性はその要因に直接影響を与えるはずなので、このモデル拡張を最初に行うことにしました。

季節変動をモデル化する方法

私はウイルス学者ではなく、詳しく知ることはできないため、ロバート・コッホ研究所( RKI )が彼らの分析で行ったことに従って実装することにしました。

季節性は正弦波曲線としてモデル化され、年の初めに最大、7月の初めに低くなります。想定される R0=2と約1/3低い値、 R0=1.4(マイナーな季節性)と2/3低い値、Ro=0.67(優位な季節性)で変動します。

このモデルでは、 R0 を入力として使っていないため、季節性を1(季節性のない基本値)から平均50%低い値の間の係数としてモデル化しました。季節性の大きさに関する不確実性を説明するため、モデルの他の不確実な入力と同様に、 Analytica に組み込まれた UncertainLHM 分布を使用しました。

UncertainLHM は、3つのポイント、 «xLow»、 «xMedian»、«xHigh» でスムーズな確率分布を指定するためのシンプルで便利は方法です。デフォルトでは、これらのパラメーターは P10、P50、P90 の値であると想定しています。 PKI によってモデル化された2つの明示的なシナリオを P10、P90 の値として使用し、50% の値を P50 として使用しました。

次に、この大きさを Sin(または Cos)関数に適用しました。

ご覧の通り、モデルの2つのバージョン( No Seasonality と With Seasonality )を並べて比較できるように、 Seasonality 変数をテーブルとして設定します。

結果は、冬に値1 でピークに達し、夏に底を持つ綺麗な正弦波であり、そのため年間の感染率が低くなります。

Sin 関数の大きさは不確実な変数であるため、 Mid 値の周りに確率の範囲があり、不確実性の範囲を示しています。

また、 Change Log モジュールに記載した、いくつかのマイナーな変更を行いました。

季節性は結果にどのように影響するか

予想されるように、感染性の季節的減少は結果に大きな影響を及ぼします。だからこそ、私は新しいコロナウイルスがこの点で、一般的なインフルエンザと変わらないことを個人的には望んでいます。。。

以前の結果と、季節性が含まれる場合に何が起こるかを比較してみましょう。

最初に前の記事で説明に使った特定のケースの健康状態シミュレーションを見てみます。

季節性がない場合、次のようになります。

季節性がある場合、図はかなり異なります。

予防接種も治療法も見当たらなければ、人口の大部分が最終的に感染するのを避ける手段はありません。しかし、ご覧の通り、曲線ははるかに右に押し出されており、治療薬の開発やその他の潜在的な画期的な進歩のための時間を提供しています。

特に、同時に「急性疾患」の症例の山がはるかに平坦化、伸長されるため、医療システムへの潜在的な負担が大幅に軽減されます。

両方の曲線の予測値は、ドイツの ICU ベッド数 30,000 の(楽観的)キャパシティをまだ上回っています。

以前の季節性がないモデルの場合、社会的分離を30日間75%削減状態(つまり、ドイツの公共生活を通常の25%に抑える)を維持するケースでは、 ICU ケースを5月末までキャパシティ以下に保つ(オレンジのカーブが赤い線と交差する場所)確率は 50/50 でした。

もし、コロナが私たちに好意を示し、インフルエンザのようにふるまう場合、同じ NPI 制度の下で 3ヵ月間のチャンスができ、ドイツでは 9月の初めまでの時間を得ることができます。

現在(2020年4月上旬時点)の社会的分離措置(75%が現実的な数であると仮定しますが、私は実際には懐疑的です)を 90日間延長すると、さらに 2ヵ月半も伸びるため、ほぼ年末に達します。

さらに重要なことは、キャパシティを超えないという P90 の値は7月末まで後ろになるため、90%の確率で「節約を続ける」ことができることになります。

50%の分離レベルを 90日間維持した場合でさえ、10月上旬まで50/50の確率があり十分かもしれません。。。

モデルの入手と使用方法

モデルはオープンソースです。実行するには次の手順に従ってください。

  1. Analyticaをまだインストールしていなければ、 Analytica (または無料版の Analytica Free 101 )をインストールしてください。
  2. モデル COVID19_Model_20200408.ana をダウンロードしてください。
  3. Analyticaを起動し、「 Open Model 」でモデルファイルを選択してください。

Analytica Free 101 エディションから、モデルのすべての結果を計算、参照することができ、入力値を変更して結果を再計算することができます。また、モデルのすべての内部の計算を参照できます。これだけで、モデルの予測を見たり、理解するのには十分です。入力の変更だけでなく、モデルの拡張または変更に関心がある場合は、 Analutica Professional (またはそれ以上)のライセンスが必要です。

モデルを開くと、左側に入力があり、右側に主要なモデル出力があるダッシュボードが表示されます。

「Calc」または「Result」ボタンをクリックすると、結果を計算、表示できます。結果のほとんどは確率的予測です。結果を表示するときに、ピボットして結果をさまざまな方法で確認したり、不確実性ビューを変更したりできます。左側の入力を使って、仮定と入力のパラメーターを変更できます。

左上にある「Model Details」モジュールをダブルクリックすると、モデルロジックを見ることができます。多くの方は直感的であると思われるでしょう。そうでない方は、このようなモデルをどのように操作するかを Analytica Tutorial の最初の何章かをお読みください。